気にするなと言っても、多かれ少なかれ他人の目は気になってしまうもの。では、実際のところ、他人はどれぐらい自分のことを気にしているのでしょうか?その疑問を心理学が明らかにしています。
- スポットライト効果って知ってる?
- ギロビッチによるTシャツ実験
- 注目されているというのはほとんど妄想。じゃあ、目立ちたいときはどうすればいい?
- グループでいると人は素敵に見える
- 目立ちたくなければ一人でいろ、目立ちたければ集団でいろ!?
スポットライト効果って知ってる?
「この服装、変じゃないかな」「今日は寝癖が目立って恥ずかしい」などなど、いつも人の目が気になって、おどおどしながら歩いている人はいませんか。あまりに気にしすぎていると、「誰も、あなたのことなんか見ていないから大丈夫だよ」などと言われて、ちょっと冷たいなと思うことはありませんか。
実は、「誰もあなたのことなんか見ていない」が事実であることは心理実験で実証済みだと言ったら、ホッとしますか? がっかりしますか?
スポットライト効果とは、自分の外見や行為に対して、他者が実際以上に関心を持っていると考える、自己中心的な偏見のことを指します。一言でいえば、人は多かれ少なかれ、自意識過剰な傾向を持っているということです。スポットライト効果がいかに強いかを物語る心理実験をご紹介しましょう。
ギロビッチによるTシャツ実験
コーネル大学の心理学教授、ギロビッチ氏は、学生たちを対象にスポットライト効果を確かめる心理実験を行いました。大多数の学生が「こんなプリントのTシャツは恥ずかしくて着ていられない」と感じるTシャツを、被験者の学生に着てもらったのです。学生は、学生集会に顔を出し、1分で席を後にしました。
その後、学生集会にギロビッチ教授が現れ、「さっき、ここに変なTシャツの人が来たことを覚えている人はいますか」と、全体に声がけしました。すると、手を挙げたのは全体の24%にとどまったのです。誰が見ても変なTシャツを着ている人のことでさえ、4人に1人しか見ていないという結果になりました。
注目されているというのはほとんど妄想。じゃあ、目立ちたいときはどうすればいい?
あなたは、どうして「自分の格好は、誰が見てもひどい」と思ってしまうのでしょうか。少なくとも自分にとっては普通の格好ですよね。大丈夫、誰もあなたに注目などしていません。スポットライト効果が物語っているとおり、みんなに変な目で見られているというのはほとんど妄想です。
では、逆にどうしても目立ちたいと思ったなら、どうすればいいのでしょうか。思い切り奇抜な格好をしても注目を浴びることがないのなら、目立ちたがり屋の心はしぼんでしまいますよね。実は、注目を浴びたいときにヒントになる心理実験があります。ご紹介しましょう。
グループでいると人は素敵に見える
2014年、米カリフォルニア大学で行われた研究によると、人は一人でいるよりも数人のグループでいたほうがより魅力的に見えることがわかりました。個々の顔よりも、集団の中の一人の顔のほうが、より評価が高かったのです。人の脳はグループを集団そのものとして認識し、それぞれの顔を平均化して漠然と捉えてしまうため、一人ひとりをより魅力的に評価するのではないかと分析されています。
これは、以前からいわれてきた「チアリーダー効果」を実証するものでした。「チアリーダー効果」とは、華やかな集団に混じっていると、どの女性も魅力的に映るというものです。確かに、学生時代は華やかな集団と地味な集団があり、華やかなグループにいるとそれだけでモテた経験はありませんか。
目立ちたくなければ一人でいろ、目立ちたければ集団でいろ!?
ふたつの心理実験から、普段の私たちの認識とは真逆のことがわかります。一匹狼で個性的な格好をしているよりも、派手な集団に混じっていたほうが目立つ、モテるということです。あまり目立つことはしたくないと思ったら、他人とつるんでいないで、ひっそり一人でいるほうがいいかもしれませんよ。
参考
『ココロの謎が解ける50の心理実験』王様文庫、p.34
Hierarchical Encoding Makes Individuals in a Group Seem More Attractive