働き方改革が叫ばれていますが、「残業なしで仕事を終わらせるなんて無理!」「生産性ってどうすれば上がるの?」という悲鳴も聞こえてきます。そんな人たちに読んでほしい集中力を上げるための3つのポイントです。
- 人の集中力って、結局何分続くの?
- ヒント1: ポモドーロ・テクニックを使う
- ヒント2:中央にポイントのあるPCの壁紙で集中力アップ
- ヒント3:ザイガルニック効果を使う
- 長時間の過集中は危ない! こまめに休憩して身体のメンテナンスを
人の集中力って、結局何分続くの?
残業を控え、生産性を上げるためには、集中して仕事をすることも大きなテーマです。
作業中、どうしてもほかのことに意識が向いてしまって、なかなか仕事が進まないことに悩んでいるなら、意識して集中力を高めましょう。
では、人の集中力は、そもそも何分くらい続くものなのでしょうか。東京大学薬学部の池谷裕二教授が中学1年生を対象に行った実験の結果、「15分学習を3回続けたグループのほうが、60分続けて学習をしたグループよりも学習効果が高い」ことがわかりました。
人の集中力は、60分は続かない、ということでしょうか。
そういえば小中学校の授業時間は45分~50分で区切られていますし、たいていのテレビ番組は10分から15分あたりをめどにCMが入ります。9時の出社だとして、「お昼休憩まで3時間バリバリ頑張る!」というわけには、なかなかいかないということです。
では、実際には何分ごとに休憩するのが、集中力を持続させるのに最も効果的なのでしょうか。また、集中力をアップさせる良い方法はないものでしょうか。学説や心理学実験から、そのヒントを紐解きます。
ヒント1: ポモドーロ・テクニックを使う
フランスの起業家、フランチェスコ・シリロが考案した仕事術に、ポモドーロ・テクニックがあります。25分作業をした後、5分間の休憩をとります。これを「1ポモドーロ」とし、4ポモドーロごとに30分の休憩をとるというものです。
ポモドーロ・テクニックには、「25分の作業中は、他のことをしない」という約束事があります。顧客からの電話がひっきりなしに鳴るような仕事をしている人には、少し難しいかもしれません。しかし、とくにペースを乱されたくないときは、思い切って「○分後に折り返します」と伝言を。1ポモドーロが終わったら、休憩時間のうちに折り返し連絡しましょう。1ポモドーロが終わらないうちはほかのことをしないのが原則です。
電話もメールも、5分間の休憩中にしかできないようでは「仕事にならない!」という悲鳴が聞こえてきそうですね。もちろん、任されている作業の内容によっては困難なことがあるでしょう。自分の仕事に合わせて、どんどんアレンジしていきましょう。「今日はこの作業をするために、絶対に2ポモドーロは確保する!」などとスケジュールを組むのもいい手です。
ヒント2:中央にポイントのあるPCの壁紙で集中力アップ
情報処理学会に寄せられたレポートに、どんな壁紙がPCでの作業効率をアップさせるかを試した実験結果があります。レポートによれば、「白地」「黒地」「内向きの縞模様」「外向きの縞模様」「ランダムなドット」のうち、「内向きの縞模様」を用いたPCの壁紙が最も集中力アップに役立ったとのこと。
内向きの縞模様は、PCの画面の中央に視線を集中させる効果が期待されます。視線がPCの外に向くことで、集中力がそがれてしまうのを防いでくれるのでしょう。つまり、画面中央にポイントのある壁紙を使用すれば、同じような効果が期待できることが考えられます。作業中、いろいろなものが気になってしまう人は試してみたいですね。
ヒント3:ザイガルニック効果を使う
なかなか気が進まない仕事や勉強も、いったん手をつけてしまえば「最後までやるぞ」という意欲が湧いてきます。このような効果は、心理学用語で「ザイガルニック効果」と呼ばれています。
ザイガルニック効果を逆手に使い、集中力を高めましょう。作業を中途半端なところでやめて、「もうちょっと進めたかった」と心残りな状況を、わざと作るのです。すると、次に作業を始めるときは「残しておいたあの作業をやろう」と、意欲が自然に湧いてきます。
ただ、中途半端なまま作業を終わらせると、気になってほかのことに集中できない可能性もあります。そんなときは、タスクをきちんと書き出しておきましょう。残りの作業をいつやるのかを明確にしておけば、安心してほかの作業に取り掛かることができます。
長時間の過集中は危ない! こまめに休憩して身体のメンテナンスを
集中力が続くのはいいことですが、PC作業など身体が固定されたままの仕事を長時間続けると、身体にガタが来ます。特に目が疲労を感じると、肩こりや頭痛、吐き気などにつながりやすく、かえって仕事ができなくなってしまう危険性も。集中力を高めて短時間で一気に作業をし、こまめに休憩を取ることで、なるべく身体をいたわってあげましょう。
参考
「PC作業時の集中力向上のための作業用壁紙」(橘卓見 ほか)