やめたいのにやめられない。そんな習慣を持っている人も多いでしょう。タバコやダイエット中のドカ食いなどは、その典型です。そんな悪習慣を止める方法を紹介します。
- 意志力では悪習慣は断てない
- 悪習慣が始まる前に予防する
- 思いっきりやってみる
- 悪習慣の渇望をやりすごす
意志力では悪習慣は断てない
良い習慣を続けることも難しいですが、それ以上に難しいのが悪い習慣を改めることかもしれません。
まず、強調しておきたいのは、意志力や努力だけではそうした悪習慣の改善が難しいということです。というのも脳の中で意識的に行動を規制するのは前頭前皮質が最も得意なのですが、この部位はストレスがかかると真っ先に機能停止してしまうそうです。
そもそも悪習慣は、ストレスが原因であることが少なくありません。イライラしたから、ついタバコを手にしてしまうといった話はよく耳にします。そうした状態で発生する悪習慣を、意志力でどうにかするのはかなり難しいでしょう。
つまり悪習慣を改めるなら、効果的な方法をしっかり学んで実践する必要があるのです。
悪習慣が始まる前に予防する
まず試してもらいたいのは、きっかけとなるトリガーを見つけることです。悪習慣は行動を起こす前に、そのきっかけとなるものがあります。
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いつもはタバコを吸わないのに、お酒を飲むと吸ってしまう。昼間ストレスがたまるとゲームで夜更かししてしまう。そんな悪習慣を引き起こすパターンを認識することが大切なのです。
トリガーは大きく2つに分かれます。人・場所・物・状況などの「外的要因」と、思考・感情・記憶など「内的要因」です。
少し具体的に考えてみましょう。例えば喫煙なら、次のような形のトリガーが考えられます。
人 ……愛煙家の同僚と一緒にいるときに
場所 ……居酒屋
状況 ……仕事の終わりのお酒の席で
感情 ……仕事の愚痴がでるようなとき
こうしたトリガーを特定できたら、トリガーを引かないように対策を立てることができます。
例えば場所が問題なら、禁煙の飲み屋さんを選ぶだけでタバコを吸う可能性はぐっと低くなるでしょう。特に昼間にイライラしたときの飲み会は喫煙の可能性が高まるので、禁煙の店でなければ参加しないといった処置をとれば、悪習慣を止めるといった達成状況はかなり違ってくるでしょう。
悪習慣を始める前に芽をつんでおけば、意志力が働くときに悪習慣を遠ざけることができるのです。
ただしトリガーを減らすときには注意点があります。
それは1つずつトリガーを消していくことです。例えば夜の飲み会のトリガーに対処するなら、ランチ後に吸ってしまうトリガーには手を付けないことが大切なのです。これを一気に改善しようとすると逆効果になります。
思いっきりやってみる
フッとした拍子に悪習慣はリバウンドすることがあります。しばらくやめていたのに気づいたら再開していたといった具合です。この対策として有効なのが、「逆説的介入」と呼ばれるもの。それは悪習慣を自分に強制する時間をつくることです。お菓子を食べ過ぎてしまうなら、毎日時間を決めて食べる。ネットサーフィンを止めたいなら、1時間は集中してネットサーフィンをしてみるのです。
「どんなに面白いことでも仕事となると辛くなる」とはよく言われることですが、とにかく義務だと感じると、悪習慣の行為自体に嫌気がさしてくるものです。ダラダラとなんとなくやっているネットサーフィンは、いくらでも時間を費やしてしまうものですが、時間を区切って毎日取り組むようになると、やりたくなくなるそうです。
悪習慣の渇望をやりすごす
このほかにも悪い習慣が始まったと感じたときに、その身体感覚を一つひとつ単純に指摘していくのも有効です。タバコなどの身体的な欲求も、じつは時間がたてば収まってしまうものです。だからこそ欲求が過ぎ去るまで、自分の身体感覚を指摘することでやり過ごすのです。
例えば夜中に間食したいと感じたら、その身体感覚を食べたいという気持ちがなくなるまで指摘し続ければいいのです。例えば、間食したいと感じてから呼吸が浅くなったとか、お腹が熱くなったなどなど、口に出しても出さなくてもいいので、身体の状態をチェックしていきます。
強烈な欲求を伴うタバコですら効果を発揮した方法ですので、この方法で身体感覚に集中すると悪習慣への渇望はそれほど大きなものではないことが理解できるでしょう。
今日は悪習慣を手放す方法について紹介しました。実行しやすいものから、ぜひ試してみてください。
参考:
『あなたの脳は変えられる』(ジャドソン・ブルワー/ダイヤモンド社)
『超習慣術』(メンタリストDaigo/ゴマブックス)
『万引き依存症』(斉藤章佳/イースト・プレス)