リーダーシップを取らなければならない立場になったときに重要なのは、チームメンバーに仕事を上手に頼むことができるかどうかではないでしょうか。頼み上手になるためのコツをご案内します。
チームメンバーが仕事をやってくれないのは、あなたの頼み方のせいかも
プロジェクトを進めなければならないのに、なぜか誰も仕事に着手してくれず、やる気を鼓舞するすべもわからず、気づけば提出期限がとっくに過ぎてしまっている……そんな経験はありませんか。自分は誰かを率いる器ではないのかもと、自信を失ってしまうかもしれません。 そんなときは、仕事の頼み方がまずいのかもしれません。言い方一つで、部下や同僚をその気にさせることができます。明日から試せる簡単な言い回しばかりですから、ぜひ活用してみてください。
「○日までにお願い」はNG、「○日までにできますか?」が正解
チームメンバーには、他にもさまざまな仕事があります。「これを○日までにお願いします」と初めから断定してしまうと、相手の状況への配慮が欠けているとみなされかねません。結果、モチベーションの低下につながる可能性が高くなってしまうかもしれません。
仕事の依頼をするときは、指示よりも質問をすることを心がけましょう。「○日までにできますか?」と質問をする形で依頼をすれば、相手にも選択の余地があるというメッセージになります。また、「YES」を引き出せれば、相手にとっても自分の意志で期限を判断したことになり、責任感が生じます。
「誰かやってくれませんか」はNG、「あなただからこそできると思う」が正解
「誰か」と声をかけていると、誰も振り向いてくれません。「あなたに頼む」ときちんと指名し、また、「この仕事は、几帳面でミスの少ないあなただからこそお願いします」と、仕事を頼む理由も添えましょう。相手の使命感を引き出します。
「手が空いているときにお願い」はNG、期限をしっかり決める
チームメンバーは忙しいのが常で、「手が空いているとき」なんてありません。もし、「手が空いているときにお願い」などという頼み方をしたら、永遠に仕事は上がらないでしょう。指示があいまいにならないよう、期限をしっかり決めることが大切です。
大きな仕事は「まずは●●を●日までにお願いできる?」とタスクを細分化
企画立案、プレゼン資料の提出など、やや時間のかかる仕事の場合は、最終的な期限を言い渡すだけでは足りません。「まずは●●を●日までにお願いできる?」とタスクを細分化し、スケジューリングをコントロールしてあげましょう。さもなければ、締め切り日にアタフタしながら仕事に取り組むメンバーの姿を見ることになりかねません。
「どっちの仕事をやりたい?」でゼロ回答をシャットアウト
とくに「やれません」「できません」が多いメンバーには、2つの仕事を持っていき「どっちをやりたい?」と聞くのがポイントです。「やれるかどうか」ではなく、「どっちをやりたいか」を聞けば、少なくともゼロなくなるかもしれません。
「できない理由」に注目し、譲歩しよう
「NO」と言われたときも、そのまま引き下がるのではなく、「なぜできないか」に注目しましょう。「期限が短すぎる」と言われたときは、「では○日までならできますか?」と譲歩します。「大量すぎる」と言われたなら、「○○さんにも手伝ってもらえればできそうですか?」と、分業を提案します。こうしてネガティブ発言から「YES」の種を引き出しましょう。
横から話しかけるのもあり
真正面から対面すると、心理学的には「敵対」のサインになりがち。真剣な話し合いでは有効ですが、お願い事をするときには不向きかもしれません。とくに無理めの依頼をしたいときには、横から話しかけてみましょう。自分も緊張せず、楽に話しかけられるはずです。
フィードバックがあるとさらに◎
仕事が上がってきたときに「ありがとう」と声をかけるのは最低限のマナーです。それに加えて、「その仕事がどのように役に立ったか」を伝え、重ねてお礼を言うといいでしょう。自分の仕事がどのように会社に貢献したかが具体的にわかれば、メンバーのモチベーションはさらに上がります。
「この人の頼みならやってあげたい」と思われる上司になろう
言い方一つで、メンバーのモチベーションは上がりも下がりもします。ストイックに仕事へ取り組む人ほど「どんな頼み方をされても、仕事は仕事」と割り切って動いてしまいますが、みんながそう考えられるわけではありません。上手な頼み方をマスターして、チームリーダーにふさわしい人材として一歩成長しましょう。目指すは、「この人の頼みなら、やってあげたい」と思われる上司かもしれません。
参考:『誰でもすぐできて効果も上がる30代からのうまい「仕事のやり方」』日経ビジネスアソシエ