家に帰ってきたらオットセイのようにソファへ転がっているばかり。女性の社会進出推進が叫ばれている時代、夫の家事参加は不可欠です。心理効果をうまく使ってやる気スイッチを押しましょう。
- 行動が感情をつくる! まずは「ソファから立ち上がる」
- やってくれたことは全肯定し、成功体験を作る
- チェックリスト化し、「遂行したい」欲を引き出す
- アレンジは自在! 心理戦が家事夫をつくる
行動が感情をつくる! まずは「ソファから立ち上がる」
「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しいのだ」と言ったのは、アメリカの心理学者であるウィリアム・ジェームズです。感情が行動を喚起するのではなく、実は生理的な反応のほうが心理的な動きよりも早く起こるというのは、広く知られています。
つまり、行動が感情をつくるのだとすれば、夫が家事を「する気になる」のは、家事をするべく動き始めてからだということになるでしょう。動かないから、その気にならない。動き出せば、きっとその気になる。ようは、初めにどうソファから動かすかです。
やる気にさせるのではなく、動かせばいいのですから、「○○やってくれる?」などと言う必要はありません。「お茶が入ったよ」など、おいしいもので釣るのも有効ですが、「ちょっと来てもらえる?」と、シンプルに声をかけるのが実はいいかも。そして、頼みごとは必ず相手が立ち上がり、動いているときに行いましょう。
やってくれたことは全肯定し、成功体験を作る
人は成功体験をつくると、自己効力感を得ることができます。自己効力感はアルバート・バンデューラが提唱したもので、自己効力感を得れば自信がつき、「次もきっとできる」と自分に期待することになります。つまり、成功体験を積み重ねることで、やる気を作ることができるのです。
家事は女性側がやり方を決める傾向があります。夫がやってくれたことを、「そうじゃない」と否定してしまうことはありませんか。せっかくやったのに否定されると、成功体験が作れず、次のやる気につながりません。
洗濯にしろ料理にしろ、夫のやり方に不満を感じても、やってくれたことに対しては全肯定し、感謝の気持ちを伝えましょう。大丈夫、ちょっとくらい洗濯物が生乾きでも死にはしませんし、洗った茶碗に泡がついていても、たぶん死にはしません。夫も、同じ作業を繰り返すうちに気づくことが増えるでしょう。
チェックリスト化し、「遂行したい」欲を引き出す
トイレの電球を替えてほしい、庭の草刈りをしてほしい、重い家具の移動を頼みたい……夫に依頼したいのは本当にちょっとしたことなのに、積み重なるとけっこうな量になっていますよね。雑用が出た時点でやってくれれば溜まらないのに……とぼやく前に、用事をチェックリスト化してみましょう。
日々、たくさんの業務に追われ、チェックリストを作って仕事を可視化している夫は多いはず。家事も仕事と同じようにタスク化することで、「遂行しなければならない」と、頭が切り替わります。人には、目標を達成しようとする「達成欲求」があります。これをうまく使う方法が、チェックリスト化なのです。
終わった用事にチェックを入れるたびに達成感が高まり、「すべてのリストを埋めよう」という意欲がわくでしょう。また、雑用が生じるたびにあれこれ言われると前に頼まれたことを忘れてしまいがち。用事を可視化するためにも、リスト化は有効ですよ。
アレンジは自在! 心理戦が家事夫をつくる
ここに紹介したことをそのままやったとしても、テコでも動かないオットセイがいるかもしれません。そこは夫の性格に合わせて、アレンジのしどころ。どんなことに心を動かされるか、夫の傾向を考えながら「あの人には、こんな言葉が効きそう」と、思いつくままに実行してみましょう。「行動が感情をつくる」「成功体験」「達成欲求」をキーワードに、心理戦で優秀な家事夫が完成するかもしれません!