マスクで騙されやすくなる!?マスクで隠れてしまう表情とは

新型コロナウィルス感染症が広まってから、人と話すときにマスクをするのが当たり前となりました。ただ、その結果、コミュニケーションにも少なからず影響が出ているようです。

  • 口元は感情を伝えるポイント
  • マスクの下に隠れる感情って
  • 相手のしぐさにより注意を!

口元は感情を伝えるポイント

コロナ下での「ニューノーマル(New Normal)」(新しい日常)がメディアに取り上げられることも多くなりました。外食の機会の減少やテレワークなどは、その代表でしょう。そしてマスク越しのコミュニケーションも、新型コロナウィルス感染症が収まっても継続されそうな習慣の一つです。

2020年10月に株式会社マンダムが、マスク着用時のコミュニケーション課題について、全国の20~69歳の男女1110名を対象に実施しています。
トップは「相手の声が聞きとりにくい」(46.9%)となり、「相手の表情が読み取りづらい」(36.4%)や「こちらの感情が伝わりにくい」(22.1%)といった項目も上位に並びました。

実際、口元は感情表現として、とても重要です。
心からの喜びを表すともいわれる「真の笑顔(デュシェンヌ・スマイル)」も、目尻に現れるシワが特徴となる「目」、口角が上がることで開かれる「口元」が、つくり笑いなどとの判別のポイントだとわかっています。

もちろん多くの人は、マスク越しに感情が伝わらないことをフォローしようとしています。
みらい開発研究所の岡崎龍太研究員によれば、日本人はマスクをつけると目の周りの筋肉が、付けていないときより活発になるそうです。

つまり伝えたい感情はマスク下でより大きくなっている可能性が高いのです。
では、隠したい感情はどうなっているのでしょうか?


表情に関するおすすめ記事をチェック

マスクをしているときの心理的効果とマスクに隠れがちなしぐさ
この人、嘘ついてない? そう思ったら眉間と口元を見るべし
絶対に知っておきたい!どんな嘘でも見抜ける5つのサイン


マスクの下に隠れる感情って

多くの人は無意識に発せられる表情のシグナルを、無意識のまま受け取って相手の感情を読み取ります。口ではうまいこと言っているけれど何となく怪しいといった感じは、その代表例でしょう。

つまり顔の下半分がマスクに隠れてしまうと、無意識に発した相手のシグナルを受け取れなくなる可能性が高まります。そして、どんなシグナルを見落としたのかもわからないのです。

そこで、どんな感情のシグナルがマスクの下に隠れてしまうのか、『FBI捜査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407』(ジョー・ナヴァロ/河出書房新社)を参考にまとめてみましょう。

・舌先をちょっと出してすぐに引っ込める
これは「うまくいった」や「バレた」といった感情や、自分のミスに気付いたときの反応です。こうした感情の揺れがマスクに隠れてしまうことで、嘘を見抜きにくくなる可能性があります。

・口の中で先を素早く動かす
心配なときのストレス解消として、このしぐさをする人がいます。この動作は頬の動きからわかりますが、当人は周囲に気づかれないと思っているケースが多いそうです。ただマスク越しだと、わかりにくくなるしぐさの一つでしょう。

・唇の大きさや色
唇の大きさや色はストレスの状態を示すそうです。快適な心理状態のときは、ふっくらとしてしなやかな唇なのに、ストレスがかかってくると形も小さくなり、色も悪くなるそうです。

・唇を噛む
ストレスが高まったときや、心配ごとが起きたときに、自分を慰める行動して表れるもの。何かを言いたいのに言えないといった場合にも出るしぐさです。

・唇を固く結ぶ
不愉快な気持ちになったときのサインとして、とても信頼性の高いしぐさです。20分の1秒という非常に短い時間に表れることもある表情ですが、相手の感情を読み取ることに長けている人は、この手のサインを見逃しません。

・唇をすぼめて突き出す
相手の意見に同意できないときや代案を考えているときなどに表れます。感情を明確に示す動作として知られており、本来であれば読み取っておきたい表情です。会議のときなどに、マスクの下でこのような表情をつくっている人がいるかもしれません。

・口角に力を入れてつり上げる
一方の口角をしっかり閉じて、少し横に引きながらつり上げる表情は、うぬぼれ、軽視、軽蔑といった感情を表します。かなり強い感情の表れなので、マスクをしていても、声や目元から推測できる感情かもしれません。

相手のしぐさにより注意を!

表情が読み取りにくいマスク越しのコミュニケーションでは、プラスの感情をより強く伝えようと努力する人が多くなります。一方で口元に表れるマイナスの感情は見過ごされる可能性が高まります。

職場では相手の感情を読み取ることが大切な場面が少なくありません。だからこそ上記のようなサインを、マスク越しに見落としているかもしれないと認識しておく必要があります。

表情は連動していますので、口元の動きがわからなくても、そのほかの部位から感情を読み解ける場合もあるでしょう。重要なのは、相手のしぐさにより注意を払うことでしょう。

日常生活に活用できる心理学に興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:『FBI捜査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407』(ジョー・ナヴァロ/河出書房新社)/「Mask wearing increases eye involvement during smiling: a facial EMG study」(Shuntaro Okazaki)マスクで騙されやすくなる!? マスクで隠れてしまう表情とは

関連記事

アイ・コンタクトでコミュニケーション・スキルをアップ!... 会議などでよく資料だけに目を落としたまま話している人がいます。でも、アイ・コンタクト(視線の一致)をしない発言は、きちんと聴いてもらえないかもしれません。コミュニケーション・スキルとして重要なアイ・コンタクトについて説明しましょう。 アイ・コンタクト4つの意味好感度を高めるならアイ・...
これは憶えておきたい!不安な感情を表す5つのしぐさ... 相手の気持ちを表情やしぐさから読み取ることがうまい人がいます。言葉に表れない繊細な感情を読み取る人は、ビジネスでもプラスに働くことが多いようです。ちょっとうらやましいですよね。そこでしぐさからわかる心理を集めてみました! 言葉よりもしぐさは雄弁に気持ちを表す!? 言葉にならない...
ビジネスをするなら絶対に知っておきたい高く評価される「ポーズ」って?... 人がビジネスで評価されるのは、数字だけではありません。人脈や場の雰囲気づくりなど、わかりにくいものも含まれます。そして仕事に関係あるとは思えない「ポーズ」によって評価されることもあるのです! 事前のポーズが高評価のポイント!体を大きく使ったポーズでストレスに強くなる 辛いときこそ「高...
これだけは覚えておきたい!気持ちがわかる「しぐさ」6選... 言葉は取り繕っても、気持ちがしぐさに出てしまうことは珍しくはありません。ただ、そのメッセージを読み取るのは容易ではありません。そこで、知っておきたいしぐさを厳選してお伝えします。 相手の気持ちを察するのに長けていない人でも活用可能 他人の気持ちを読み取るのが上手な人がいます。言...
不安の表す7つのシグナルを知っていますか?... 言葉以上に表情や動作がその人の気持ちを伝えることがあります。特に無意識に出てしまう動作は、相手の気持ちを読み取る重要なサインとなります。今日はビジネスでも使えるストレスを感じたときのサインを取り上げます。 心の不安を鎮める無意識のしぐさに注目 7つの「なだめ行動」 心...

働く人の心ラボは、働く人なら知っておきたい『心の仕組み』を解説するサイト。
すぐに応用できる心理学の知識が満載の記事を配信しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です