ビジネスに携わる人にとって、資格取得はすでに特別なことではないかもしれません。でも勉強したことが「身になっていないかも」と感じたら、インプットだけではなく、アウトプットができているか考えてみてください。
- 大人の学びにはアウトプットと「スループット」が必要
- アウトプットその1:他人に教える
- アウトプットその2:問題集をつくる
- アウトプットその3:SNSに投稿する
- アウトプットとインプットのサイクルを繰り返し、深く身になる学びを!
大人の学びにはアウトプットと「スループット」が必要
勉強好きと自負しているのに、どうも仕事で活かすことができないと悩んでいる人はいませんか。始業前に通うことができる朝大学や夕方以降のセミナー、土日や祝日に開催される講演会など、世の中は学びのチャンスに溢れています。意欲的な人は、どんどん知識を手に入れることができる時代ですよね。
そんななかで、「なんか、資格の持ち腐れかも……」「いろいろな場所に積極的に参加してるけど、身になってないかも?」と不安を抱えているなら、その原因はアウトプットにあるのかもしれません。知識とスキルが定着する、効果的なアウトプットの方法をお伝えしましょう。
東京大学で人材開発研究に携わっている中原淳准教授は、著書のなかで次のように語っています。
“大人の学びにとって大切なのは、「内化(インプット)」のみならず、「外化(アウトプット)」のタイミングをしっかりとっていくということ。そして願わくばインプットとアウトプットの間に「スループット(Throughput:自分の頭のなかで脳がちぎれるほど考える時間)」をもちたいものです。”(『働く大人のための「学び」の教科書』、かんき出版)
ITの用語で「スループット」とは処理能力を指しますが、ここではじっくり考えること。知り得た知識が、自分にとってどんな役に立つのか、現在の自分の知識とどう繋がるのかなど、知識を自分のものにしていくための時間です。この時間をアウトプットと結びつけると、より効率的でしょう。
というのも詰め込んだ知識を第三者に伝えるときには、相手にわかるように自分の言葉へ変換しなければなりません。このとき、脳内ではインプットしたことが整理され、本当に自分の知識やスキルになる可能性が高いからです。
アウトプットが大事なのはわかったけれど、どう外へ出せばよいのかわからないという人のために、3つの方法をご案内します。
アウトプットその1:他人に教える
他人に教えるといっても、なにも自分でセミナーを開いたり、講演を行ったりする必要はありません。同僚や部下、家族などに、世間話として伝えるだけでもいいのです。「そういえば昨日、こんなことを習ったよ」と、聞いた情報を相手にわかりやすくまとめて伝えてみてください。
もしかして、セミナーから家へ帰ったとき「おかえり、今日はどうだった?」とパートナーから聞かれ、「どうって……ちょっと説明しても、どうせ理解できないよ」などと言って逃げていませんか。それは、学びを本当に自分のものにする機会を、みすみす逃しているというものです。
説明して理解できないのは、あなたの責任。どのように説明したら相手がわかってくれるかを考えながら伝えることが、脳にとって良い刺激になるのです。夫婦円満にも役立ちますよ。
アウトプットその2:問題集をつくる
資格系の知識であれば、自分で解くための問題集をつくるのも有効です。問題集は、答えがきちんとわかっていなければ作れませんよね。問いの文章を考えることが、とても良い刺激になります。「答えを知っているつもりで、実はあんまり理解していなかった」という発見があるかもしれませんよ。
そして、できあがった問題集は、繰り返し解きましょう。問題をつくるのも、答えるのも自分ですから、きっと最後には丸暗記できるほどになりますよ。
アウトプットその3:SNSに投稿する
話をするのに適した人物がいなければ、学んだ内容をSNSにアップするのも効果的です。不特定多数の人に見せる文章ですから、自然と「万人にわかりやすく」説明しようとする意識が働きます。結構大変な作業ですが、文章ができあがったときには、学びがかなりしっかり定着していることでしょう。
アウトプットとインプットのサイクルを繰り返し、深く身になる学びを!
学びは、インプットとアウトプットの繰り返しで身についていきます。とくに第三者に対してアウトプットを行うと、「それってどういうこと?」などと質問されたときに答えられなかったりして、「まだまだ学びが足りない」と気づかされることもあるでしょう。
そんなときは、次までの宿題にしてもらい、再度学んで挑みましょう。教えるつもりが教えられ、次第に学びが深く、そして広くなっていきますよ。鋭い質問をしてくれる、良い聞き手を得ておくと、成長は一段と早くなります。
参考:『働く大人のための「学び」の教科書』(かんき出版)