人の本音が見えないときには不安を感じるものですよね。とくに、「この人、嘘をついているのでは?」と思いながら人と接するのは辛いことです。そんなときは、とにかく眉間と口元を見てみましょう。表情筋の動きから、人の本音を探ることができます。
- 本音は目に現れる……わけじゃない?
- 好意を感じたときは頬骨筋が動く
- 嫌悪を感じたときは皺眉筋が動く
- 怒り、恐怖、それとも悲しみ?眉から表情を読み取るのは難しい
- 顔がゆがんだように見えたときはとくに左側に注目!
- 表情豊かな人は、本当は自分の感情を隠したい!?
- 笑うことで「楽しくありたい」と無意識に思っている可能性もある
本音は目に現れる……わけじゃない?
「目を見ていれば、その人が嘘をついているかどうかわかる」「目は口ほどに物を言う」などと、よく言われます。とはいえ、目だけをじっと見つめていても、相手の本音がわかるとは限りません。口元だって目と同様に本音を探るには重要なポイントです。
心理学では、心が動いたときに必ず変化が現れる表情筋に注目し、人の本音を読み解こうとします。ほんのわずかな変化であっても、筋肉の活動はごまかせません。どこがどう動けば、どんな感情といえるのか、具体的に解説します。
好意を感じたときは頬骨筋が動く
相手を見て好意を感じたときには、頬骨筋(きょうこつきん)が動きます。頬骨筋とは、その名の通り頬骨のところにある筋肉で、頬の外側から内側へ上下に走っています。口角が若干上がったような、頬骨が盛り上がったような気配がしたら、頬骨筋が動いたサインです。
嫌悪を感じたときは皺眉筋が動く
相手を見て嫌悪感を覚えたときは、皺眉筋(しゅうびきん)が動きます。ちょうど眉間のあたりにあり、嫌悪を感じると内側に寄り、驚きを感じると逆に開きます。「眉をひそめる」ような感じがかすかにしたら、皺眉筋が動いたサインです。
怒り、恐怖、それとも悲しみ?眉から表情を読み取るのは難しい
ただ、嫌悪を感じたときと、怒り、恐怖、悲しみを感じたとき、いずれも眉の表情に変化が訪れますから、皺眉筋だけでどんな感情化を読み取るのは少し難しいといえるでしょう。ぜひ、目元や口元の表情変化と組み合わせて覚えたいものです。
例えば怒りの場合は、眉間にしわが寄るだけではなく、顔全体が硬直したような雰囲気になります。恐怖を覚えても、怒りと同じように顔がこわばりますが、怒りの場合にはぎゅっと中央に集中しがちな顔のパーツが、恐怖の場合には逆にバラけるような印象になります。悲しみを覚えると、眉間にしわが寄る以外に、唇が震えたり、伏し目がちになったりします。
とくに日本人はもともと表情に乏しいことから、相手の表情を読む能力が比較的低いともいわれています。日ごろから相手の顔全体に目を向け、わずかな表情を観察することは、表情から感情を読み取る訓練になるでしょう。
顔がゆがんだように見えたときはとくに左側に注目!
相手の顔がゆがんだように見えたときは、「本音を隠したい」という気持ちが無意識に表れているといえます。なぜなら人の顔は、左側のほうにより本音が現れやすいからです。感情をつかさどる右脳の影響が出やすいのが、顔の左側といわれています。
よって、人が感情を隠そうと表情を取り繕うとき、右側の表情はうまく保てても、左側はそう簡単に操れないということが多々あります。そうすると、顔がゆがんで見えてしまうのです。相手の顔にゆがんで見えたら、「感情を隠そうとしている」ということがわかります。
表情豊かな人は、本当は自分の感情を隠したい!?
いくら表情筋の動きから感情を読み取ろうとしても、難しい場合があります。それは、ポーカーフェイスの人よりもむしろ、表情豊かな人と接しているときです。いつでもニコニコしている、人の話に大げさに驚いてばかりいる、そんな人は周りにいませんか。
「感情を豊かに表現できる、素直な人だ」と捉える向きもあるかもしれませんが、実は表情筋から本音が漏れるのを警戒しているのかもしれません。本当は悲しいことや辛いことがあるのに、見せたくない人なのかも……一度そんな気持ちで接してみると、今までに見たことのないような表情を見せてくれるかもしれません。
笑うことで「楽しくありたい」と無意識に思っている可能性もある
また、私たちは「楽しいから笑うのだ」と思いがちですが、「笑うことで楽しいと感じる」ということもまた真であると、心理学では考えます。表情筋が笑顔を作ることで脳に信号が届き、「楽しい」と感じることがわかっているためです。
「この人、笑いすぎ」「常に機嫌がいいな」と感じたなら、その人は本音を隠したいのではなく、人のいるところでは上機嫌でいたい、楽しくありたいと心から思っているだけかもしれません。たまには、本音を探るだけではなくて、人のそんな真心を素直に感じ取りたいものですね。
参考:『図解雑学 人間関係の心理学』斎藤勇、ナツメ社 p.144