大人になって試験勉強から完全に解放されると思ったら、資格試験や社内で必要な語学などの試験を課されたり。じつは試験を乗り切る記憶力が必要なことがわかってきます。そんな人のために記憶の達人の記憶法を紹介します。
- 大人になっても必要になる記憶力
- 薄い記憶を重ねていく勉強法
- 勉強する時間もメンタルも重要
- 紙に目標を書いて脳をゴールに向かわせる
大人になっても必要になる記憶力
記憶力があればと思うことは、大人になっても少なくありません。受験勉強のときのように、すべての時間を勉強に費やせるわけもなく、仕事や家事の隙間時間や休日に勉強することが多くなるので、短時間で暗記できるのかとても重要です。
そこで世界記憶力選手権で、日本人初の「記憶力グランドマスター」に輝いた池田義博さんの著書『脳に任せる勉強法』から驚きの記憶法を紹介します。
薄い記憶を重ねていく勉強法
記憶について少しでも調べたことのある人ならエビングハウスの忘却曲線を聞いたことがあるでしょう。人は20分後には42%を忘れ、1時間後に56%を忘れ、1日後には74%を忘れるという絶望的な棒グラフです。
こんなに早く忘れてしまうなら、どうすればいいのかと思ってしまいますが、こうした脳の特性に注目して、池田さんが開発したのが「3サイクル反復速習法」です。
とにかく学習のスピードを上げ、復習までの時間を短くし、ペンキの薄塗りのように、何度もペンキを重ねていく勉強法です。
やり方はテキストをとにかく早く読むこと。ただし1ページを読み終わったら、もう一度初めに戻って読み直して2ページ目まで読み、さらに1ページに戻って3ページまで読み、次に2ページから読み直すというもの。つまり必ずテキストを3回読み直しながら読み進めていくのです。
ここで重要なのは、あくまでもスピードです。わかりにくい部分は後回しにして、どんどん読み進みます。こうやって1回目の通読が終わったら、頭から普通にページを繰る2回目の通読をし、それが終わったらまた頭から普通にページを繰る3回目の通読を終わらせます。
わからない部分を無理に理解しようとしなくても、読んでいくうちにテキスト全体の理解が増していき、何度も読み返すなかで理解していくことも多いそうです。
この勉強法は、忙しい大人に使いやすい方法でしょう。
勉強する時間もメンタルも重要
本書には、「3サイクル反復速習法」以外にも、さまざまな記憶法や記憶を増やすための工夫が記されています。
その中で注目したいのは、脳が働きやすい時間帯が書いてあることでしょう。朝起きてからの2時間と午後4時ぐらいから夕食までの数時間は、特に勉強に適しているとのこと。そのゴールデンタイムを活用することで勉強の効率はきっと上がることでしょう。
さらに本書で面白いと感じたのは、「世界グランドマスター」を獲得するためのメンタル管理術を公開していることです。
池田さんは、面倒と感じる行動をするときは、「つらさを望む、苦しさを望む」と頭の中でつぶやいていたそうです。マイナスに取り組むことが成功の前提条件だと考えて、面倒くさいこと、苦しいこと、つらいことを探して優先的に取り組むようにしたというのです。
ついつい先延ばしにしがちな運動や掃除など、「今日はいいか」と思ったときほど、「つらさを望む、苦しさを望む」と唱えて行動する。その結果、意識が変わっていき、目標も大きくなり、挫折もしないようになってきたそうです。
ストイックな生き方に見えるかもしれませんが、まず面倒なことから手を付けてみるという習慣は、忙しさなどで挫折しがちな大人にとって成功への近道かもしれません。
紙に目標を書いて脳をゴールに向かわせる
もう一つ、目標達成のためのメンタル管理について紹介しておきましょう。
それは目標を紙に書くこと。
「最終目標のみを紙に書くのはなく、ゴールを達成するまでのあいだに必ずクリアしなければならない小さな目標をたくさん書いておくこと」
と本書には書いてありました。
自分の目標をしっかり脳に刻み込むことで、脳は自動的に目標に向かって動き始めるので、紙に目標を書くことはとても重要なポイントなのだそうです。
大人の勉強は時間が限られているため、大まかな進行予定表を作ること多いでしょう。そのときに大きな目標とそれに連なる小さな目標を設定して、紙に書いてみてはいかがでしょうか?
資格試験に臨もうとしている人は、ぜひ参考にしてみてください。
参考
『脳に任せる勉強法』(池田義博 著/ダイヤモンド社)