100%失敗を防ぐことはできません。さまざまな挫折を通して成長するのは、当たり前のことでしょう。ただ挫折感や喪失感が、前に進む力を奪ってしまうことも事実。そこで失敗を成功に変えるメソッドについてまとめました。
- 失敗や挫折はチャンスに化けるかも!
- 失敗を当たり前のことだと理解する
- 自分を責めない
- 現実逃避しない
- 助けを求める
- 失敗を分析する
- 自尊心と状況を分ける
- 失敗のプラス面を探す
失敗や挫折はチャンスに化けるかも!
「失敗は成功のもと」とか、「ピンチはチャンス」といった言葉がありますが、それを額面通りに受け取れる人は少ないでしょう。失敗もピンチもイヤだと思うのは、しごく当たり前の感情だからです。ただ、失敗の経験をどのように活かしていくのは、多くの人が知っている通り、とても重要です。スポーツでもビジネスでも、敗因分析は当たり前に行われていますし、その結果から次の強化策も生まれます。厳しい戦いになればなるほど、敗因となるような「穴」は、徹底的に潰そうとするものです。
また思い通りにならない現実に対処し、失敗や敗北を受け入れることで意外な成功を手に入れるパターンもあります。例えば体力や筋力に任せたパフォーマンスを諦めたことで、技巧派として活躍するピッチャーなどは、その典型でしょう。運動選手でなくても、ムリがきかなくなって規則正しい生活をするようになったことで、日々の仕事のパフォーマンスが上がったという人もいます。
いずれにしても、何かを失敗したり、失ったことで新たな可能性が広がる事は、そんなに珍しいことではありません。問題は、失敗の直後には新たな道が開けるとなかなか思えないことでしょう!
そこで失敗を成功に結びつけるための心理的なメソッドを紹介します。
①失敗を当たり前のことだと理解する
失敗をすると自信を失いがちです。高望みをしなくなり、挑戦する意欲もなくしてしまいがちです。そうした消極的な意識が、結果的に自分の能力の低下を招いてしまうことも……。失敗を怖がってチャレンジ精神を失えば、停滞や後退を招いてしまう事はいたしかたないでしょう。特に近年のビジネスは移り変わりが速いため、同じ場所に留まることが許されなかったりするものです。
しかし統計的に見れば、チャレンジに失敗は付き物です。臨床心理の専門家であるデビッド・サスマン博士によれば、初めての挑戦で目標を達成できる確率は20%未満だという調査結果があるほどです。つまり考えるべきは、避けられない失敗の影響を、どのように抑えていくかです。本番ではなくシミュレーション中に起きれば、それは“成功”と言えるかもしれません。あるいはフォローがしやすい工程での失敗も、成功につながる道と捉えることができます。
つまり真の「勝負どき」に成功するなら、それ以外の失敗は成功への一歩だと考えてもいいのです。繰り返しますが、初めての挑戦だと5回のうち4回は失敗するのですから。仕事を進める中では避けられない失敗で落ち込んだり、消極的にならないようにしたいですね。
②自分を責めない
失敗すると自分を責めがちです。しかし自分を責めても、プラスになることはありません。失敗して事前の計画が狂ったとしても、これまでのあなたの人生を否定する必要はないのです。
失敗や挫折を思い出して、ついつい「自分はもうダメだ」「私は無能だ」と独り言を口にしてしまう人もいるでしょう。もしそうした独り言を無意識につぶやいていることに気付いたら、すぐに止めるようにしましょう。自分を責めるような独り言が、余計に自分の精神エネルギーを奪っていく事は、過去の研究でも判明しています。
③現実逃避しない
失敗を受け入れられないときもあるでしょう。そんなとき失敗がなかったかのように振る舞ったり、誰かのせいにしたりといった行動をとりがちです。
失敗を成功につなげるために必要なのは、自分の失敗を認め、責任から逃げない姿勢です。
失敗の現実を直視するのを避けていたり、他人に責任転嫁しているときは、現実逃避の理由を考えてみましょう。「上司に怒られる」「恥ずかしい」などなど、その理由を正面からとらえ直してみると、意外にたいしたことがないことが多いもの。そもそも失敗がより大きな問題になるのは、責任から逃げてしまったケースが少なくありません。
いま大きな問題だと感じていることでも、10年後に見返せば大した問題ではないと感じるかもしれません。学生時代の失敗や社会人1年目の失敗を思い返してみましょう。ほとんどの失敗は、適切な対処さえできれば成功できたと思えませんか? それは現在の失敗でも同じかもしれません。必要なことは、素早く対処することです!
