言葉以上に表情や動作がその人の気持ちを伝えることがあります。特に無意識に出てしまう動作は、相手の気持ちを読み取る重要なサインとなります。今日はビジネスでも使えるストレスを感じたときのサインを取り上げます。
- 心の不安を鎮める無意識のしぐさに注目
- 7つの「なだめ行動」
心の不安を鎮める無意識のしぐさに注目
ビジネスでは感情を抑えながら話しを進めることが多いのではないでしょうか。特に自分の不利な情報が話題にのぼったときは、狼狽しないように平気な風を装うこともあるでしょう。ただ、いくら驚きの表情を隠しても、無意識のうちにストレスを感じたサインを身体が発しているかもしれません。
「なだめ行動」は不安や不快な感情をなだめようとする無意識の動作です。何らかのストレスがあったとき、そのざわついた心を静めようとしぐさとなって身体が動いてしまうのです。つまり「なだめ行動」のパターンを知っていれば、相手が何にストレスを感じたのかを、推測することができるのです。
例えば来期も契約できるのかといった腹の探りあいのなかで、いきなり質問して相手の様子を伺ったとき相手の表情に変化がなくても、その直後に「なだめ行動」をするようなら質問に動揺した可能性が高まります。
あるいは普通に会話しているつもりだったのに、相手が「なだめ行動」をするのであれば、その話題がストレスになっている可能性があります。あるいは自分の会話と関係ないところで、相手のストレスが跳ね上がるようなことが起きた可能性も。
さりげなく話題を変えて相手のストレスをなくしてみる。自分の会話以外に相手のストレスとなったものを探す。そうした行動は仕事相手の心の内をより深く理解することにもつながるでしょう。
7つの「なだめ行動」
クライアントはもちろん部下や上司、同僚が感じるストレスへの気遣い、あるいはウソなどをついていないのかなどの確認にも活用できる代表的な「なだめ行動」を、いくつか紹介しましょう。
①身に着けているものをいじる
アクセサリー、時計、ネクタイを触る、鉛筆で机をトントン叩く、あるいはスマートフォンをチェックするといった動作も、なだめ行動の場合があります。分かりやすい不安のサインです。このような動作を見たら、相手がどんなストレスを感じたのかを考えてみるのもいいでしょう。
②唇をかむ
あまり説明が必要ないかもしれませんが、ストレスを感じたり、心配事を抱えている人がしやすいしぐさです。また言いたいことを言えない場合などにも、同様の行動をしがちです。
③髪をいじる
男性が指で髪をとかすしぐさ、女性の場合は髪の後ろを素早く持ち上げて落とすといった動作。これは典型的な「なだめ行動」です。どちらも心配や狼狽を感じたときに見せるものです。ただし気温が上がって、頭に風を通したいと感じたときにも、同じような動作をする傾向があるので要注意です。
④後頭部を叩く
当惑したり、心の葛藤を抱えた人がしがちな動作です。相手が答えに少し詰まって後頭部を叩いたりしたときは、言い淀んだ理由がありそうです。後頭部を叩く手の温かさを感じることで、ざわついた心が収まっていくと言われています。
⑤そっと鼻をいじる
鼻がかゆいといった理由もなく、人差し指で鼻をそっと触れるような動作も「なだめ行動」の一つです。後頭部を叩くなど周りにも分かりやすいしぐさではないだけに、感情を押し殺すことに長けた人が、ついしてしまう動作としても知られています。ストレスなど感じないかのように仕事をしている人が、無意識に鼻をいじっていたら要注意。押し殺した感情が出てしまった瞬間です。その直前に大きなストレスを感じた可能性があります。
⑥頬を触る
人差し指の先でそっと頬をこするのは、確信のなさや不安、気がかりを隠そうとする場合に出るしぐさです。自社の製品のウィークポイントなどを質問されたとき、平然と答えているつもりなのに、無意識に頬を触ってしまうことがあったりするかもしれません。感情をコントロールすることに慣れた人でも、ついついしてしまう行動なので、覚えておきたい「なだめ行動」です。
⑦手を組んだまま伸ばした指をこすり合わせる
あまり見かけることのない動作でしょう。しかし、このしぐさは状況が悪化するまでは使われないもの。つまり相手がこんなしぐさをしていたら、かなり強いストレスがかかっている証拠です。
ストレスが強くないと指先が伸びたまま組まれることはなく、手のひらをこすり合わせるだけだったりします。相手の緊急事態を察するポイントとして覚えておきましょう。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考 『FBI捜査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407』(ジョー・ナヴァロ 著/河出書房新社)