仕事で自分の意見をうまく伝えられないとき、「あの人みたいにズバズバモノを言えたらなあ」と思うことはありませんか。その人になりきってしまえば、きっと仕事が円滑に進むはず。モデリングで、今までの自分を脱しましょう。
モデリングとは模倣を行うことで理想の考え方や行動力を獲得する手法
モデリングとは、理想の考え方や行動をしている人に「なりきる」ことで、自分もその考え方や行動を獲得する手法です。あなたが仕事のうえで尊敬している人は誰でしょう。なりきるのは、上司や社長など身近な人はもちろん、スティーブ・ジョブズや福沢諭吉など、世界的な実業家や歴史上の人物でも構いません。
ターゲットを決めたら、その人の考え方や行動について、特徴的なところをなるべく多く見つけます。尊敬できる考え方だけでなく、口癖や服装などもよく観察してください。こうして、「なりきる」ための要素を集めていくのです。
私たちは日常的にモデリングを行っている!
「なりきるだけで、本当にその人になれるわけがない」と思う人もいるでしょう。しかし、モデリングの理論は心理学では有名なもので、また、私たちは日常的にモデリングを行っているともいえます。最も身近なのが、子どもの「ごっこ遊び」です。子どもたちは、大人のまねごとをすることで、生活に必要な能力を獲得していきますよね。
また、アニメのキャラクターになりきってコスプレをする、憧れのバンドの演奏をコピーするというのも、モデリングの一種です。コピーすることで演奏が熟達していき、やがてプロ並みに上手くなる。そんな例を見たことがある人も、いるのではないでしょうか。
ニュービヘイビア・ジェネレーターで、モデリングできる
では、モデリングは、実際にはどのように行えばいいのでしょうか。ここでは、NLP(神経言語プログラミング)が提唱している、ニュービヘイビア・ジェネレーターという手法をご紹介しましょう。
A上達したい行動を一つ思い浮かべる(人前で上手に話すなど)
Bそれがうまくできている人(モデル)を思い浮かべる
①モデルは「身近な人」「タレント」など具体的にイメージできる人の方がよい。
②目の前に映画のスクリーンをイメージする。
③そのスクリーンにモデルを投影する。その際、表情、身振り、声のトーンなどもはっきり具体的に思い浮かべる。
④映画監督や舞台演出家のように、その人に自分の欲しい行動をとらせて、注意して見る(もし、うまくいかなかったらモデルを入れ替える)。
⑤自分が望む行動と目の前のイメージが一致したら、フィルムを止める。
Cモデルと自分の映像を入れ替える
①スクリーン上のモデルを自分自身の映像に入れ替えて見る。
②満足したらフィルムを止める、映像を修正してもよい。
Dスクリーン上の自分に入り込み、実際に身体を動かす
①自分が実際に行動しているかのように体験する。見えるもの、聞こえる音や声、身体感覚も大切にしながら体験する。
②十分にイメージが身体に焼き付くまで繰り返し体験する。
『マンガでやさしくわかるNLP』より抜粋
なりきれば、いつの間にかその思考や行動力が自分のものになる!
ニュービヘイビア・ジェネレーターの手法が示している通り、理想の自分になるには、まずはモデル、つまり「理想の状態を獲得している人」を見つけることが必要不可欠です。「ああなりたい」と、少しでも感じたら、その感情を大事にしましょう。そして、その人をつぶさに観察するのです。
考え方や行動だけを真似ても、身につけるのは難しいかもしれません。そんなときは、服装や髪形、口癖、しぐさなども真似てみましょう。そうやって、細部までその人に「なりきる」ことで自然と理想の思考が身についてきます。
職場で上司の服装や髪形を真似してしまったらさすがに気付かれる……と思う人は、上司の持っているものに注目してみて。ハンカチやボールペンなど、こっそり同じようなものを持ってみるのもいいでしょう。「同じものを持っているね」と気づかれたら、「●●さんのファンですから!」と笑顔で言い切りましょう。そう言われて、気を悪くする人はなかなかいません。
モデリングは職場の面談やコミュニケーション向上にも役立ちそうですね。興味のある方はこちらをご覧ください!
参考:『マンガでやさしくわかるNLP』山崎啓支、日本能率協会マネジメントセンター