④助けを求める
失敗したとき、自分一人で解決したくなるかもしれません。上司からの叱責がイヤなのかもしれませんし、自分のプライドが許さないのかもしれません。あるいは周りからの評判が落ちるのを気にしているのかもしれません。逆に周りの人は頼りにならないと思い込んでいる場合もあるでしょう。しかし助けを求めることが、問題解決の近道であることは間違いありません。しかも助けを求めるのが遅れれば遅れるほど、問題は大きくなりがちですし、助けを求めるのに勇気が必要になってきます。福祉の分野では、助けを求められない人達をどのように救うのかが、近年の課題となっています。それは「助けて」と声をあげられない人が、より大きな問題を抱えてしまう傾向があるからです。また困ったときに助けを呼べることは、ビジネススキルの一つだと言われることもあります。臨床心理の専門家であるデビッド・サスマン博士は、問題が起きてから20分以内に助けを求めるようにアドバイスしています。もちろん状況確認に時間が必要なときもありますが、早い段階で助けを求めることが有効なことは覚えておきましょう。
⑤失敗を分析する
仕事で困るのは、同じ失敗が繰り返されること。だからツラいかもしれませんが、失敗の原因を分析しましょう。何が起こり、それにどんな人が関わり、何が見過ごされていたのか。失敗に関わるさまざまな事象を検討します。
自身のスキルの低さや傲慢さが失敗の原因なこともあれば、組織体制や環境が生み出した失敗もあるでしょう。いずれにしても、同じ失敗を繰り返さないように対策を立てましょう。組織的な問題が見つかったときは、上司や部下と話し合う必要があるかもしれません。
⑥自尊心と状況を分ける
直面している状況に関係なく自尊心を保つことは大切です。成功に舞い上がり、失敗で自信を失うのではなく、どんな状況でも静かな自信を持って対処できれば、失敗を成功に変えやすくなるでしょう。
なかなか難しい課題ですが、そうするための方法の一つが、自分がコントロールできることだけに集中することです。私たちは、自分でコントロールできないことに頭を悩ませ、不安を増大させがちです。他人がどう思っているのか、過去にどんな失敗があったのかなど、自分ではどうにもできないことから頭を切り替え、自分がコントロールできることで何に取り組めるのかを考えてみましょう。
⑦失敗のプラス面を探す
レジリエンスが高い人は、失敗を肯定的にとらえられる傾向にあるといった研究があります。失敗のショックから立ち直る中で、失敗の中にあるプラス面を認識できるようになれば、失敗を成功の糧にしたともいえそうです。
「失敗があったから成長した」「挫折したから別の道をみつけることができた」など、失敗を広い視野から再評価することは重要でしょう。意識が変わるのを待つだけではなく、失敗にプラス面を見つけようと努力してみるのも、お勧めです。
今日は失敗を成功に変えるメソッドをまとめました。失敗で一時的にショックを受けることは仕方ないと思いますが、その経験をプラスに変えて、前向きに取り組めるようにしたいですね!
心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「9 Strategies to Manage a Personal Setback」(David Susman, Ph.D./Psychology Today)/「You Have Three Options When You Face a Loss This Year」(Tim Elmore/Psychology Today)