ヒューリスティックスって? 直観が狂う3つの思考パターン

「ヒューリスティックス」をご存じですか? 心理学やマーケティングで使われる言葉ですが、その内容を知っておくと思い違いが減るかも!? 今日はヒューリスティックスを、具体例とともに紹介していきましょう。

  • 根拠のない情報に惑わされる
  • 代表性ヒューリスティック
  • 利用可能性ヒューリスティック
  • 固着性ヒューリスティック

根拠のない情報に惑わされる

「ヒューリスティックス」とは、先入観や経験に基づく直感的な判断方法です。このような判断方法は、ざっくりと大枠をつかんだり、データを細かく調査する時間がないときなどに力を発揮します。しかし判断結果が不完全なケースがあります。

つまり常に大量の情報に囲まれている私たちは、知らぬ間にヒューリスティックスを発動。結果、イマイチの判断をくだしてしまう可能性があるのです。

ヒューリスティックスの代表例は、「リンダ問題」でしょう。ヒューリスティックスの詳しい説明を読む前に、次の問題に答えてみてください。

【問題】
リンダは31歳の独身。ハッキリと主張できる非常に賢い女性である。大学時代には哲学を専攻していた。当時、彼女は差別や社会的公正の問題に強い関心を持ち、反核デモにも参加していた。

現在のリンダは、次のどちらの可能性が高いでしょうか?

A.リンダは現在銀行の窓口係をしている。
B.リンダは現在銀行の窓口係をしていて、フェミニスト運動に積極的である。

この問題、85%の人がBを選択したそうです。

多くの人は大学時代のリンダの姿を思い浮かべ、可能性が高いと直感的に判断したのでしょう。ただ、よく考えてみれば、AとBの可能性の高さを質問しているので、2つの属性である「窓口係」と「フェミニスト」を併せ持つより、片方だけの属性を持っている確率の方が高まります。「窓口係」で「フェミニスト」なら、Bはもちろん「窓口係」だけが条件のAも正解なのに、「フェミニスト」でないとAだけが正解になってしまうからです。

ヒューリスティックスは複雑な判断作業を、簡単にします。過去の経験などから直観的に判断するため、スピーディーに結論を導き出すことも可能です。

もちろんヒューリスティックスがプラスに働くことも多いでしょう。日々の判断の多くは短時間で行われため、細かくリスクや可能性を分析するより、ある程度の推定から答えを導き出して行動を起こす必要もあります。

ただしリンダ問題のように、間違った結論を導き出す可能性もあります。

では、代表的なヒューリスティックスの種類について説明していきます。

①代表性ヒューリスティック

これは代表的なイメージ、ステレオタイプからの判断です。先程のリンダ問題は、ここに含まれます。国籍や服装、経歴などから人を判断するのも、代表性ヒューリスティックの一つです。

「イタリア人は陽気だ」といった思い込みも、よく考えれば個人差が大きいことに気づくでしょう。血液型による性格判断なども危うい推定です。

代表性ヒューリスティックは、人の印象を操作するときにも利用されています。
例えば高級時計や高級なホテルのロビーなどでの打ち合わせは、お金持ちのアイコンとして使われたりします。じつは学歴や職歴などを過度に信用するのも、判断を誤らせる要因の一つです。

②利用可能性ヒューリスティック

思い出しやすい情報を使用した判断です。
数多く打たれた宣伝は、利用可能性ヒューリスティックを利用したものです。

例えば新しい掃除機などの電化製品を買うとき、CMで見た事があるからと購入した経験はありませんか? それは典型的な利用可能性ヒューリスティックであり、細かくスペックを比べる面倒を省いた結果でもあります。

じつはさまざまなランキングも、利用可能性ヒューリスティックを活用しています。膨大な商品から自分の好みを探すのは大変なので、人気商品を買いたくなるのも当然でしょう。

しかし店舗などに張り出してある人気ランキングが、常に正確とは限りません。利益率の高い商品をランキング上位に入れることもあるからです。

また、ネットで信頼されがちな口コミなども、必ずしも信頼できないことを頭の片隅に置いておくべきでしょう。

③固着性ヒューリスティック

最初に接した情報による判断です。
例えば、「英国のチャーチル首相は、50歳前後で亡くなりしたか?」と質問した後に、「チャーチル首相は実際に何歳で亡くなりましたか?」と質問すると、この質問に引っ張られて多くの人が死亡した年齢を、実際に死亡した90歳より若く答えてしまうようです。

チャーチルがけっこう長生きしたのではといった記憶があっても、最初の質問にある「50歳前後」といった情報に釣られてしまうのです。

これは値引きの値札でも効果を発揮します。最初に付けたと思われる値札が訂正されて安くなっていると、とても得した気分になります。しかし訂正された値札が正確でなければ、その判断自体が間違ってしまいます。

こうした判断ミスを誘発する決定のクセを知識としても持っていると、「本当にそうなのかな」と立ち止まることができるかもしれません。

今日はヒューリスティックスについて解説してみました。

人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「連言錯誤課題の理解過程と代表性ヒューリスティックを用いた判断との関係」(二宮由樹 藤木大)/「4 Outcomes of Lazy Thinking」(Christopher Dwyer Ph.D./Psychology Today)

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