結婚して数十年、自分たち夫婦はうまくいっていると思っていたのに、突然相手から離婚を切り出される……そんな熟年離婚は、できるだけ回避したいですよね。熟年離婚に陥らないためにできることを、心理実験や学説から解説します。
- その1:単身赴任者はとくに実践を!パートナーに自分と小動物の写真を送る
- その2:相手がイラついていたらこまめに話を聞く
- その3:意見の折り合いのつけ方を相手に合わせる
- 先回りの心理学で離婚リスクを減らそう
その1:単身赴任者はとくに実践を!パートナーに自分と小動物の写真を送る
熟年離婚といえば妻側から別れを切り出すイメージがありますが、最近では夫側から別れを切り出すケースも増えているようです。
別れを求めるのが妻であっても夫であっても、熟年離婚は長年積み重なった不満や苦痛がもとで陥ってしまうのが特徴で、何とか思いとどまるよう説得するのは難しいものです。ある日突然別れたいと言われないために、若いうちから夫婦のより良い関係性を築いていきたいもの。
そこで単身赴任など、家族と離れて暮らしているあなたにとくに実践してほしいのが、相手の携帯へ自分の写真とともに小動物の写真をこまめに送ることです。街で見かけた子犬や子猫、サイトで見かけた動物のおもしろ画像など、何でも構いません。
アメリカ国防総省の資金援助によって行われた心理実験があります。家族と離れて暮らす軍人たちと、その妻を対象に次のようなテストを行いました。パートナーの写真に、子犬など小動物の写真を組み合わせた画像を3日ごとに見せるグループと、パートナーの写真だけを3日ごとに見せるグループに分け、のちの幸福度をはかったのです。すると、小動物の写真を見続けたカップルのほうが、相手に対してより好ましい感情を抱くことがわかりました。
離れて暮らしていると、お互いの気持ちが確認できず不安なものです。そんな不安が、小動物の写真を相手に見せるだけで少しは和らぐとしたら、すぐに実践したいですよね。
その2:相手がイラついていたらこまめに話を聞く
イライラしているパートナーを見ると、「火に油を注がないよう、そっとしておこう……」と思うか、「こっちだって忙しいのに、何イラついてんの?」と攻撃的な気持ちになってしまいがちです。しかし、そんなときこそ相手に寄り添う余裕を持ちましょう。イラついてるなと思ったら、お茶やお菓子を用意して「どうしたの?」と話を聞いてあげてください。
私たちの脳は、幸せな記憶や楽しかったことはすぐに忘れてしまいますが、嫌なことはずっと覚えている傾向があります。これは、動物の記憶というものが、そもそも危険を回避するリスクセンサーとして存在しているためです。
同じ相手から、ずっと嫌なことをされている場合、その記憶は長年かけて積もり積もっていきます。そうなってしまったら、「この人と一緒にいると、嫌なことしかない」と脳が結論付けてしまうことも……。
「何が嫌なの?」と相手に聞いてあげ、嫌な気持ちを言葉で吐き出してもらい、そこでいったん気分をリセットしてもらうることが大切です。そして、「あなたのここを直してほしい」と言われたら、素直に従うこと。無意識にそれをやってしまったときは、すぐに謝ること。それを繰り返していけば、相手の脳に「嫌なパートナー」としてインプットされてしまう可能性は低くなることでしょう。
その3:意見の折り合いのつけ方を相手に合わせる
知能検査の生みの親でもある米国の心理学者、ルイス・マディソン・ターマンによると、議論好きと議論を避けるカップルが結婚したときに、不幸度も高くなり、離婚の可能性も高まることがわかっています。
つまり意見の食い違いをしっかり話し合うのか、互いに妥協しあって空気を読みあうのかが、その解決方法が違っているとお互いにストレスが溜まってしまうということです。そこで意見対立を解消する方法が違う夫婦は、たまには相手の解決法で意見調整してみてください。互いの方法論の違いをわかった理解した上で、どちらかが不満を溜めすぎないように解決法をあえて変えてみるという互いの気遣いは、きっと夫婦の関係にプラスに働くのではないでしょうか。
また、お互いにさびしい思いをしている夫婦は幸福度が低いことがわかっています。
互いに寂しくならないように、ちょっとした声賭けをするといったことも夫婦関係を維持するためには必要なことのようです。
先回りの心理学で離婚リスクを減らそう
熟年離婚は、長い年月の積み重ねが要因の一つとなって起こってしまいます。若いうちからできることをフルにやって、離婚リスクを減らしていきましょう。お互いに相手を思いやり、関係性を維持しようとする努力が必要不可欠です。先回りの心理学で、年を重ねるほど仲の良い夫婦に!
参考
NEWSポストセブン「熟年離婚が25年で7割増 『夫が見捨てられる常識』に変化も」
「結婚の幸福における心理学的要因」の抜萃 / 労働省婦人少年局 [訳]
『ココロの謎が解ける50の心理実験』(王様文庫)