「コロナうつ」?今後起きるかもしれないメンタル不調と予防法

「コロナうつ」という言葉をネットなどで見かけるようになりました。新型コロナウイルスの感染拡大が、人々の心を不安しているようです。その実態と対策を、海外報道などから説明してみました。

  • コロナへの強い不安
  • メンタル危機の4つの原因
  • ポイントは規則正しい生活

コロナへの強い不安

「コロナうつ」という単語を、Webなどで見かけるようになりました。「PRESIDENT Online」では、愛知県内の精神科医の調査として、1日に診察した68人のうち、58人がコロナへの強い不安を訴えていたと報じています。こうした新型コロナウイルスが引き起こす不安定な状態を「コロナうつ」と呼び始めているようです。

もともと感染症の流行は、強いストレスを生み出すことが知られており、かなり前からパンデミックによるメンタル不調に気を付けるようにという注意を、いろんな団体が出していました。

ただ非常事態宣言の後も感染者数は増え、緊張感はより高まっています。そうした状況の変化によって、今後、どのような精神的影響を受けるのかを、諸外国の報道などから考えてみたいと思います。

メンタル危機の4つの原因

米国のシンクタンクであるランド研究所は、中国の武漢でおきた「コロナ禍(か)」によって、うつやPTSDなどのメンタルヘルスの危機が起こった理由を、次のように分析しています。

SARSの記憶
2002~2003年にかけて流行ったSARSは、中国広東省で感染者が発見され世界中に広がっていきました。700人以上の死者を出した感染症であり、中国国内でもかなりのパニックを引き起こしました。そのときの恐怖を覚えている人々にとって、SARS以上の感染力を持つ新型コロナウイルスは心理的に大きなストレスとなったようです。

政府への信頼失墜
当初、このウイルスの危険性を軽視した政府の対応に、多くの国民が疑問を持ちました。結果、その後の対応にも不信感を抱き続けることになり、不安感が増してしまったようです。

医療の崩壊
一気に感染者数が増える中で、医療現場が対応できる限界を越えてしまったことは、人々の不安をより大きくしたといえそうです。

都市封鎖
武漢の封鎖が解けた現在からすると都市封鎖に効果があったと言えそうですが、住民のストレスにつながったことは間違いないようです。

米国におけるメンタルヘルスの危機については、感染や経済への不安の高まりから始まり、その後の感染率と死亡者数の急速な増加によって、不安だけではなく、無力感も覚えるようになったという報道がありました。こうした無力感はうつにつながる危険性があるとも書かれています。

ポイントは規則正しい生活

自宅に長く居続けることでのストレスや医療の崩壊、政府への不信感。さらには多くの人が死んでしまうことへの無力感などは、今後は日本で起きてもおかしくない状況です。

だからこそ自身のメンタルを強く保てるような、日々の生活の気遣いが重要でしょう。

日本うつ病学会は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、健康維持のコツ」を発表しています。この提言によれば、体内時計がスムーズに動くよう、規則正しい生活を送ることが重要だそうです。特にうつ病や双極性障害のような心の病気を患っている方は体内時計が狂いやすいので、通常の生活スタイルと同じようにはできない今だからこそ、体内時計に注意を払う必要があるそうです。

この提言の中からいくつかを紹介しますので、参考にしてください。

・自分自身で毎日決まって行う日課を設定
・毎日、同じ時刻に起床する
・毎日、同じ時間に運動する
・毎日、同じ時間に食事する

テレワークなどによって出勤しない人は特に、日々の規則正しい生活が乱れやすくなるので、生活のリズムが刻みやすくなるようにしましょう。

・一定時間の外出
・人との交流

密閉・密集・密接のいわゆる「3密」を避けて、外出したり、人と交流する時間を持つことも重要です。SNSや電話、テレビ電話などを使ったコミュニケーションの時間を、意識的につくるようすることを勧めています。

メンタルヘルス対策をどうするのかを考え対処していくことは、カウンセラーなどの心理職の仕事の一つです。

◆心理学やメンタルヘルス、カウンセラーなどに興味のある方は、こちらをご覧ください。

参考:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、健康維持のコツ」(国際双極性障害学会、光療法・生物リズム学会)/The Covid-19 mental health crisis: expect depression, anxiety and stress disorders, researchers warn(The Telegraph)/激増中「コロナ鬱」を避けるための5つの予防法(「PRESIDENT Online」)

   

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「働く人の心ラボ」を運営する日本産業カウンセラー協会では、新型コロナウイルス感染症に関連して不安やストレスにどう対処していくか、産業カウンセラーによるコラムを配信しています。こちらからご覧ください。
※産業カウンセラーは、心理的手法を用いて、働く人やそのご家族の心の健康・キャリア開発・職場環境改善等を支援する専門家です。

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