資格取得のため勉強を始めたものの、なかなかうまくいかない……。「高校生の頃はこんなに記憶力が悪くなかったのに」とぼやく人もいるでしょう。でも、記憶力は年齢によって低下しないことがわかっています。
- ランガ―博士のカウンタークロックワイズ実験
- エビングハウスの忘却実験
- 記憶力の本当の敵は意欲の低下
- 高校受験、大学受験を繰り返す気持ちで真剣に勉強を!
ランガ―博士のカウンタークロックワイズ実験
ハーバード大学のエレン・ランガ―教授は、著書『「老い」に負けない生き方』の中で、自身が行った「カウンタークロックワイズ実験」を紹介しています。75歳の男性16名を田舎の一軒家に集め、「20年前に戻ったつもり」で一週間暮らしてもらいました。
その一軒家には、20年前を彷彿させるものが揃っていました。当時風のインテリアにテレビ、ラジオ、雑誌や新聞なども20年前のもの。参加者たちは、まるでタイムスリップしたかのような一週間を過ごし、当時を振り返りながら楽しく過ごしたといいます。
そして一週間後、ランガ―教授は参加者たちに対して様々なテストを行いました。すると、参加者たちは記憶力が向上し、身体の柔軟性や視力、握力もぐんとアップしたとのこと。心身ともに、実際に20年前に若返ったような輝きを見せたのです。
この実験結果から、ランガ―教授は「私たちの限界を決めているのは肉体ではなくむしろ脳」であると結論づけました。もしそうだとすれば、「もう、トシだから」という言葉そのものが、記憶力を低下させている原因であると考えられます。なんとももったいない話だと思いませんか。
エビングハウスの忘却実験
また、年を取ると記憶力が衰えるとよく言われますが、それも心理実験によって否定されています。ドイツの心理学者、エビングハウスの実験によると、人は無意味な言葉を暗記した後、20分後には42%、1時間後には56%、1日後には74%を忘却することがわかりました。
そして、60代と20代では、記憶力に大差はないということもわかりました。いったん暗記を行った場合、忘却の度合いに年性差は関係ないことが実証されたのです。
記憶力の本当の敵は意欲の低下
和田秀樹、池谷裕二といった複数の心理学者や脳科学者が、記憶力の本当の敵は意欲の低下であると言っています。意欲の低下が記憶力の敵であるとはどういうことかといえば、つまりそもそも「覚えようとしない」ことが問題であるということです。
われわれ大人は、資格取得が叶わなくても、人生が劇的に変わることはないと知ってしまっています。そんな態度で生ぬるく勉強しても、なかなか覚えられないのは当然ですよね。対して、受験生はその後の人生をかけて勉強していますから、みんな必死。初めからモチベーションが違うのですから、記憶力が若い頃に比べて衰えたように感じるのは当然かもしれませんね。
高校受験、大学受験を繰り返す気持ちで真剣に勉強を!
ランガ―、エビングハウス、そして複数の心理学者や脳科学者の実験分析を総合すると、勉強する際は受験を繰り返すつもりで挑むことが何より大事だとわかります。自分が今まさに学生で、今から受験にチャレンジするのだとイメージを膨らませて励みましょう。
高校生になったつもりで勉強していれば、もしかしたら脳だけでなく、身体のほかの部分も若返るかもしれません。肌ツヤ、声の質、髪の毛の薄さなどなど……「最近、老けたなあ」と思っている人はとくに、実践する価値アリです。
参考