ファクトフルネスから学ぶリスクを前にして焦らない方法って?

現在、多くの人が不安を抱えながら生活しているのではないでしょうか。そんな中、警戒心を高めることはとても大切ですが、もし「いまやらなければ取り返しがつかない」と感じるほど焦っていたら、少しだけ落ち着いて現状を再確認することも必要かもしれません。

  • エボラに対応した人物からのアドバイス
  • ほんとうに「いまやらない」とダメ?
  • 「焦りの本能」を抑える4つの方法

エボラに対応した人物からのアドバイス

『ファクトフルネス』は、「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」について書いた本です。昨年のベストセラーであり、手に取った方も多いでしょう。

今回、この本から「焦りの本能」という「思い込み」を紹介しようと思ったのは、著者のハンス・ロスリングが、2014年のエボラ出血熱の感染拡大時にデータ分析者として活躍していたからです。もともと医師であり、コンゴで謎の病気の原因究明にも成功していた著者は、2014年当時、リベリアの厚生省に協力して感染のピークが過ぎたことをデータから読み取ったそうです。

エボラ出血熱の致死率は20%から最大で90%に達することもあります。厚生労働省の資料によれば、2014~2016年のギニアにおけるエボラ出血熱の致死率は67%を示しています。

そんな感染症に対処してきた医師が、エボラ出血熱への対応として次のように語っているのです。

わたしたちはデータを使って真実を語らなければならない。たとえ善意からだとしても、拙速に行動を呼びかけてはならない。

ほんとうに「いまやらない」とダメ?

人はリスクを前にすると、焦ってしまうものなのだそうです。「いまやらないと、もう次はない」という感情につい動かされ、

「拙速に判断し行動してしまう」

生き物といえるでしょう。そうした特性を知って対処することで、データから正しく世界を見る「ファクトフルネス」に近づけることができるのです。

「いますぐに決めなければならない」と感じたら、自分の焦りに気づくこと。いま決めなければならないようなことはめったにないと知ること。焦り本能を抑えるには、小さな一歩を重ねるといい。

「焦りの本能」を抑える4つの方法

著者のハンス・ロスリング氏が「焦りの本能」を抑えるのに有効だとまとめている方法は、次の4つです。

①深呼吸しよう
とにかく焦ると冷静に分析できなくなります。トイレットペーパーの買い占めのときのように、「今すぐ」と感じたら深呼吸して、データを見直すことを、著者は勧めています。

②データにこだわろう
緊急で重要な場面ほどデータにこだわろう、とハンス・ロスリング氏は訴えています。ただ多くの人にとってデータを分析するのが簡単ではないという問題もあります。そうしたときは、冷静でデータをしっかりと分析できる論客の意見を参考にすると良いかもしれません。

③占い師に気をつけよう
未来への予測は簡単ではありません。特に滅多に起こらない世界的なパンデミックの未来を、明確に見通すことは大変です。メディアは最悪のシナリオと、最高のシナリオを取り上げがちですが、実際はその中間ぐらいで解決されることが少なくないことを知っておく必要がありそうです。

④過激な対策に注意しよう
わかりやすい効果をうたった大胆な対策には、副作用があることにも注意しようと、ハンス・ロスリング氏は書いています。そして

「ドラマチックな対策よりも、たいていは地道な一歩に効果がある」

とも記しています。
しっかりと手を洗う。手に触れた貴金属を消毒する。むやみに出歩かない。そんな当たり前のことが、とても重要な時期にあるのかもしれません。

リスクを前にした精神的な問題への対処に関心のある方はこちらをご覧ください。

参考:『ファクトフルネス』(ハンス・ロスリング他 著/日経BPマーケティング)/「エボラ出血熱に関するQ&A」(厚生労働省)

関連記事はこちら (画像をクリック)

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