「ラクダはイヌより大きい」は正しいですか? 間違っていますか?

広告ってどこまで信じていますか?

もしかしたら想像以上に、不信感を持っているかもしれせん。自分の持つ広告への不信感を再発見してしまうかもしれない実験を紹介します。

  1. 企業と政党は信用されない
  2. 125ドルも評価を下げる企業パンフレット
  3. 「俺は最高の恋人さ」と連呼する男
  4. SNSを使った広告が盛んな理由

企業と政党は信用されない

とくに営業では、「商品を売るな!自分を売れ!」などと言われます。よく聞く言葉だけに軽く聞き流し、商品説明だけに力を注いでいる営業担当者の方も少なくないかもしれません。

でも、商品だけを売り込もうとする手法は、確かに厳しくなっているかもしれません。その根拠について、少し書いてみましょう。

行動経済学の専門家、ダン・アリエリーは企業の信頼がどこまで低下しているのかを実験しています。

最初の実験は、「太陽は赤い」「ラクダはイヌより大きい」といったあいまいさのない記述について、実験参加者に正しいか間違っているのかを判断してもらうものでした。

もちろん結果は正しいと100%が解答。

次に、この記述の出典が、家庭用品の大手メーカーか、民主党か、共和党のいずれかだという情報をつけて、別のグループに評価してもらったそうです。すると実験参加者は、記述に疑いを持つようになったというのです。

イヌが大きな犬種で、ラクダが仔ラクダだったらどうするとか、太陽の全てが赤いとは言えないといった議論に発展してしまったそうです。

125ドルも評価を下げる企業パンフレット

次の実験では、大手オーディオメーカーのステレオの商品特性や批評を載せたパンフレットを読んでもらい、その後30分間バッハを聴いてもらい、実験参加者に商品を評価してもらうものでした。

ステレオも、パンフレットの内容も、曲目も一緒。ただ1つ違うのは、あるグループには、読んだパンフレットは会社がつくったものだと説明し、別のグループには製品やサービスを比較する雑誌として有名な『コンシューマー・レポート』のものだと説明したのです。

その結果、『コンシューマー・レポート』が情報源だと思って読んだグループは、会社のパンフレットだと思って読んだグループよりステレオを気に入った人がはるかに多いことが確認されました。また、このグループの学生は平均で商品に407ドル払うと回答。企業パンフレットだと思っていた学生が282ドルだったので、44%も高く評価したというのです。

「俺は最高の恋人さ」と連呼する男

広告はもちろん企業そのものへの信頼が大きく揺らいでしまうかもしれません。「どうせ広告だな」と思うと、客観的な事実すら間違っているのではと思うようになってしまうのですから……。

企業作成のパンフレットを顧客に読んでもらっただけでは、「ラクダはイヌより大きい」という言葉を疑ってしまうほど疑われてしまうのです。そんなマイナスな状況から営業活動がスタートするのかと暗澹たる気持ちになっている人もいるかもしれません。

広告と広報(パブリックリレーション)、ブランディングの違いを示したイラストとして、有名なものがあります。

広告のイラストは、男性が女性に「俺は最高の恋人さ、俺は最高の恋人さ、俺は最高の恋人さ」と繰り返しているもの。

広報のイラストは、女性の友達が「信じて、彼はあなたにとって最高の恋人なのよ」と話しているもの。

ブランディングのイラストは、女性が男性に「あなたが最高の恋人なのはわかっているわ」と話しているものです。

自画自賛する広告が溢れすぎて、多くの人が信用しにくくなってしまったのが、商品販売をめぐる現状なのかもしれません。そこで企業本人でないところから広告しようと、企業は広報により多くの予算をかけるようになりました。さらに顧客自らが商品の価値を理解し、その価値観を共有してもらえるようなブランディングに力を注ぐようになったのです。

SNSを使った広告が盛んな理由

こうした傾向にピッタリマッチしたのが、SNSなどでの商品広告でした。友達が商品を勧めるという感じが広報的で、広告に感じる抵抗感を少なくし情報を広げることができたのです。

逆に友人が勧めていた商品が実は、ステルスマーケティング(企業からの依頼であることを隠してのPR)だった場合には、多くの人が不快感を持ってしまい、企業への信頼感が損なわれてしまうようです。

買わなくても商品が溢れている上に、企業の広告への不信感が高まっているのであれば営業担当者も楽ではありません。それでも頑張って販売を続けているからこそ、日本の経済は回っているのでしょう。

とりあえず、働いているすべての人に「お疲れ様です」と言いたくなるような実験結果でした。

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