自分の人生を変えるための方法は、このコラムでもたびたび紹介してきました。一方、自分を変化させるための考え方については、意外に知らない人も多いかもしれません。そこで自分を変えるための思考について、まとめてみました。
- まずは心を変える
- 原因を知らないと抜け出せない
- だれもあなたを助けない
- 探し続ければ幸せは見つかる
- 誘惑に負けそうなときは失うものを意識する
まずは心を変える
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」という格言を聞いたことある人も多いでしょう。人生を変えていくためには、心構えを変えていく必要があることは多くの人が理解しています。
しかし心を変えるのは容易ではなく、比較的、成果が見えやすい行動を変えようとしがちです。
そこで行動変容を起こしやすい考え方についてまとめてみました。
①原因を知らないと抜け出せない
恐怖や思い込み、またそれに伴う習慣から抜け出そうと思っても、多くの人はその原因に目を向けない傾向があります。例えば仕事がうまくいかないと感じていても、その本当の原因が何かを探らなかったり、パートナーとの関係がしっくりいっていなくても相手の気持ちをハッキリとたずねようとしなかったり……。
その原因を知ることで、状況が余計に悪化するのではという恐怖から現実逃避にはしりがちです。
しかし心理療法家のナサニエル・ブランデン博士は、そうした恐怖を白日の下にさらけだし、正体を見破らないと自分の恐怖を戦うことはできないと指摘しています。
もちろん専門家の治療が必要な場合は別ですが、現実逃避につながる何らかの「恐怖」があるなら、まずしっかりと正体を見極めるのも一つの方法でしょう。よく見たら怖がるまでもないささいな問題だったということは意外に多いもの。想像で育ってしまった怪物も、取り組めば数時間で解決できるといったことが起きるかもしれません。
②だれもあなたを助けない
これもブランデン博士の考え方ですが、決して絶望的な孤独を煽っているわけではありません。ここの主題は自立することの大切さです。誰かに頼るのをやめて、自分の行動に責任を持つようになると、もっと充実した幸せが手に入るという考え方です。
じつは誰かに頼っているから、成長できないのかもしれません。あるいは実力はすでにあるのに、人に頼って自ら一歩を踏み出していないケースもあるでしょう。
逆説的ですが、お互いに自立した人間だからこそ、しっかりと支え合えるといったことも起こります。「だれもあなたを助けない」と考えることから強くなるという変化を体験してみませんか?
③探し続ければ幸せは見つかる
自分を変えようと考えて、どんな行動が必要かを調べると、「目標の設定」にたどりつくことがよくあります。しかし幸せを見つけること簡単ではありません。
「生活に困らない」「つらくない」といった目標ではなく、自分を本当に幸せにする目標は、自分らしい人生がカギになる、と米国の有名な経営コンサルタントであるスティーブ・チャンドラー氏は語っています。
そして重要なのは、問い続ければ幸せの答がみつかること。自分のこれまでの人生を振り返り、さらに自分の心が動くことに果敢にチャレンジしていくことで、それなりの年月がかかっても見つかると、チャンドラー氏は指摘します。
何が楽しかったのか人生を振り返ることから始めるのも、一つの方法かもしれません。
④誘惑に負けそうなときは失うものを意識する
自分を変えようと思ったきっかけが、誘惑に負けてしまう自分に嫌気がさしたときというのはよく聞く話です。
そもそも誘惑に負けないようにするのは簡単ではありません。誘惑に打ち勝つ力が強いほど、社会的に成功する可能性が高いといった心理実験はいくつもあります。逆に言えば、人は目の前の誘惑に弱い生き物なのです。
ダイエットしているときに見る目の前のケーキや、成果が上がりにくい仕事のときに見たくなるインターネット、「ま、いいか」と思ってしまうと目指す成果はあげにくくなります。
こうした誘惑にさらされたときに思い出すのは、「失うもの」です。それは数日のダイエットで得た1㎏かもしれませんし、上司からの信頼かもしれません。今、誘惑に負けたら、自分は何を失うんだろうと考えてみてください。
もちろん、そもそも誘惑に負けにくい環境づくりも重要です。気が散りそうなものは片付けてから勉強するといった工夫は、その一つでしょう。
今日は人生を変える考え方についてまとめみました。ぜひ試してみてください。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考『やってのける』(ハイディ・グラント・ハルバーソン/大和書房)/『自分を変える89の方法』(スティーブ・チャンドラー/ディスカヴァー・トゥエンティワン)