会議などでよく資料だけに目を落としたまま話している人がいます。でも、アイ・コンタクト(視線の一致)をしない発言は、きちんと聴いてもらえないかもしれません。コミュニケーション・スキルとして重要なアイ・コンタクトについて説明しましょう。

- アイ・コンタクト4つの意味
- 好感度を高めるならアイ・コンタクトの時間に注意
- 説得するときは控えめに
アイ・コンタクト4つの意味
政治家などがプロンプター(あらかじめ入力した原稿をコンピューターのディスプレーやモニターテレビ等に映し出しカメラ目線で話せるようにする機械)を使うようになってから、演説もカメラ目線となり、説得力が増したような感じがしませんか? じつはアイ・コンタクトはコミュニケーションにとって非常に重要です。
上越教育大学大学院の青山康郎氏と上越教育大学の戸北凱惟氏の研究によれば、アイ・コンタクトがあると人は話しやすくなることがわかっています。特に女性の場合は、視線を受けると発言の回数が多くなることがわかりました。
心理学者のナップはアイ・コンタクトには、次の4つの意味があることを発表しています。
①フィードバックを求めるとき
②連絡を取りたいとき
③好意を示すとき
④敵対を示すとき
①の「フィードバックを求めるとき」は、発言者がしがちなアイ・コンタクトです。自分の意見や気持ちが伝わったのかどうかを、確かめるための視線です。このアイ・コンタクトでしっかり伝わっていないと感じるようなら、情報を追加したりするものです。
つまり会議でアイ・コンタクトをまったくとらないのは、出席の反応を確かめずに話し続けているようなものなのです。
②の「連絡を取りたいとき」は、連絡を取りたい相手の目を探して語りかけようとするような行為です。この視線のやりとりで多くの情報が行き交うこともあります。スポーツなどでも、アイ・コンタクトがチームプレイに活用されることもあります。
③の「好意を示すとき」は解説の必要いらないかもしれません。無意識に見つめてしまうケースも少なくありません。
④の「敵対を示すとき」は「火花が散る」などと表現されることもあり、映画などでも使われるケースがあります。
こうした言語以外のコミュニケーションの意味をしっかりと把握すると、意志疎通はより的確になるのです。
好感度を高めるならアイ・コンタクトの時間に注意

好感度とアイ・コンタクトの関係性については、話している時間の50~75%が最適だと言われています。それ以上多くても落ち着かなくなりますし、それ以上少なくても興味がないと思わせてしまうかもしれません。
ただ話しているときよりも、聴いているときの方が、アイ・コンタクトの時間が長いことがわかっています。聞き上手になりたいなら、75%を超えないようにアイ・コタクトを取ってみましょう。
ただ、しっかりと相手の目を見据えるのも苦手という人もいるでしょう。その場合は相手の眉間のあたりを見ることが推奨されています。もちろんいくらアイ・コンタクトをしっかりとるからといっても睨みつけるように見るのは厳禁です。アイ・コンタクトが敵意を示すときにも使われることを思い出しましょう。
説得するときは控えめに
ただし意見の異なる人を説得しようとするときは、相手の目ではなく、口を見た方がいいという実験結果があります。ブリティッシュ・コロンビア大学のFrances Chen助教授の研究によれば、アイ・コンタクトは相手に脅迫的な感じを与えるのだそうです。そのため説得に失敗する可能性が高まってしまいます。
逆にもっと行動をあおりたいと思ったときは、アイ・コンタクトがプラスに働きます。
つまりビジネスでも説得のときは、少しアイ・コンタクトを控えめに、部下などを褒めて盛り上げようと思うときは、アイ・コンタクトを多めにするのがお勧めです。
今日はアイ・コンタクトについて解説しました。あまり意識しすぎるとぎこちなくなってしまうかもしれませんが、相手の心理状態にも大きな影響を与えるものですので、よりよい活用の仕方を目指してみるのもお勧めです。
コミュニケーションについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考:『決定版 面白いほどよくわかる他人の心理学』(渋谷昌三/西東社)/「発話を促す話し合いの場に関する研究 : アイコンタクトに着目して」(青山 康郎, 戸北 凱惟)