目標設定が重要なことは言うまでもありません。
しかし多くの人は、目標達成を邪魔する「ご褒美」への欲求に負けていきます。今日は「ご褒美」に打ち勝つ方法を紹介します。
- 「正しい」ことの反動に負ける
- 長期の視点を取り戻す
- どうせ誘惑に負けるなら限定的に
「正しい」ことの反動に負ける
・少し無理な工程表をつくって数日間こなしてきたのに、いきなりさぼってしまった。
・ケーキを我慢した翌日に、何気なく甘いものを食べていた。
そんな経験は誰にもあるのではないでしょうか。どうして意志が長続きしないのだろうと落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
そんな人に質問です。
目標達成やダイエットを「正しい」と考えていませんか?
ケリー・マクゴニカル博士が書いた『スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房)は、目標達成のためのさまざまなスキルを書いてあることで有名な書籍ですが、そこで触れられている「モラル・ライセンシング」は、ぜひ知っておきたい知識でしょう。
「モラル・ライセンシング」とは、良いことをした反動で悪いことをしてしまう行動を指します。この本に掲載されている実験によれば、性差別主義的な意見や人種差別的な意見にきっぱりと反対した人ほど、続けて行われたマイノリティへの差別意識を測るテストで差別意識を表明してしまったそうです。
「正しい」ことをしたと感じると、人は少しぐらい悪いことをしてもいいと思うようになり、勝手にバランスを取ってしまうらしいのです。つまりダイエットが正しいと思っているなら、ケーキを我慢した後には、少し悪いことをしたくなり、お菓子をつまんでしまうというわけです。
しかも、結果的にダイエットは失敗しているのに、当人は我慢したご褒美だからと、罪悪感も抱きにくいとのこと。これは大問題ではないでしょうか。この「ご褒美」の罠にはまって、失敗してきた経験をお持ちの方も多いことでしょう。
長期の視点を取り戻す
ケリー・マクゴニカル博士は、「モラル・ライセンシング」対策の具体的な方法もしっかり書いています。
1.なぜ誘惑に負けなかったのか理由を考える
2.明日も同じ行動をすると考える
1のポイントは「なぜ」と考えることです。これが誘惑に負けなかったということをただ思い出すだけだと、ライセンシングが起きて自分を甘やかす行動にはしってしまうからです。
「なぜ」と理由を考えることで、「ご褒美」が「長期的な目標」の邪魔だと思えるようになるそうです。理由を考えるだけで69%の学生が誘惑に負けなかったというのですから、ぜひ試してみるべきでしょう。
2のように考えると、タバコの本数を減らせと言わなくても、自然に本数が減ってくるそうです。もしも今日誘惑に負けて、それをずっと続けることになれば、将来にわたって悪影響が起きる。そう認識するようになります。その想いが誘惑への抵抗になるのです。
どうせ誘惑に負けるなら限定的に
そしてもう1つ、誘惑に負けそうになった時にお勧めの方法があります。
3.誘惑への負け方を限定しておくこと
朝しっかりと走ってダイエットに成功したと思った途端、ライセンシングが起こったら「こんにゃくゼリー」のような低カロリーのご褒美を食べればいいのです。これまでの努力を一気に無にするような「ご褒美」を取ってしまうぐらいなら、影響の少ない「ご褒美」で自分を甘やかしておくというわけです。
ただし、あくまでも長期の目標を崩さない程度にしなければなりません。低カロリー食品だからと余計に食べてしまえば、結局、ダイエットは失敗するからです。
継続が力であることは誰もが知っています。しかし、さまざまな誘惑に負け、習慣になる前に継続が途切れてしまいます。そんな人にこそ試してほしい3つの対策法でした。