最近、いろんな職場から人手が足りないという話が聞こえてきます。
では、仕事でいっぱいいっぱいのとき、どんな人が手伝ってくれると思いますか? 気分と人助けの関係を心理学実験で説明します。
- 盛り上がった人は助けてくれる!
- テンションが低い人も助けてくれる!?
- 頼みごとをする人は好かれる
- 負荷をかけ過ぎるのはダメ
盛り上がった人は助けてくれる!
「もう、どうやっても仕事が終わらない」と感じることがありますよね。外注する時間も予算もない。といって頼みやすい人も仕事パンパン。「自分でやるしかないか!」とあきらめたかけたあなた、もしかしたら同僚が助けてくれるかもしれませんよ!
参考になる心理学実験を紹介しましょう。
アメリカの心理学者であるカニンガムは、気分によって「援助行動」が変わってくると考え、「気分を盛り上げたグループ」と「気持ちが盛り上がった後に沈んだグループ」を作り、ショッピングセンターで実験しました。
まず、公衆電話の硬貨返却口で10セントを置き、たまたま電話をかけた人が硬貨を拾うように細工したのです。これが「気分を盛り上げたグループ」です。
これに対して「気持ちが盛り上がった後に沈んだグループ」には、前のグループと同様に10セントを拾わせた後に、写真を撮ってくれとサクラが声をかけ、撮影後に「あなたのせいでカメラが壊れた」と文句を言って去っていく芝居をうちました。
さらに何もアプローチをしなかった人を加え、合計3グループを対象に目の前で大量の書類を落としたとき手伝うのかを調べました。
結果、コインを得たわけでも、カメラが壊れたと因縁付けられたわけでもない「平常心」の人たちは、30~40%が書類を手伝いました。一方、「気分を盛り上げたグループ」の人たちは、70~80%が拾うのを手伝ってくれたのです。
テンションが低い人も助けてくれる!?
では、「気持ちが盛り上がった後に沈んだグループ」は、どうだったのでしょうか? これが意外なことに、「気分を盛り上げたグループ」と同様、70~80%の人が床に散らばった書類を拾ったのです。
つまり手助けは、テンションが上がったときだけではなく、テンションが下がったときもしたくなるものなのです。
さて、この情報を元に、ちょっと事務所を見回してみましょう。テンションが上がっている人だけではなく、下がっている人も手伝ってくれるかもしれません。平常運転という感じの人は除いて候補者を探してみましょう。
頼みごとをする人は好かれる
ここまで読んで「やっぱりちょっと頼むのも」と躊躇している方には、別の心理学実験を紹介しましょう。
それは心理学者、ジェッカーとランディーによる「好意と魅力の実験」です。
この実験では、心理学実験に参加した人に、問題の正答率によって60セントから3ドルの間で謝礼を支払います。ところがせっかくお金をもらったのに、「研究費が足らなくなってしまったので、できれば返して欲しい」と実験者が頼むのです。
その上で、実験者への好感度を測りました。
結果、返金を頼まれなかった人より、頼まれた人の方が実験者への好感度が高いことがわかりました。それどころか60セントもらって返した人より、3ドルもらって返した人の方が、好かれていたのです。
これは頼みごとをされると好きになってしまうという心理を明らかにした実験です。甘え上手の人が人気なのは、こうした心理を活用しているからでしょう。
つまりテンションが低いか高い人を見つけて頼みごとをすれば、受けてくれる可能性も高い上に、好かれる可能性もあるというわけです!
負荷をかけ過ぎるのはダメ
ただし、注意事項が1つ。
頼む仕事の量や質を調整する必要があります。負荷がかかりすぎる頼みごとでは、好意を感じるはずもありませんので。
先ほどの実験でも、1万ドルが約束され、ひどく大変な実験参加の後に「やっぱり1万ドルを返せ」と返金を迫った相手に好意を寄せることなどないからです。もちろん日々頼みすぎているのもNG。
「そんな面倒なこと考えるぐらいなら自分でやる!」と憤っているかた、それも正解の一つなのかもしれませんね。
頑張ってください!