「HSP」が繊細過ぎる人だという認識は、かなり世間にも広まりつつありますが、HSSという繊細だけど好奇心が旺盛で外交的な気質があることを知っていますか?HSPの30%を占めるというこの気質について説明します。
- 人口6%のマイノリティー
- 刺激のためにはリスクも気にせず!
- 自分の精神を疑ってしまう場合も
- HSPについて、もっと知りたい人へのおすすめ記事
- 音楽が好きな人も多い!?
人口6%のマイノリティー
人口の20%を占めるといわれる「HSP」(Highly Sensitive Person)は、刺激に敏感で、人の影響を受けやすく、直観力がある繊細過ぎる人のことを指します。アメリカの心理学者、エイレン・N・アーロン博士が、自身と同じようなタイプの人を観察して提唱した概念です。生きづらさを感じる人も多いのですが、病気などではなく、生まれながらにして持っている気質だと言われています。
このHSPの人のうち30%ほどを占めているのが、HSS型HSPです。現在、単にHSSと呼ばれることも多いようです。
HSS(High Sensation Seeking)の特徴は、HSPの繊細さを持ちながら、外交的で新しいことに興味が次々と湧いて飽きっぽいという気質を持っています。そのため「いつもブレーキとアクセルの両方を踏んでいる」と表現されることも多いタイプです。
HSSが人口に占める割合は6%でしかなく、マイノリティーな存在です。しかしHSPへの関心が高まる中で、最近、特に注目を集めている特性です。
刺激のためにはリスクも気にせず!
リスクをいとわず刺激を求める傾向があるため、人当たりがいいタイプが多いようです。もちろん外交的だからといっても、もともとは繊細で、人一倍傷つきやすいため、「外に出る」と「引きこもる」を繰り返しながら、自分の精神的な均衡を保っている場合も多いようです。
チャレンジ精神も旺盛で、思い立ったらすぐ行動するスピード感もあります。また他人の感情を読み取ることにも長けているので、友人も豊富な場合が多いようです。リーダーとして活躍したり、ビジネスで成功する人も少なくありません。
また、じっとしていられない性分の上、そもそも手抜きをすることが耐えられないため、いろいろなことに手を抜かずに走り続けます。一方で傷つきやすい感性を持ち続けているため、「もう何もできない」というところまで自分を追い込んでしまうことも少なくありません。
自分の精神を疑ってしまう場合も
この一見、矛盾するような傾向性から、HSSの人は自分のことを精神疾患だと考えたり、アダルトチルドレンや発達障害、自閉症だと疑う傾向があることもわかっています。
病気や障害ではなく、生まれつきの人格特性だと気づくと、多くの人は安心するようです。
もともと飽きっぽい傾向があるため、転職を繰り返す人も多いようですが、まじめさや取り掛かりのスピード感、好かれる性格など仕事の現場では重宝されることも多い人材です。いろいろな興味を同時並行して追求することも少なくないため、パラレルキャリアの人も少なくありません。
また仕事と同じく、人間関係についてもリセットしてしまうケースが少なくありません。人間関係を広げるのが得意なのに、維持することが苦痛になってしまうようです。
ただ、こうした傾向を、一般的な判断基準に照らして落ち込む必要はありません。気質を知って、自分らしく生きていくコツをつかんでいくことが大切なのは、HSPの人たちとまったく変わりはないのです。
HSPについて、もっと知りたい人へのおすすめ記事
音楽が好きな人も多い!?
『HSP HSSあるある50選』(HSP才能開発サポーターなお 著)は、HSSの人たちに共通する傾向を具体的に取り上げている面白い本です。一般に書かれていない傾向性も説明していますので、いつくか紹介しましょう。
・音楽や楽器をやりがち
著者のなおさんを含めて、周りのHSSの人たちは音楽に関わっている人が多いとのこと。
あなたがもし音楽好きで、同じHSPHSSの仲間に出会いたかったら、ぜひ音楽の練習や社会人サークル、コミュニティなどに参加してみては?(笑) オーケストラ、吹奏楽部、金管バンド、コーラスなどに、ほんっとうにHSPHSSの方が多いです。
・女性は限界まで我慢して長文を送りつけやすい
HSSの女性が恋愛をすると、限界まで相手に我慢して、いきなり我慢できなくなって長文でラインを送り付けて別れるパターンが多いそうです。言いたいけど言えないという状況が重なってしまうからだそう。対策は、同じことでストレスを感じたら相手に伝えること。
シンプルですが重要な心構えですね。
・男性は女性のオアシスになりがち
女性のオアシス的な存在になりがちなのが、HSSの男性。女子会に1人で参加するなど、女性に溶け込んでいるタイプが多いようです。女子の友達も多いようですが、女性から男性として意識されていないケースも少なくないようです。
障害でも病気でもないHSSの気質を「治す」という考え方は、当たり前ですが間違っています。ただ、自分の気質をしっかりと知り、その気質をどう活用し付き合っていくのかを考えることが重要になります。
その一つの方法は心理学を学ぶことではないでしょうか。特に実践的な心理学をカウンセリングのスキルとともに学ぶことは、自身の人生に大きなプラスになるかもしれません。
心理学・メンタルヘルスに興味のある方、学びたい方はこちらをご覧ください。
監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』(長沼睦雄 著/永岡書店)/『HSPHSSあるある50選』(HSP才能開発サポーターなお 著)/「人口の6%が該当する『HSS型HSP』に特化して情報を発信 5月・6月は“季節性の心の不調『五月病』”の乗り越え方も公開」(SankeiBiz)
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