親と上司は自分で選べません。相性の悪い上司についてしまうと「運が悪かった」と思い、転職しかないと考えてしまいがち。でも諦めないで!ボス・マネジメントが、あなたの働く環境を心地よいものに変えます。
- 上司を戦略的に活用するボス・マネジメント
- 上司を理解するためのポイント6つ
- 上司とうまくやるためのコツ3点
- 上司の仕事のやり方に口を出さない
- コミュニケーションを密にして、お互い働きやすい職場に
上司を戦略的に活用するボス・マネジメント
ボス・マネジメントとは、仕事が円滑に進むよう、また組織の目的を果たせるよう、部下が上司に働きかけを行うことです。ようは、上司とうまくやっていき、長く一緒に働き、チームの業績もアップさせるためのスキルといえます。
一般的には、上司から下される業務命令は絶対と考えられていますし、ときには理不尽な指示に従うのも部下の務めと思われているのではないでしょうか。しかし、それではいつか部下が行き詰ってしまいます。会社にとって、それは不幸以外の何物でもありません。
部下も上司も、上意下達だけで仕事を回すという凝り固まった考え方を捨て、お互いコミュニケーションをとりながら柔軟に対応していく。そんな職場であれば、離職率はぐっと低くなるでしょう。また、パワハラなども発生しにくくなるでしょう。
上司を理解するためのポイント6つ
実際にボス・マネジメントを行うためには、まず上司を理解しなければなりません。上司を理解するためのポイントとして、ハーバード・ビジネス・スクールの名誉教授であるジョン・ガバロとジョン・コッターは、次の6つを掲げています。
・上司の組織上の目標、個人的な目標は何か。
・上司へのプレッシャー、とくに彼あるいは彼女の上司や他部門の上位者からのプレッシャーはどのようなものか。
・上司の長所、盲点はどこか。
・どのようなワークスタイルを好むか。
・例えばリポート、正式な会議、電話などによって、情報を入手しているのか。
・対立を増長させるのか、それとも極力避けたがるのか。
(『マネジャーの教科書』より抜粋』)
上司の目標とプレッシャー、強み、弱みを理解しておくことで、上司の立場に立って考えることが可能になります。するとどのような提案であれば乗ってくれるのか、どんな仕事のやり方であれば認めてもらえるのかがわかるでしょう。言葉のかけ方一つで、受け入れてもらえるか否かが変わってきます。
上司とうまくやるためのコツ3点
ジョン・ガバロとジョン・コッターは、上司とうまくやるためのコツとして、次の3点も掲げています。
・上司の目標、課題、プレッシャーに関する情報を収集する。
・上司やその周囲の人間に訪ね、自分の仮説を検証するチャンスを逃さない。
・上司の行動から読み取れるヒントに注意を払う。
(『マネジャーの教科書』より抜粋』)
まるで推理探偵のようですね。でも、こうして上司に関する心理情報を積み重ねていって、「自分がこんな提案をしたら、上司はこんなふうに切り返してくるだろう」と予想できるようになることで、ボス・マネジメントは容易になっていきます。
上司の仕事のやり方に口を出さない
上司を知っていけば、自分と違う考え方や仕事の仕方をしていると気づくこともあるでしょう。もしかしたら、「もっとこうすればうまくいくのに」と、仕事のやり方についてあれこれ言いたくなるかもしれません。しかし、そこはぐっとこらえたほうが良さそうです。仕事のやり方にまで口を出せば、「部下にそこまで言われたくない」と、怒りに触れてしまう恐れがあります。
上司の仕事のやり方は、長年積み重ねてきた、愛着のあるもの。「このやり方でマネージャーに昇進してきた」という自負もあります。そこは尊重しましょう。また、尊重し、観察することで、あなた自身にも仕事のやり方について気づきがあるかもしれません。
同じ職場にいても、考え方や仕事のやり方が全く同じという人は、なかなかいないでしょう。それぞれが、それぞれのやり方で、同じ目標に向かって邁進していくのです。多様性を理解し、自分のやり方を押し付けないよう、気をつけましょう。
コミュニケーションを密にして、お互い働きやすい職場に
上司を観察し、仕事のやり方や考え方に違いがあることを認め、マネジメントしようとすれば、自然とコミュニケーションが生まれます。上意下達の上司と部下よりも、一歩踏み込んだ意思疎通ができるようになるでしょう。ボス・マネジメントの目的の一つが、コミュニケーションの深化です。お互い働きやすい環境を築くためにも、会話のやり取りを密に行いましょう。
偏屈上司に悩んでいる人も、新しいマネジャーのやり方に戸惑っている人も、まずは「この人は、何を大事にして仕事をしているのだろう?」と観察することから始めてみて。きっと、意外な気付きがありますよ。
上司とのコミュニケーションを向上したい方はこちらをご覧ください。
参考:『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー、ダイヤモンド社