自分の生活や習慣を変えようと、さまざまな努力をしてきたけれど……。そんな想いを抱いている人も多いことでしょう。棚には自己変革の本が並び、いろいろと試しているのに三日坊主。そんな人に、自分を変えるのに必要なポイントを3つだけお伝えします。
- 3つのうち1つを落とすと悪癖に逆戻り
- まず自分を説得する
- 使い勝手の2つの手法
- 変化のための仲間を持つ
3つのうち1つを落とすと悪癖に逆戻り
自己変革の本は山ほど出版されています。ネットで検索しても、情報は山のように集まるでしょう。それなのに自分はまだ悪癖を抱えたまま、日々、ダラダラと過ごしてしまっている。
そう思うことはありませんか?
自分を変えることに失敗し続けると、投げやりな気持ちになっていくのではないでしょうか。「どうでもいいや」と思えるようになって、しばらく努力してきたことをすべて投げ出してしまうこともあったかもしれません。
では、これだけ情報があるのに、自分を変えることができない理由は何なのでしょうか?
セントラルフロリダ大学のBobby Hoffman 准教授は、自己変革が成功するポイントを以下の3つにまとめています。
①自分を変える理由があること
②変化を起こす方法を知っていること
③変化に対する社会的支援があること
この3つうち1つでも欠けると、人は途端に元の悪い習慣に戻ってしまうそうです。逆に言えば、この3点をしっかりおさえれば、素晴らしい習慣を身につけられるというわけです。
順番に説明していきましょう。
まず自分を説得する
「自分を変える理由があること」は、とても重要です。
例えば英語を話せるようになりたいと思い立ち、1日30分勉強しようと決意しても多くの人は挫折するでしょう。しかし突然の転勤で英語が必須の海外に住むことになったらどうでしょう。仕事のためにも生活のためにも、とにかく必死で英会話を身につけようと頑張るはずです。
実際、メキシコや米国で修行したプロレスラーは、しっかり事前に準備していたという話はあまり聞きませんが、多くの人が日常会話に不自由しないぐらいの語学を身につけて帰国します。
変化に必要なのは「説得力のある理由」だと、Bobby Hoffman 准教授も書いています。また道徳的にいいといった理由では不十分だとも述べています。
つまり自己変革を進めるには、まず自分を説得する材料が必要なのです。
禁煙をしたいなら、それが「何となく肩身が狭いから」といった理由ではなく、「○年後にガンになる可能性を下げたい」とか、「月○円の節約して○に使いたいから」など、自分が心からうなずける理由が必要になります。
また過去、自己改革に失敗しているなら、目標は成功したときに大きな変化を生むものを選びましょう。新しい習慣によって、生活全般が活性化すると感じるものがベストです。
例えば、規則正しい睡眠時間を守るといったことであれば、その結果として身心ともに変化していることが実感できるでしょう。
まず自分の何を変えたくて、どうして変えたいのか、そして変えると生活にどんな影響が及ぶのかを考えてみましょう。
使い勝手の2つの手法
変化を起こす方法については、それこそ大量の情報が溢れています。そこで心理学的に効果が実証されている方法を簡単に紹介しておきましょう。
(1)if-thenプランニング
目標達成のため方法として、多くの人が勧めているものです。なにせif-thenプランニングを使えば、実行の確率が2~3倍に跳ね上がると言われているのです。
やり方は、非常に簡単。
実行したいことを、「もし~だったら、~する」ときめておけばいいのです。
『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』(ハイディ・グラント・ハルバーソン/ディスカヴァー・トゥエンティワン)には、つぎのような具体例があがっています。
もし、午前中に報告書を書き終えられなかったら、
午後最初の仕事は、その報告書を書き上げることにする。
もし、同僚とのおしゃべりで仕事がはかどらないなら、
おしゃべりタイムを5分と決めて、5分後には仕事に集中する
もし午後6時になったら、
会社の事務で汗を流す。
if-thenプランニングは、時間が決まっている習慣と関連付ける方法として紹介しているケースも多いのですが、じつは応用範囲はかなり広いものです。
活用してみてください。
(2)トリガーの発見
目標が悪癖を直すタイプのものだった場合、その悪癖を生み出す「トリガー」に着目することが有効です。
例えば禁酒をしたいと思ったらパーティーや飲み会に出席しないのが手っ取り早いでしょう。お菓子のやけ食いを直したいと思ったら、お菓子を買ってしまう店の前を通らないように道順を変更すれば効果的です。
悪癖そのものではなく、その一つ手前にある習慣をただすことで、悪癖と手を切りましょう。
変化のための仲間を持つ
「社会的支援」という言い方が難しいですが、簡単に言えば、援助してくれる仲間を持つといったことです。
目標達成できなかったときの罰(コミットメント契約)を設定し、そのときの立ち合い人になってもらう、早起きが続くように朝のジョギング仲間になってもらうといったことです。
「コミットメント契約」について知りたい人は、こちらもご覧ください。
コミットメント契約 目標達成のための効果的な罰とごほうびとは?
家族でもいい、友達でもいいので、自分の変化に寄り添ってくれる人の協力を得て、自分にとってよりよい変化を手に入れましょう。
いろいろ変えたいこともあるとは思いますが、まずは目標を1つに絞って、自分が変わっていけると実感できたらいいですね。
自己変革にかかわることもカウンセラーの仕事です。そうしたことに興味のある方は、こちらもご覧ください。