物事を粘り強く進めていくためには、どうすればいいのでしょうか?心理学の研究は、いくつかの答えを探し出しています。どうすれば続くのかを、今回はモチベーションの観点から考えてみたいと思います。
- ポイントは「人生の目的」を持つこと
- ロールモデルを見つけてみる
- 日々の生活を意義あるものに変える
- 15年後を想像してみる
- ここまでのまとめ
ポイントは「人生の目的」を持つこと
物事を粘り強く進めたい。多くの人は、そう願っていることでしょう。瞬発力でどうにかなることも多いものですが、結局のところ物事を成し遂げるには、あきらめずに続けることが必要になるからです。
やり始めたときは不器用さばかりが目立っていたのに、毎日の練習のおかげでプロかと見間違うほどのスキルを身につけている。そんな友人・知人はいませんか? 「継続は力なり」は疑うことのない真実です!
では、続けるために必要なことは何でしょうか?
よく言われるのが目的や目標です。自分が心から願う目的のためなら、「努力しよう」と思わなくても続けることができるからです。よく言われる例え話ですが、ただ石を積んでいるのと、教会を作るという目的を持った石積みでは、行動に対する意識も継続性も変わってくるのです。
『やり抜く力』の著者であり、持続させることの専門家であるアンジェラ・ダックワース・ペンシルベニア大学教授は、大きな目的を持つことが重要だと書いています。「人生の目的」があり、それに連なる目標であれば、簡単に放り出すことはないというわけです。
ロールモデルを見つけてみる
「人生の目的」に「社会的な動機」と「個人的な動機」の両方がかかわると、「やり抜く力」がアップするそうです。
例えばビジネスなら、「人に役立つ」「みんなの生活を改善できる」という「社会的な動機」と併せて、「売っている商品が好きだ」「お金がもうかる」といった「個人的な動機」が必要なのです。
さらに、「人生の目的」を成し遂げるためにお手本となるべき人物「ロールモデル」を見つけるといいとのこと。目的をもって生きることは、必ずしも簡単ではなく、ときにさまざまな困難に立ち向かう必要が出てきます。それでも頑張った先には、本当の満足がある。そんなことを学べるロールモデルがいれば、困難に直面しても、決めたことを継続する確率は高まります。
日々の生活を意義あるものに変える
さて、人生の目的と、そのロールモデルが見つかったら、ぜひ試してもらいたいメソッドがあります。それはもっと「意義」を感じられるように変化を起こすことです。
まず自分が見つけた人生の目的が、日々の行動とどうつながるのかを考えてみましょう。例えば「子供が成長したときに豊かな自然を残す」ことを「人生の目的」としている食品メーカーの営業マンならば、環境に優しい自社商品を販売していることが「人生の目的」とつながります。
また英会話や資格試験など継続が必要な行動も、「人生の目的」とどうつながるのかを考えてみましょう。
15年後を想像してみる
最後に今から15年後の自分を想像して、そのとき一番大切なものが何かを考えてみましょう。「人生の目的」に突き動かされ、努力を続けた日々の先に見えるものは何でしょうか?
家族や仲間の笑顔ですか?あるいは大変な苦労を背負っている人々の環境の変化でしょうか?たゆまぬ努力を続けた先にあるものを想像することで、日々の行動は強化されていきます。くじけそうになった時も、このメソッドが助けてくれるでしょう。
ここまでのまとめ
最後に「やり抜く力」を強化するための行動をまとめておきましょう。
①「人生の目的」を見つける
もしかすると最初に見つけた「目的」は、とてもささいなことかもしれません。それでもかまいません。小さな目的を達成したことで、もっと大きな目的に気づくことがあるのですから。
②「人生の目的」に「社会的な動機」と「個人的な動機」を見つける
片方だけではなく、必ず両方を見つけてください。ポイントは「社会的な視点」と「個人的な視点」の両方から「人生の目的」を見つめ直すことです。
③ロールモデルをみつける
自分の人生の目的を実行している人がいないか、自分の周りや書籍などから探してみましょう。ロールモデルが、どんな困難を、どうやって乗り越えたのかを知ることで、将来展望も具体的になっていくでしょう。
④日々の行動と「人生の目的」をつなげる
接点が見つかれば、行動は強化されます。そうすれば三日坊主で放り出すといった行動もなくなるでしょう。
⑤15年後の自分を想像して、最も大切なものを考える
「人生の目的」に従って生きた自分の輝かしい未来で、大切に感じるものが何なのかを把握しましょう。
今回は「やり抜く」ためのモチベーションを、大きな視点から考えてみました。ぜひ、試してみください。
参考:
『やり抜く力』(アンジェラ・ダックワース 著/ダイヤモンド社)