新型コロナウイルスの蔓延は、メンタルヘルスにどのような影響を与えるのでしょうか。過去の災害や海外情報などから心の健康を守るために、役に立ちそうな情報をご紹介したいと思います。
- パンデミックで不安を感じやすい4タイプとは?
- いつもの生活を送れない危険性
パンデミックで不安を感じやすい4タイプとは?
新型コロナウイルスの猛威が、多くの人を不安にしていることは改めて説明するまでもないでしょう。WHOもかなり早い段階で、新型コロナウイルスのメンタルヘルス対策を発表しました。
また、心理学に関連する研究者、教育者、臨床医などを会員に持つアメリカ心理学会(APA)のWebページでも、新型コロナウイルスへのメンタルヘルス対策を発表。極度の緊張によって長期間、仕事や対人関係に悪影響を与えそうな心理状態になった人は、カウンセラーなどの専門家に相談するようにアドバイスしています。
米国疾病予防管理センター(CDC)は、感染症によるストレスに強い刺激を受けてしまう可能性のある人として、次のような人たちに注意を促しています。
・感染リスクの高い高齢者と慢性疾患のある人
・幼い子どもと10代の青年
・医師などの医療関係者を含む新型コロナウイルス患者への支援者
・薬物乱用者やメンタルに不安を抱えている人
さらに次のようにも指摘しています。
「ストレスの多い状況への人々の反応はさまざまです。感染症の蔓延にどのように対応するのかは、自身のバックグラウンドやアイデンティティー、住んでいる地域のコミュニティーによっても変わってきます」
メンタルに不安を抱えている人は、自身の心がいつもと違った反応をしていないかに注意しておいた方が良いかもしれません。
いつもの生活を送れない危険性
ハーバード大学医学部のクリスパーマー准教授は、今回のパンデミックが新型コロナウイルスそのものと経済という2つの不安を引き起こすと指摘しています。その結果、恐怖心や倦怠感、落ち着かなさ、といった感情が湧き上がり、長期化すると今度は孤独感が増し、うつ病を発症する人が増えると予想しています。
そのきっけかとなるのが、日々の生活習慣の崩壊だというクリスパーマー准教授の指摘は心に留めておいた方がいいかもしれません。日本でもテレワークなどが増え、日常生活のパターンに変化が起きています。
さらに外出を禁止する「ロックダウン」ともなれば、スポーツや友人と食事などができなくなってしまいます。そうやって空いた時間を、お酒やテレビやネットなどで埋めてしまうと、心の健康が損なわれてしまう可能性があるというのです。
また、メンタル不調を抱える人は、こうした生活の変化で心理的な悪影響が出やすいとも彼は指摘しています。メンタルヘルスのためにも就寝時間や起床時間をズラさないようにするなど、なるべく日常生活のルーチンを維持することも今後は重要になってくるでしょう。
最後に米国疾病予防管理センター(CDC)が公開した、自分でできるストレス対策を紹介しておきましょう。
①新型コロナウイルスに関連するニュース記事などを見ないようにする
②深呼吸やストレッチ、瞑想を実施する
③リラックスできる時間をつくる
④自身の気持ちについて、信頼できる人と話してみる
まだ事態の収縮に向けて時間が必要だと思いますが、かつてない状況ですので自分のメンタルヘルスにも注意を向ける必要があるかもしれません。
参考:Five Ways to View Coverage of the Coronavirus/ Manage Anxiety & Stress/ Manage Anxiety & Stress/ The Mental Health Survival Guide to the Pandemic
メンタルヘルスに関心のある方はこちらをご覧ください。
日本産業カウンセラー協会でも、新型コロナウイルス感染症に関連して不安やストレスにどう対処していくか、産業カウンセラーによるコラムを配信しています。 こちら からご覧ください。
※産業カウンセラーは、心理的手法を用いて、働く人やそのご家族の心の健康・キャリア開発・職場環境改善等を支援する専門家です。