ロジハラを知っていますか?職場で被害に遭うと、ちょっと面倒なロジハラ。ロジハラをするタイプと、その対策を心理学の側面から解説していきましょう。
- 理論的で建設的な意見でも相手を苛立たせる
- ロジハラをしがちな4タイプ
- 職場のロジハラは「業務上適切か」を考える
- ロジハラへの4つの対処法
理論的で建設的な意見でも相手を苛立たせる
ロジハラとは、ロジカルハラスメント( logical harassment)の略語。正論を突き付けて相手を追い詰めるハラスメントのことを指します。
職場でのロジハラがやっかいなのは、理論的な主張はビジネスで重要だといった認識があることです。職場で感情的な言動は批判できても、理屈の通った話だと反論しにくいですよね。
だからといってロジカルな意見を主張をする人が正しいわけではありません。
米国パーデュー大学のロバート・バロン博士は、理論的で建設的な批判であっても相手が敵意を持つことを証明しました。「まだ改善の余地がある」といった指摘であっても、言われればイヤな気持ちになってしまうものなのです。
そもそもコミュニケーションには、情報を伝達する道具的機能と、気持ちを伝える情緒的機能があります。そのため通常であれば、相手に正論を突き付けるなら、相手の感情にも考慮してやり取りします。ところがロジハラをする人は相手の気持ちに配慮しないので、頭でわかっても、気持ちが抵抗するという状態に相手を突き落としてしまうのです。
正論が常に正しいわけではありません。
例えば大きな枠組みと小さな枠組みで、異なる対応を求められるときがあります。地域全体を考えたときは正論が正しくても、個別の対応では違うといったパターンです。
あるいは時間の経過とともに、正論が現実に合わなくなるケースもあります。そんなときに「これが正しい」とばかりに主張されても苛立つだけですよね。
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ロジハラをしがちな4タイプ
では、どんなタイプの人がロジハラをしやすいのでしょうか?
エニアグラムなどの性格特性などを参考に、特徴をあげてみました。
①自分が正しいと思っている
正論を語る人は、自分が正しいと思う傾向にあります。そのため上から目線になりやすいのです。このタイプがロジハラをすると、マウンティングを仕掛けてくるケースが多いようです。
②白黒ハッキリつけたがる
正論を主張する人は、白と黒の間にあるグレーゾーンを見ていないことも。正論から外れる少しマイナーな視点といったものへの配慮が足りないのです。そのため「言っていることは正しいけど、現実はその通りには動かない」といったことが起こります。
③しつこい
正論を振りかざす人にはしつこい人が少なくないようです。そのためロジハラをする人にターゲットにされてしまうと、ちょっとやっかいです。
④相手のためだと思っている
正論を突き付けるタイプの人は、相手の言動に文句を言いながら近づくといった傾向があることも。「正しいことを指摘しているのは相手のため」といった思い込みがあるのかもしれません。
職場のロジハラは「業務上適切か」を考える
さて、先にも少し触れましたが、職場でのロジハラが難しいのは周りからの共感を得にくいケースがあることです。「理屈は間違っていない」と不問にされるケースもあるかもしれません。しかし、早急な対処が必要なケースもあります。
厚生労働省のパワハラの定義には、「職務上の地位や権力、人間関係上の優位性」と「業務上の適正な範囲を超えて」という2つのポイント書かれています。この基準は職場でのハラスメント全般に参考となるでしょう。
理論的であるべきビジネスの世界でも、「業務上の適正な範囲を超えて」理屈を押し付けてくるのは、やはり問題なのです。
ロジハラへの4つの対処法
それではロジハラをする人には、どのように対処すべきでしょうか?
①話を聴いてあげる
自分の意見が正しいと思っているので、話を聴くことで満足する場合もあります。ロジハラをするタイプの人は、周りからも距離を取られているケースも多いので、話を聴くことで気に入られるかもしれません。
ただ、顔を合わせるのもツライと感じているときに選択する方法ではありません。
②距離を取る
そもそも面倒なタイプなので、適当に距離を取るのが最も適切かもしれません。必要最低限のかかわりにしてみましょう。
③論破する
上司だとやりにくいところですが、論理的な矛盾点を付いて論破すると、態度を改めるケースがあるようです。理屈に理屈をぶつければ、相手の悪感情も刺激することになりますが、ときに解決の糸口を見つけることができるかもしれません。
④上司などに相談する
多くの職場ではハラスメントに敏感になっています。ロジハラがつらいと感じたら一人で抱え込まず、周囲の人に相談するのじゃとても重要です。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『「正論バカ」が職場をダメにする』(榎本博明/青春出版社)