顧客が本当に欲しいものを探り当てる!潜在ニーズの引き出し方

営業力のあるセールスパーソンになりたいと思ったら、顧客の潜在ニーズを探り当てることが欠かせません。人は、意外と自分が本当に望んでいるものが何なのかを知りません。顧客の潜在的なニーズを引き出す効果的な質問例をご紹介します。

  1. 潜在ニーズとは、本人が自覚していない本当の欲求のこと
  2. 顕在ニーズを満たすだけでは顧客満足度は上がらない
  3. 顕在ニーズが満たされなくても、潜在ニーズが満たされることで満足度は上がる
  4. 潜在ニーズを引き出す質問7つ
  5. 潜在ニーズを引き出せれば、新たなサービス提供の可能性が広がる

潜在ニーズとは、本人が自覚していない本当の欲求のこと

潜在ニーズとは、本人が自覚していない本当の欲求を指します。例えば、「●●という衣料用洗剤が欲しい」というのは顕在ニーズ、つまり本人に見えていて、他人に示すこともできる表面的なニーズです。これに対し、潜在ニーズは「それによってどんな状態になりたいと望んでいるのか」という根本的な欲求を指します。

衣料用洗剤の例でいえば、●●という洗剤が欲しいのは「以前使って、汚れが良く落ちたから」「汚れが良く落ちると評判だから」などといった理由からかもしれません。つまり、表面的なニーズは特定の洗剤を買うことですが、心の奥底には「衣類の汚れをしっかり落としたい」というニーズが隠されています。

さらに、衣類の汚れをしっかり落としたいのはなぜかといえば、「汚れをサッパリ落としてスッキリした気持ちになりたい」「他人から見て恥ずかしくない外見をキープしたい」といった理由があるのかもしれません。この「スッキリしたい」「見栄えよくしたい」という想いが、潜在ニーズと考えられます。もちろん、突き詰めていけばもっと根源的なニーズも見つかるかもしれません。

顕在ニーズを満たすだけでは顧客満足度は上がらない

実は、顕在ニーズを満たしているだけでは、顧客満足度は維持こそできるかもしれませんが、アップすることはなかなかありません。顕在ニーズが満たされても、その後潜在ニーズが満たされることがなければ、顧客は商品から離れてしまうからです。

先ほどの衣料用洗剤の例でいえば、●●という商品を買ってはみたものの、「以前ほど汚れ落ちが良いと思えなくなった」「評判ほど汚れ落ちは良くなかった」と感じれば、二度と●●という商品を買うことはないでしょう。また、「スッキリサッパリしたい!」「外出先でも部屋干しの臭いに気づかれない!」といった、潜在ニーズに訴えかける宣伝を見てしまえば、「次からはこっちの洗剤にしよう」とたやすく乗り換えてしまうかもしれません。

顕在ニーズが満たされなくても、潜在ニーズが満たされることで満足度は上がる

また、こんな経験はないでしょうか。「どうしてもシュークリームが食べたくて、深夜にコンビニに行ったのにシュークリームがない……店内をうろうろしたあげく、ウェットティッシュを切らしていたことに気づいて買った。なぜか満足した」。この場合、「買い物にでも出かけて気分転換したい」「何かにお金を使いたい」という潜在ニーズが満たされたと考えられます。

このように、目当ての物がない場合、代替品を購入して気分を落ち着けるという経験は、たくさんの人が経験していることかもしれません。顕在ニーズが満たされなくても、潜在ニーズが満たされれば満足度が向上するというのです。

潜在ニーズを引き出す質問7つ

個々で、潜在ニーズを引き出す質問を7つご紹介しましょう。セールスの際、相手の話に相槌を打ち、望みの商品を差し出すだけではなく、ちょっとした質問をすることで相手の本音が見えてきます。

・「以前使っていた商品には、どんな不満がありましたか?」

不満を聞き出すことで、欲求が見えてきます。

・「一番困っていることって何でしょう?」

いったん、話題の中心を特定の商品から顧客そのものに移すことで、観点が変わります。意外なニーズが出てくる質問です。

・「どうしてこの商品が欲しいと思ったのですか?」

「なぜ?」を突き詰めていけば、潜在ニーズにたどり着きます。しかし、商品によっては戸惑わせてしまうかもしれません。具体的に商品を比較することで、相手が答えやすくなすケースもあります。例えば「どうして〇〇(業界1位の商品)ではなく、●●を選ばれたのですか?」といった質問の仕方です。

・「この商品を使って、何をしたいですか?」

この質問も商品によっては戸惑わせてしまうかもしれません。洗剤なら、「洗濯に決まってるでしょ!」と言われそうです。「特に何を洗濯したいですか?」と質問を変えれば、「だんなの靴下!」「子どもの食べこぼし!」と答えが返ってきます。このように、車であれば「どこへ、誰と行きたいか」などと質問を置き換えてみましょう。

・「例えば、こちらの商品ではどうですか?」

他の商品で代替が可能かを問えば、より潜在ニーズが浮き彫りになります。「これじゃダメなんだよ。だって……」と、語り始めてもらえればしめたものです。

・「将来的には、どんな商品を買いたいと思っていますか?」

さらにグレードの高い商品を望んでいる場合にはとくに、この質問が有効です。顧客が「グレードアップしたい」と望んでいれば、より便利な、より見栄えのする、より快適な暮らしを望んでいるということ。「この商品が気に入っているから、これでいい」という答えが返ってきたら、さらにその商品のどこを素晴らしいと思っているのかを尋ねてみましょう。

・「これで安心ですね!」

望みの商品を手にした顧客に、この言葉をかけてみましょう。「そうですね、でも……」と、「もっとこうだったらいいと思っている」といった、さらなる欲求を打ち明けてくれるかもしれません。

潜在ニーズを引き出せれば、新たなサービス提供の可能性が広がる

潜在ニーズをきちんと引き出せれば、また別の商品を提案するチャンスが生まれるだけでなく、新たなサービス提供の可能性が広がります。さまざまな顧客にヒアリングをしていくことで、たくさんの人の潜在ニーズが浮き彫りになることでしょう。そこから、潜在ニーズをきちんと満たす商品開発のヒントが明らかになるかもしれません。

参考:『誰でもすぐできて成果も上がる30代からの「うまい仕事のやり方」』日経ビジネスアソシエ

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