人生は目標設定によって変わってくるとは、よく言われていることです。しかし、実際にはどのように目標を設定すればいいのかを知らない人も多いでしょう。心理学を活用した効果的な目標設定の方法をお知らせします。
- 目標設定のための「MACの原則」とは
- 自分の価値観とのすり合わせは重要少し具体的に考えみましょう。
- 目標に沿った計画の100%達成にこだわらない
- 最悪は目標を手放すこと
目標設定のための「MACの原則」とは
どのように目標を設定するのかといったとき、自分のレベルに合った目標を立てることが重要だと聞いたことはあるでしょう。ミシガン大学の心理学者J・W・アンとキンソンは、目標設定のレベルによってモチベーションが変わることを証明しています。
しかし、こうした情報だけで目標を設定するのは危険です。というのも目標のレベルにだけ気を付けても、目標を達成できないからです。
そこでメンタリストDaiGoの著書『倒れない計画術』(河出書房新社)で紹介している「MACの原則」を紹介しましょう。
この原則は、適切な目標設定の考え方を示したものです。そして、そのルールは難しいものではありません。要素は、MACを頭文字とした3つ。
Measurable(測定可能性) ……数値で測定な可能な目標設定であること
Actionable(行動可能性) ……目標にたどり着くプロセスを書き出せること
Competent(適格性) ……目標が自分の価値観に基づいていること
すでに立てた目標があるなら、「MACの原則」を使って、その目標が最適なものかを判断する必要があるでしょう。
自分の価値観とのすり合わせは重要少し具体的に考えみましょう。
例えば、「集客のイベントを成功させる」といった目標はどうでしょうか?
まず、数値目標がなく、何が成功かもわからないので「M」が満たしません。その上、目標が明確ではないので、「A」を考えることもできないのです。
この目標を「イベントの集客を10%増やす」と目標設定すれば、「M」はクリアすることになります。また「前年」を基準にしたのですから、前年どのような仕掛けをしたのか調べ検討する必要が出てきます。そうした結果によって、目標達成のための行動が決まってきます。
例えばWEBでの宣伝を強化するためにはどうすればいいのか。昨年の来場者への通知はどうするのか。予算と付け合わせながら行動計画を立てることができます。
さて、ここまで考えたところで重要になってくるのは「C」です。
会社の命令なら否応なしの部分もありますが、会社の仕事を離れたものは、自分の価値観に合っているのかを真剣に考える必要があります。
例えば「英会話ができるようになる」といった目標はどうでしょう。英会話は本当に必要でしょうか? 簡単な会話なら翻訳機でという選択肢を考えると、旅行程度なら必要ないかもしれません。
また例えば売り上げ目標が、自身のプライベートを犠牲にしないと達成できないと思ったら、そこまでの数値が必要なのかを考える必要もあるでしょう。
目標に沿った計画の100%達成にこだわらない
さて、目標設定は計画実行と深く結びついています。
東洋大学の尾崎由佳准教授は、目標設定と計画の関係について面白い研究成果を発表しています。
2016年8月~10月の3ヵ月間、IT企業の社員を対象に、毎日立てる計画に「目標を立てたのか」「目標を実行できたかのか」を質問し、回答を集めました。
その結果、朝に立てた計画のうち実行されたのは全体の73%で、目標に近づけたと感じたケースが67%だったことがわかりました。
そして日々の計画の100%実行を目指すと、自分への失望からやる気をなくす傾向が強くなってしまうので、計画通りにいかないことを織り込んだ柔軟な発想が、結果的に計画実行と目標達成に近づく秘訣だとわかった判明したそうです。
最悪は目標を手放すこと
ここまで記事を読んで、ちょっと目標を立てたくなったりしていませんか?
そんな気分になったら、携帯でもいいので目標を立てて、「MACの原則」から自分にとって何が最適なのかを考えみましょう。
そして自分にとってベターな目標設定だとわかったら、日々の計画の中に目標を達成するための行動を落とし込んでいきましょう。そのとき重要なのは、100%計画通りには進まないという柔軟な思考です。
通常は7割の達成率なので、それを超えれば十分でしょう。ただし締め切りまでに間に合わせるために、少し早い時期の達成を目指して計画を立てる必要があるでしょう。
最悪のパターンは、自分に失望して目標や計画を手放すことです。たとえ2割しか達成できなくても、まったく実行しないよりは大きな前進です。
さあ、今日から目標を頭に置いて行動していきましょう。