根拠を示しているのに相手に響かない。そんな想いを感じたことはありませんか?足りないのはデータではなく、ストーリーかもしれません。プレゼンや商品紹介などに役立つストーリーの重要性について紹介します。
- ストーリーがあれば5倍もわかりやすい
- ストーリーを入れると22倍も記憶に残る
- スティーブジョブズの名言
- ストーリーを考える4つのヒント
ストーリーがあれば5倍もわかりやすい
クライアントや上司を説得したいと思ったときに、「どうも通じてないな」と感じたことはありませんか?根拠になるグラフや市場調査の資料も十分に付けたのに、どうもテンションが上がらない。こんなとき説得できる根拠を、さらに探してもうまくいかないかも……。
というのも足りないのはデータではなく、ストーリーかもしれないからです。
心理学者のウィルソンとシャピロが行った「ウェインソンの選択問題」という有名な心理学実験は、イメージしやすいストーリーのあるほうが、人は物事を対処しやすいと証明しました。
その実験の詳細はやや難解なので書きませんが、1問目は色とアルファベットの大文字・小文字の関連性を4枚のカードから考える問題。2問目は、ある飲食店が未成年にアルコールを提供していないのかを飲み物と年齢が書かれた4枚のカードから考える問題でした。
どちらも同じような思考パターンで正解にたどり着く問題だったのに、1問目の色と大文字・小文字という抽象的な問題の正解率は12.5%、2問目の具体的なストーリーのある問題の正解率は62.5%だったのです。
内容をしっかり理解してもらえなければ、プレゼンの成功はおぼつかないのは当然。だからこそプレゼンにはストーリーが重要になってくるのです。
ストーリーを入れると22倍も記憶に残る
じつはストーリーの効果は理解だけにとどまりません。
スタンフォード大学のジェニファー・アーカー氏によれば、ストーリーは事実や数値の列挙より最大で22倍も記憶に残ったというのです。
考えてみれば、会議で示された細かな数字は覚えていないのに、ちょっと笑ってしまうような会議での返答は、よく覚えていたりしますよね。
商品のプレゼンを考えるときによく言われるのが「使われるシーンを思い浮かべる」という手法です。
つまり従来の機械より10%も作業効率が上がったというデータではなく、その機械を使ったときにお客様が短縮された時間で残業が減って早く帰れる様子を想像してアピールの仕方を考えるという方法です。
スティーブジョブズの名言
ストーリーの重要性を考えるとき、よく紹介されるのがスティーブジョブズの、iPod(Classic)投入に際して語った言葉です。
「1000曲もの音楽が、あなたのポケットに」
すでに競合他社が、いろいろなタイプのMP3プレイヤーを発売しており、アップルはやや遅れての商品投入となりました。しかし、この印象深い言葉とともにアップルは一気に市場を席捲していくのです。
これが「従来品より20%も重量をカットして、これまでの5倍も音楽が入ります」といったような説明だったら、投入の遅れたiPodがブームになったのは怪しいところです。
ストーリーを考える4つのヒント
近年、WEBなどでもストーリーの重要性が語られています。
体験談やエピソードなどを引用することで、WEBページを見ている人に強く印象づける「ストーリーテリング」という言葉を聞いたことがある人も多いことでしょう。
商品紹介やブランドイメージの発信などに活用できる「ストーリーテリング」。さすがにスティーブジョブズのように一言でストーリーを説明するのは、なかなか難しいでしょう。
ただプレゼンなどの準備のときに、根拠となるデータだけではなく、相手の心を動かすストーリーを集める時間を取るだけで、印象が随分と変わるかもしれません。
そこで「ストーリー」を考えるときのポイントを書いておきましょう。
・使われるシーンを思い浮かべる
・商品やサービスをつくったときのエピソードを調べる
・商品やサービスにまつわる土地の歴史を調べる
・商品やサービスをつくった人たちのエピソードを調べる
ぜひ試してみてください。