近年、話題となっているニオイのマナー。職場でも問題になるケースが増えてきているようです。ニオイは人を不快にさせることもありますが、かなり対処が難しい問題と言われています。その理由と対処法についてまとめました。
- ニオイのマナーの原因って?
- ニオイのマナーに対処しにくい理由3選
- どうやって対処する
ニオイのマナーの原因って?
ニオイの問題は「スメハラ」とも言われていて、体臭や口臭、柔軟剤の臭いなどで周囲に迷惑をかける行為を指しているようです。なんでも、ハラスメントということには問題があるかもしれません。ハラスメントについては、セクハラやパワハラなどの基本的なハラスメントについて理解を深めることが重要でしょう。しかしニオイで吐き気や目眩(めまい)を引き起こすこともあり問題となっているようです。そのため会社側はできる限り労働者が働きやすい環境を整える必要があるかもしれません。
2018年に株式会社プラネットが実施したアンケート調査によれば、「他人のどんなニオイが気になったり、不快に感じたりしますか?」の回答は以下の通りになっています。
口臭 63.6%
タバコ臭 58.1%
汗・あぶら汗 54.7%
香水・コロン 39.2%
お酒くささ 34.6%
口、タバコ、汗のニオイが、不快にさせる可能性の高いニオイだとわかるでしょう。職場などでは、リモートワークでなければニオイを嗅ぎ続けることにもなるので、不快感が募っていくこともあるかもしれません。
実際、東京大学の東原和成教授らの研究グループは、ニオイがストレス反応を引き起こしていることを明らかにしています。
ニオイのマナーに対処しにくい理由3選
ニオイはセンシティブな問題だとよく言われます。では、どうして慎重に対処すべきなのでしょうか? その理由を説明していきましょう。
①受け取り方の違い
ニオイに敏感な人もいれば、鈍感な人もいる。それは多くの人が知っていることでしょう。しかもニオイの好き嫌いは、人によってかなり異なります。発酵食品の中にはニオイの強いものもありますが、そのニオイがたまらないといった人もいます。
しかも同じニオイであっても、シチュエーションによってストレスになったり、ならなかったりすることも確認されています。先ほども紹介した東大の研究チームは、「口臭の匂い成分」だと知らされてニオイを嗅ぐと不快度が増すと報告しているからです。
つまり同じニオイでも、人によって不快の度合いが変わってしまうケースさえ考えられるのです。嫌味な上司と優しい部下が同じようにコロンを使っていても、評価が正反対という可能性も……。
さらにニオイは過去の記憶と強く結びつきやすく、感情を揺さぶる可能性が高いことでも知られています。フッと嗅いだ香りから昔のことを思い出す。当時の嬉しい気持ちがよみがえるといったことも起こるのです。
つまり自分が感じているニオイの不快感に、多くの人が共感するとは限らないのです。
②本人は無自覚
ニオイは慣れてくると鈍感になってしまいます。久しぶりに自宅に帰ってきたら、何だか臭いと感じたことはありませんか? これは自宅のニオイに慣れてしまった状態から解放されたことが起きるもの。そして時間とともに、最初に臭いと思った自宅のニオイにも慣れてしまうのです。
こうした臭覚の特性により、自分のニオイは認識が難しいのです。
③法律的な判断に向かない
職場でのハラスメントは、パワハラ防止法・パワハラ防止指針などで被害を防ぐための法律が制定されています。しかしニオイの問題は法律で白黒を付けるのが難しそうです。
過去には体臭の問題を会社の掲示板に張り出したとして
「体臭は本人ではどうにもならず、氏名などを人前にさらすのは人権侵害の疑いが強い」(『産経新聞』1999年10月19日)
と鹿児島地方法務局が指導しています。
またニオイについて弁護士に相談をするといったケースも見られるようになり、外国人への差別といった問題では司法の場にも持ち込まれたこともあります。ただいずれにしても、体臭はセンシティブな問題で司法の判断に向くかは疑問です。
どうやって対処する
ニオイについては、デオドラントや制汗剤、口臭予防グッズなどで改善ができるケースもあります。またコロンなどのニオイであれば、付ける量を変えればニオイの強さも変化するでしょう。
しかし職場で本人に状況を伝え、改善を促すこと自体が簡単ではありません。かなり慎重にことを勧める必要があることを認識しておきましょう。
職場でにおいのマナーに対処する場合、身だしなみの一環として社内に広報するといった方法があります。センシティブな問題だけに、相手を特定しない方法での対処は会社側にとってもやりやすいでしょう。ただ問題は、自分のニオイを気づいていない人がほとんどだということ。
そうなると個別に話をすることになります。その際も相手を傷つけない配慮が求められます。
① 個室で一対一で話す
② 同性から話す
少なくても上記の2点は配慮するようにしましょう。
ニオイは問題ではありますが、自分でどうにもできない問題が含まれることを念頭に対処方法を考える必要があるでしょう。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会