リスクに直面しているときほど気を付けたい6つの認知バイアスとは?

新型コロナウイルスへの対応によって、いつもと違う日常生活を送っている人も多いことと思います。こうしたリスクに対峙しているときに気を付けたいのが「認知バイアス」、いわゆる「思考の偏り」です。数ある認知バイアスからリスク時の判断に影響を与えかねないものを集めてみました。

リスクがあるときは慎重に判断を

人は客観的に状況を判断しているわけではありません。ある特定のパターンで、間違った判断を下してしまうことがわかっています。災害などに直面したときはさまざまな判断が重要になるため、なるべく認知バイアスに引っかかることなく、理性的に物事を判断することが重要になります。

そこで今だから気を付けたい6つの認知バイアスを集めてみました。

①正常性バイアス

これは異常な状態を、正常だと思い込むバイアスです。「こんなはずはない」「これは正常だ」と思い込み、日常のこととして片づけてしまう心理です。津波などの避難指示が出ても、「いつものことだから」と無視するといった行動は正常性バイアスではないのかという議論が、東日本大震災のときにも起こりました。

新型コロナウイルスでも、その危険性を軽視してしまうことは正常性バイアスがかかっている可能性があります。もちろん心が過剰反応して疲弊してしまうようなことは避けるべきですが、危険情報を無視するのはおすすめできません。

②情報バイアス

この認知バイアスは、不必要な情報まで集めすぎてしまう傾向です。情報は安心材料の一つですから、集めれば集めるほど安心感が増していきます。しかし実際には情報を集めすぎることで、全体像を把握できなかったり、判断をミスリードする危険が出てくる可能性があります。

情報が多いに越したことはないという思いは、リスクに直面しているときは見直した方がいいかもしれません。しっかりした情報のみを集め、不安な情報に振り回されないことが重要なのではないでしょうか。

特に新型コロナウイルスの問題発生以降、不安を覚えることが増えたという人は、少し情報を絞ってみても良いかもしれませんん。

③同調性バイアス

周囲の人に同調して判断してしまうバイアスです。みんなが買っているからトイレットペーパーを購入するといった行為も、同調性バイアスだといえます。そのほか避難勧告がでたのに、ご近所がみんな動いていないからといった理由で動かないことなども、同調性バイアスといえるでしょう。

④楽観主義バイアス

リスクをしっかりと認識することは、それ自体がストレスになります。そのため異常事態が起こっても、楽観的に考えようとするバイアスが働きます。

新型コロナウイルスについても、季節性インフルエンザと変わらないといった話をする人がいます。しかし致死率などを考えても、それほど楽観視できるものではありません。また感染防止のための手洗いなども、ついつい怠けてしまうことがあるでしょう。しかしその行動こそが、楽観主義バイアスのなせる技かもしれません。

⑤自己奉仕バイアス

成功したときは自分の能力によるもので、失敗したときは外的な要因だと思い込んでしまうバイアスです。このバイアスは失敗時に状況を分析できないというマイナス面があります。

また自分の行動を棚に上げて、他人を攻撃してしまうことにもなりかねません。ただでさえピリピリしがちな日々ですから、自己奉仕バイアスから他人を間違って判断していないのか注意しましょう。

⑥ベテラン・バイアス

過去の豊富な経験が判断に影響を及ぼしてしまうバイアスです。

今回の新型コロナウイルスについても、戦後の感染症流行などと比較して過小評価するようなことがあってはいけません。

たしかに少し歴史をさかのぼれば、感染症が各地で猛威をふるったこともありました。しかし病気が替われば、リスクも異なります。もちろん昔とは体力も違います。ベテラン・バイアスで危険な判断をしないようにしましょう。

リスク時に気を付けたい6つの認知バイアスを解説しました。

バイアスは誰でも持っているものですが、意識すれば避けることもできます。自分の判断にバイアスがかかっていないか、少しだけチェックしてみてはいかがでしょう。

参考: 『リスクコミュニケーションの現在――ポスト3.11のガバナンス――』(平川秀幸・奈良由美子/一般社団法人 報道大学教育振興会)

精神的な危機への対処に関心のある方はこちらをご覧ください。

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