新型コロナウイルスがメンタルヘルスにどのような影響を与えているのか、統計資料がいくつも発表されました。そうした統計資料の結果とストレスの対処法を紹介していきたいと思います。
- 8割を超える人が感じているストレス
- 先の見えない不安がストレスに
- 米国では世帯収入との関連も
- ストレス対処法を紹介
8割を超える人が感じているストレス
今年8月に筑波大が約7000人を対象に実施したアンケートでは、「直近の1ヵ月間でコロナに関連してどの程度ストレスを感じたか」という質問に、「とても感じた」が38.3%、「少し感じた」が41.8%と答えています。つまり8割を超える人がストレスを感じている状況となっていることが分かったのです。
とはいえ緊急事態宣言が発令された当時と比べれば、やや緊迫感も収まったのではといった感想を持つ人もいるかもしれません。
しかし横浜労災病院・勤労者メンタルヘルスセンターの相談件数の統計では、通常1ヵ月700件程度なのに、5月には1202件、6月には1100件、7月には1397件、8月には1455件と増加を続けているのです。
先の見えない不安がストレスに
死亡者数などが非常に多い米国でも状況は深刻です。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が6月末に実施した調査は、18歳以上の成人の40.9%がメンタルヘルスの悪化を報告しています。またメンタルヘルス不調と回答した約1割が、「過去30日間に自殺を真剣に考えた」と回答しており、状況はかなり深刻だと言えるでしょう。
このような状況について、ジョン・ホプキンス大学医学部のポール・ネスタット助教授は、ロックダウンの解除で感染が一段落すると思っていた人の希望が打ち砕かれ、終わりのない闘いに疲れてしまっていると分析しています。またポール・ネスタット助教授は、秋に向けて不安が高まる可能性があるとも語っています。
これは相談者数が増え続けている日本でも、同じように警戒してする必要があるかもしれません。
米国では世帯収入との関連も
また、米国でのコロナ禍によるメンタルヘルス不調は、世帯収入と関連性が高いことも指摘されています。ジョンホプキンスブルームバーグ公衆衛生学校が実施した調査結果によれば、世帯年収3万5000ドル未満の人たちのメンタルヘルスが特に悪化していることが分かったからです。
米国の高所得者層はパンデミック中の資産運用で、財産が増えた人が多いことがわかっています。さらにテレワークへの意向もスムーズな人が多かったため、貧富の差が感染率の差になっているといった議論も起きています。
日本とは状況が違いますが、経済との関連性は無視できない要因でしょう。
ストレス対処法を紹介
では、新型コロナウイルスがもたらすストレスに、どのように対処すべきなのでしょうか?
国立成育医療研究センターがまとめた「新型コロナウイルスに負けないために」はポイントを3つにまとめています。
① 自分の気持ちに気づいて、表現する
② 自分に合ったストレス対処方法を見つける
③ 他人とのつながりを維持する
この中でも②の種類が非常に豊富です。紹介しましょう。
・音楽を聞く
・日記をつける
・絵を描く
・おしゃべりをする
・よく寝る
・ペットと遊ぶ
・空を見る
・深呼吸をする
・ヨガをする
・ストレッチをする
・大きなスイーツを食べる
・歌を歌う
・ゆっくりお風呂に入る
どうでしょう。試したみたいストレス解消法は見つかりましたか?
もちろん状況が深刻だと感じたら医師などの診断を受けることも必要です。ムリをせずに長丁場を乗り切っていきたいですね。
メンタルヘルスへの対策に興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考:「『コロナ怖い』心に異変 強迫性障害 何十回も手洗い 家から出られず」(『読売新聞』2020年9月10日)/「新型コロナ:コロナ『ストレス感じる』8割 感染不安/自粛生活 筑波大がネット調査」(『毎日新聞』2020年9月2日)