サブリミナル効果は効果がない!?

いつもは実生活に役立ちそうな心理学情報をお伝えしている「働く人の心ラボ」ですが、今日は逆。だまされてはいけないもっともらしい心理学情報について、お伝えしたいと思います。

  1. コンサル業の失敗ででっち上げ
  2. カナダの全国放送が実験
  3. 報酬があれば無意識下の情報を活用?

コンサル業の失敗ででっち上げ

「サブリミナル(意識下)効果」という単語を知っていますか? 多くの人が一度は耳にしたことがある言葉かもしれません。これは意識にのぼらないような働きかけによって、人を動かす効果です。知覚できないほど速度や音量で映像や音を流し、その効果で商品を買わせたりできるというのです。

この言葉の発端になったのは、1957年9月のジェームズ・ヴァイカリーの記者会見でした。彼は、映画フィルムに知覚できないほどのスピードで映像を差し込むことで、映画館の売店の売上げを大幅にアップさせたと発表したのです。「コカコーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というメッセージを繰り返し流すことで、コカコーラの売上げは57.7%アップ、ポップコーンの売上げは18.1%アップしたと発表したのだから、すごい効果です。

このニュースは世界に強い衝撃を与えました。映像に差し込まれた命令に無意識に従ってしまうというのですから! 現在のように動画がそこら中で流れている状態なら、サブリミナル効果は最高の広告手法の1つでしょう。

しかし後年、「サブリミナル効果」を広めたヴァイカリー自身、コンサルタント業に失敗していたので実験をでっち上げたと認めたのです。

ただし「サブリミナル効果」自体は広まってしまい、現在でも多くの人に信じられています。

カナダの全国放送が実験

「サブリミナル効果」を否定した実験で、最も大規模なものの一つは1958年にCBC(カナダ放送協会)が実施したものでしょう。CBCは全国放送で「サブリミナル効果」を実験すると告知。一般には知覚できないスピードで、「すぐに電話してください」というメッセージを352回流しました。

結果、電話が大量に掛かってくることはありませんでした。ただ、ヴァイカリーの実験を知っていたと思われる視聴者から、「ノドが渇いた」「お腹がすいた」といった電話が掛かってきたそうです。

では、サブリミナル効果を応用し、意識下に働きかける商品などの効果はどうなのでしょうか?

これについては、ジョン・ヴォーケイとJ・ドン・リードの二人が、面白い実験をしています。彼らは自尊感情をアップさせるテープと記憶力をアップさせるテープのどちらかを、実験参加者に与えました。ただし実験参加者の半数には、効果の異なるテープを渡したのです。

つまり自尊過感情をアップさせるものと伝え記憶力アップのテープを与え、記憶力がアップさせるものだと伝えて自尊感情アップのテープを渡したのです。結果、違う種類のテープを聴いた実験参加者からも効果が出たと報告があったのです。つまり記憶力アップのテープを聴いたのに、なぜか自尊感情がアップしてしまったというわけです。

これは「プラシーボ効果」というものでしょう。小麦粉を固めたものであっても、薬だと思って飲むと人によって一定の効果が出てしまうという心理です。

報酬があれば無意識下の情報を活用?

サブリミナル効果には科学的根拠はなさそうですが、日本の放送局は意識下に働きかける映像の放映を禁止しています。また2006年、ユトレヒト大学で行われた実験では、実際に喉が渇いた状態で、ある程度知られたメーカーの商品を、サブリミナル広告で選択させることに成功したそうです。

この実験をBBCが追試しました。

5秒ごとに紅茶メーカー名が0.01秒間点滅する映像を見せ、そのメーカーの紅茶とミネラルウォーターを実験者参加者に渡しました。しかし紅茶を飲む人が増えることはありませんでした。

結局、「サブリミナル効果」はないと切り捨てたいところですが、気になるニュースをWIRED NEWSで見つけたので報告を!

500分の1秒という意識できないスピードでの問題のヒントになる映像を見せられた実験参加者が、正解すればお金がもらえるという条件では63%も成功したというのです。報酬がないときは、偶然の一致程度の割合しか正解しなかったのに、お金がかかると、通常では認知できない映像から正解を導き出したのでした。

明確に自分に利益があるときだけ意識下の情報を活用できるという報告は、かなり興味深いものです。

参考:『本当は間違っている心理学の話』(スコット・O・リリエンフェルド 著/化学同人)

BBC NEWS「Does subliminal advertising actually work?」

WIRED NEWS 「報酬があれば潜在意識が教えてくれる」

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