どうやって信頼を勝ち得るのかは、重要な問題でしょう。知り合ってからの時間が短い場合、誠実な行動を評価してもらえないこともあります。しかし近年の心理学の研究は、信用と信頼の判断基準を明らかにしました。ぜひ、活用してみてください。
- 信頼を損なう4つのしぐさ
- 信用される5つのしぐさ
- 信頼をコンピュータが判断する未来も
信頼を損なう4つのしぐさ
ノースイースタン大学のデイヴィッド・デステノ教授は、信頼に関連するしぐさの研究の難しさを自著で説明しています。人は無意識に信頼できるかどうかのシグナルを発し、さらにシグナルを受け取る方も無意識に信頼できるかどうか判断してしまいます。そのため何が信頼に結びついているのかを絞り込むことはもちろん、シグナルとなる動作だけを取り出して検証することも難しかったのだそうです。
結局、複数台のカメラで実験参加者を撮影し、すべての動作を書き出すといった方法で、信頼を損なう動作を4つまで絞り込みました。さらにそれをロボットに覚えさせることで、ロボットと対面して、人がどのように感じるのかテストしました。
その結果、
・腕を組む
・体をそらす
・顔に触れる
・手に触れる
この4つの動作を目にすると、人はロボット相手でさえ信頼感を失っていくことがわりました。このようなしぐさは、過去の研究でもネガティブな気持ちを表現していると言われてきました。
例えば「腕を組む」のは、相手に対する拒否反応であり、「体をそらす」のは相手を避けたい気持ちの表われ。また顔や手を触るのは、不安の表われだと分析されてきたのです。
相手を騙そうといった信頼できない行動を取るとき、人はこの4つの動作を無意識に取りがちで、この動作を意識せずに確認した人は、相手への信頼を失っていくそうです。
つまり相手から信頼されたいときは、上記の4つの動作をしないようにする必要があります。これは仕事だけの話ではありません。家族やパートナーとの話し合いでも、信頼を失いたくないなら4つの動作は厳禁です。
信用される5つのしぐさ
さて、「信頼」と「信用」の違いを知っていますか?
信頼は人柄や哲学、立ち居振る舞いなどから判断するもので、その人全体の評価であり、未来への期待なども含まれています。
一方、「信用」は実績や業績、能力などによる評価です。銀行などで融資をする際には「信用調査」を実施しますが、その「信用」は過去の金銭に対する実績の評価なのです。
先に示した4つのシグナルは「信頼」に関連するものですが、デイヴィッド・デステノ教授は、能力的に他人が信じるポイント、つまり「信用」のポイントも明確にしています。
・胸を張る
・頭をぐっと上げる
・両手を広げ掲げる
・両手を腰に当てる
この4つは自信を持っている人のしぐさであり、こうした動作を繰り返す人が自然とリーダーになり、信用を集めるのだそうです。ただし「信用」は実績を評価するものですから、実力が伴っていないと、時間とともに自信過剰だと思われてしまうそうです。
信頼をコンピュータが判断する未来も
信頼感を損なう4つのサインと信用を醸し出す4つのサインを意図的に使えば、信頼や信用を得やすくなることは確かでしょう。こうした動作が醸し出すサインは無意識に発せられるので、ちょっとしたクセから信頼や信用を下げてしまうことも防げるでしょう。
また、デイヴィッド・デステノ教授によれば、こうしたクセをコンピュータに分析させ、信頼に足る人物なのかを調査する日も遠くないそうです。営業の人をカメラでとらえ、手を4回触ったから要注意といった警告が出る日が近いのかもしれません。
ずっと自分の動作を意識するのは難しいかもしれませんが、ここぞというときは、8つのしぐさを意識して行動してみましょう。きっとプラスに働くはずです。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『信頼はなぜ裏切られるのか』(デイヴィッド・デステノ/白揚社)