組織の問題として注目されている「同調圧力」を下げる第一歩とは

何となく周りの顔色を見て多数派に賛成したりすることありませんか? 強い同調圧力に、波風立てたくないからと賛成すること自体、企業では珍しくないかも。ただ、その「伝統」が続くかは少し微妙かも。

  1. 7人のうち6人が同じ答えだと逆らえない
  2. 世界が同調圧力に厳しい視線
  3. 勤労意欲も生産性も低下
  4. 本当の自分を取り戻させる

7人のうち6人が同じ答えだと逆らえない

「出る杭は打たれる」ということわざ通り、日本では組織内で目立つことがマイナスになることが少なくありませんでした。実際、多くの組織では同調行動をとる人ほど高い評価を得る傾向にあります。

言うことを聞かない部下よりも「はいはい」と従う人が、非合理的でも会社の暗黙のルールに沿って動く方が職場の雰囲気も乱さないでしょう。その結果、同じような服装や格好をする人が多くなり、結果として同調圧力が高まってしまいがちです。

同調圧力に関する証明としては、社会心理学者アッシュの実験が有名です。スライドに映った線と同じ長さを三択で選ぶという問題で、一人で調査したときは99%の正解率だったのに、7人のうち6人をサクラにして間違った答えを言わせると、24%しか正解しなかったというものです。つまり間違った意見であっても、周りの大半が賛成していると多くの人が同調してしまうというわけです。

世界が同調圧力に厳しい視線

近年、こうした「同調性」に厳しい目が向けられています。例えば『Forbes Japan』で連載を持つ、橋本智恵さんも「組織の活性化を妨げる『同調性』はどう乗り越える?」という原稿の中で、同調した結果としてひどい選択をしてしまう「リスクが甚大」と書いています。

「いやいや、そんなことは昔から言われていたよ」と言う読者もいるでしょう。しかし橋本さんが書いたのは、いまやハーバード以上の難関とも言われる米国のミネルヴァ大学で講義を受けての原稿なのです。

また、ハーバード・ビジネス・スクール教授のフランチェスカ・ジーノ教授は、「同調圧力が生産性を低下させる『建設的な不調和』で企業も社員も活性化する」(『ダイヤモンド ハーバードビジネスレビュー』2017年11月)という論文を書いています。

つまり日本国内で同調性の問題が解決される気配がない中、日本より同調圧力が少ないと思われる米国で、同調性が問題になっているのです。

勤労意欲も生産性も低下

同調性が問題になる背景には、ビジネスの寿命が短く、社会の不確実性が増し、さまざまな状況に対応してイノベーションを起こし続けていかないと、企業を存続することができないという現実があります。

フランチェスカ・ジーノ教授も、同調圧力は「勤労意欲の低下、生産性の悪化、イノベーションの減少」を生むと指摘しています。

そして決まりきった繰り返しとして生き残ってきた慣習や伝統を守ることで、安心してしまうのです。

「だが、現状維持にこだわっていると退屈な組織になり、その結果組織内に独善と停滞が広がりかねない」(『ダイヤモンド ハーバードビジネスレビュー』2017年11月)とも書いています。

本当の自分を取り戻させる

この論文には、フランチェスカ・ジーノ教授自身が企業の社員を使った実験を紹介しています。そこで社員を3つのグループに分けました。同僚の決定に賛成できない場合ははっきりと反対意見を述べるグループと周囲に同調する態度をとるように依頼したグループ、そして通常と変わらない態度でいるよう依頼したグループの3つです。結果、はっきり反対意見を表明するグループが、高い創造性を発揮し、仕事の成果とイノベーションに関する評価も、他のグループより高いことがわかりました。

では、どうすれば組織の同調圧力を減らせるのかというと、まずは「社員に本当の自分を取り戻すチャンスを与える」ことが重要とのこと。自分のやり方で仕事をし、自分で問題を解決させ、自分でミッションを決めさせるなど、自分らしい方法で働ける環境を整える必要があるとのことでした。

日本企業にとっては、かなり高いハードルようにも感じますが、グローバル化しているビジネスで世界標準から離れていては、日本企業の存続が危ぶまれる可能性もあるのです。

もしかすると、経済が日本企業の体質を大きく変えていくのかもしれません。

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