共通点が多い相手に好意を持ちやすいことはよく知られています。しかし友人になった後でも「共通点」が増えやすいことを知っていますか? 友人の影響は体重の増加や不倫にも及ぶかもしれないのです。
- 意外に広範囲の影響が?
- 肥満
- 不倫
- 経済
意外に広範囲の影響が?
友人からいろんな影響を受けることは、多くの人が知っていることでしょう。つき合っていくなかで、音楽や読書などの趣味が一緒になることも少なくないでしょう。しかし無意識のうちに受けている影響は、もっと広範囲に及ぶことが近年の研究からわかってきました。
そこで友達からどんな影響を受けやすいのかをまとめてみました。
①肥満
肥満が友達から「感染」すると聞いても、にわかには信じられないかもしれません。しかし米国のコロラド大学の研究チームは、仲のよい友人が肥満だと、57%の確率で自分も肥満になるという研究結果を発表しています。6割近くが同じように太ってしまうというのですから、その結果には驚かざるをえません。
ちなみに夫婦のどちらかが肥満になっても、同じように肥満になる確率は37%。きょうだいの誰かが肥満の場合は40%が肥満になっていました。どちらも低い数字ではないですが、友達の影響ほどではありません。また遺伝的な要素よりも、生活習慣が体重の増加に影響するということも、この研究からわかるそうです。
確かにお菓子の大量摂取や夜遅くの食事など、太る要因と生活習慣は密接に結びついています。一方で生活をともにする夫婦よりも友達の影響が大きいことは、注意する必要があるでしょう。友人が太り始めたら、未来の自分にも影響すると考えて一緒にダイエットに励むといったことも効果があるかもしれません。太りにくい生活習慣を友人と一緒につくってみましょう。
ちなみに飼い主が太っていると、ペットの犬が太る傾向にあることが、デンマーク・コペンハーゲン大学の研究でわかっています。その研究からわかったことは、犬が平均体重の飼い主は訓練目的で「ご褒美」を与えるのに、太った犬の飼い主は自分が楽しいとき犬に「ご褒美」を上げる傾向があることが判明したそうです。
嬉しいことがあったから、一緒に甘いものを食べてお祝いしよう! そうした行動が習慣化されやすいのは、犬でも人間の友達でも同じかもしれませんね。
②不倫
イスラエルにあるライヒマン大学のグリット・E・バーンバウム教授の研究によれば、不倫を目にする機会が多い環境だと誘惑に負けやすいのだそうです。
研究結果から他人の浮気に接する機会を得ることでパートナーに関心を払わなくなったり、浮気への願望が大きくなりがちだと報告されています。
バーンバウム教授は、不倫が当たり前の環境だからといって、すべての人が浮気にはしるわけではないと語っています。ただ、どうしても脇が甘くなるといったことが起きるようなのです。
もちろん不倫については、国ごとに異なる規範や意識といった側面も大きいでしょう。ただ日本の不倫を取材したライターは、不倫をしている人はその経験を共有できる友人を持ちがちだと語っています。
③経済
資産家と友達なら金持ちになれるといった単純な研究成果とは全く違いますが、友人の経済状況と自分の経済状況は関係があることがわかっています。
ハーバード大学のラジ・チェティ教授は、経済的な階層の固定化やアメリカンドリームが起きにくくなっている米国の現状を調査しました。その結果、経済的に豊かな人たちと経済的に苦しい人たちが交流する地域で育った子供は、そうした交流がない地域で育った子どもたちと比べると、経済的に豊かになる可能性が高いそうです。
これは、よりよい仕事につながるアドバイスやネットワークが関係してくるそうです。確かに経済的な恩恵は、こうした背景に影響を受ける部分も大きいのでしょう。
また友人関係は必ずしも人の好みではなく、交流する場所がどこかという点で左右されることも多いため、経済的な垣根を超える難しさがあるようです。同じ大学に通っていても、富裕層とそうでない人たちではコミュニティーが違うといったことも起きるからです。
あくまでも海外の研究なので、そのまま日本に適応できないかもしれません。ただ多様なコミュニティーに所属し、しっかりとした友情を培うことは、経済にも影響を及ぼす可能性があるようです。
今日は友人によって影響される可能性がある事象を3つ紹介しました。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「太っている人は飼い犬も太っている傾向 研究」(AFP)/「お金持ちになるための近道は、お金持ちと友達になることだった…ハーバード大学の最新研究で」(Juliana Kaplan/LIFE INSIDER)/「Is Your Friends’ Infidelity Contagious?」(Mark Travers Ph.D./Psychology Today)