幸せな結婚生活を続けていくために、重要なポイントの一つが友人だという調査結果があります。そこでどうして友情が大切なのかを、各種のアンケート調査から考えてみました。
- 夫婦の危機を友情が救う
- 話を聴かないパートナーへの不満は高まっていく
- 独身時代の友人は維持できる?
夫婦の危機を友情が救う
エリザベス・ケネスキ氏など、米国テキサス大学オースティン校の研究チームが、夫婦間のストレスについて調査しました。その結果、夫婦仲がうまくいかないときでも、しっかりとした友情が築けている少数の友人がいると、「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールの増加を抑えられることがわかりました。
ポイントは友人の数ではなく、友人と交流したときの満足度。つまりただSNSでつながっているといった関係ではなく、しっかりとした人間関係が構築された友人が夫婦の危機を救ってくれるのです。
話を聴かないパートナーへの不満は高まっていく
では、どうして友人が夫婦の危機を救ってくれるのでしょうか?
そのヒントになりそうなのが、株式会社オーネットが2021年4月に実施した25歳~39歳の既婚男性502名と既婚女性495名を対象としたアンケート『パートナーに対する「感謝」と「不満」に関する意識調査』です。
まず結婚に対する不満に関して、パートナーへの不満を「なし」と答えたのは、結婚1~4年で34.5%、5~9年で27.0%、10~14年で28.5%、15年以上で26.9%となっています。つまり結婚5年間はパートナーに不満を抱く人の割合が6割台なのですが、結婚5年を超えると7割以上がパートナーに何らかの不満を持つようになるのです。
パートナーに対する不満の内訳をみると、男性は高い順に「口うるさい」「お金の管理・使い方に不満」「生活がだらしない」となり、女性は「お金の管理・使い方に不満」「生活がだらしない」「家事(育児)に協力的ではない」がトップ3となります。
ただし、こうした不満は結婚年数とともに高まっていくものではありません。注目したいのが「パートナーに対し、不満に思っていること」の結婚年数による変化です。
結婚15年以上と1~4年を比べて、最も不満の割合が増えているのは「話を聴いてくれない」でした。1~4年が10.3%だったのに、15年以上は19.2%と約2倍の伸び率となっています。
逆に少なくなったのは、「体調や気分の変化に気づいてくれない」でした。これは1~4年が10.1%だったのに、15年以上は3.8%。不満の要因としてあげた人は、約3分の1程度になっているのです。
つまり結婚年数が長くなると、気分の変化を気づいてくれるかといった問題はあまり気に留めなくなり、しっかりと話を聴いてくれるのかどうかが問題となっていくのです。
そうした不満を解消してくれるのが、しっかりと意思疎通できる友人なのでしょう。
独身時代の友人は維持できる?
しかし結婚後も独身時代の友人との付き合いを維持するのは簡単ではないようです。ゼクシィが花嫁に行った調査でも、「結婚して女友達との関係は変わった?」との問いに57%が「変わった」と答えています。
また、マイナビウーマンの調査でも22~34歳男性への調査で、結婚後には友人との付き合いの頻度が減ったり、誘いづらくなったという声が寄せられています。独身時代とは経済観念も時間の使い方も変わってくるため、独身時代の友人と同じように付き合うのは難しいのかもしれません。
子どもを持つようになれば、子どもを介したママ友などの友人もできるようになりますが、子どもの関係に付随するため人間関係の難しさが話になったりします。仕事の関係者との付き合いもあるとは思いますが、プライベートのことを話せるのかは微妙かもしれません。
このように考えると、結婚後もしっかりとした友情を保てる友人を維持することは、とても意外に難しく、そして重要になってきます。回数は少なくても交流する機会を保つようにするなど、結婚生活を安泰に過ごすためにも、パートナーと協力して友人関係を維持する努力は必要かもしれません。それが難しいと感じるのであれば、自分がパートナーの話を聴けるような技術を身につけるのも一つの方法でしょう。
結婚後にパートナーを失望させない「聴く技術」について、興味のある方はこちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「The Importance of a Few Good Friends: Perceived Network Support Moderates the Association Between Daily Marital Conflict and Diurnal Cortisol」(Elizabeth Keneski, Lisa A. Neff, Timothy J. Loving)/「結婚相手への不満は「なし」が最も多い!結婚5年、15年が関係性の分岐点? パートナーへの感謝&不満調査<2021>」(オーネット)