よく飼い主と連れている犬がそっくりなことがありますよね。微笑ましい光景ですが、ペットと飼い主の容姿や雰囲気が似ているのは思い込みではないことが研究で判明しました!それどころか性格まで似ているというのです。その秘密を説明します。
- 似ているのは純血種の犬!?
- じつは性格まで似ている
- ポイントは「生活スタイル」
似ているのは純血種の犬!?
なぜだか犬と飼い主の容姿や雰囲気が似ていることは少なくありません。「そっくり!」と犬と飼い主を見て、微笑ましい気持ちになった経験もあるのではないでしょうか?
じつはこの謎に挑んだ心理学者がいました。
米国カリフォルニア州立大学のマイケル・ロイ氏は、犬の飼い主45人に依頼してペットの写真をもってきてもらい、それを別の実験参加者に見せて、犬と飼い主のマッチングをしてもらったのです。
その結果は驚くべきものでした。64%の正答率だったのです。
ただし、この正答率は犬が純血種だった場合のみ。ミックスドック(雑種)の正答率は、35%にまで落ちました。
問題は、この正答率の差がどこからきているのかでしょう。マイケル・ロイ氏は、ペットとして迎えたときの状況だと結論づけています。純血種の場合はペットショップやブリーダーなどから買うケースが多くなります。一方、ミックスドックの場合は人からもらったり、貰い手のいない犬を助けたりするケースが少なくありません。
つまり純血種の場合は、自分に似た犬を選んでいるケースが多いため、結果的に飼い主と犬が似てしまうというわけです。人間は「自分好き」なので、ペットも自分に似た容姿を無意識に選びがちなのだそうです。
じつは性格まで似ている
飼い主と犬が似ているのは容姿や雰囲気だけではありません。
じつは性格まで似ていることが、米国ミシガン州立大学のウィリアム・チョビク氏によって確認されています。
そもそも犬と人間の性格は判断の基準が異なるので、研究も難しかったようです。しかし1,681匹の犬の飼い主たちに自分と犬の性格についての質問票に答えてもらった結果、かなりの相関関係が判明したそうです。
例えば、誠実な性格の飼い主は自分の犬について「よく訓練されている」と評価したり、神経過敏な飼い主は「自分の犬は怖がり」と答える傾向があったということです。
たしかに活発な人の犬は、元気な犬を連れていることが多いかもしれませんね。
ポイントは「生活スタイル」
では、犬と飼い主の性格の類似は、どうして起こるのでしょうか?
その原因の一つをウィリアム・チョビク氏は、飼い主の選択にあるとしています。おとなしい人は、おとなしい犬を飼いたいと思うような相性の問題もさることながら、自分の生活スタイルに合った犬を選ぼうとした結果でもあるようです。
外交的で出かけるのが好きなタイプの飼い主は、一緒に外で出られるパートナーを探すでしょう。逆に自宅でゆったりしたいタイプの人は、外で走り回るのが大好きな犬は選ばない可能性が高まるのだそうです。
ただし容姿と違って、犬の性格については飼い主の選択だけではない可能性があるとウィリアム・チョビク氏は指摘します。
それは飼い主の生活スタイルに、犬が影響を受けている可能性があるからです。犬仲間と会う機会の多い飼い主の犬は、結果的に他の犬と出会う機会も多く、社交性も高まっていくでしょう。また、規律正しい生活を重んじる飼い主は、犬にもしっかりとしたしつけをするため、規律正しい犬となる可能性が高まります。
いずれにしても、飼い主と犬は容姿も性格も似ている可能性が高いことが心理学で証明されたようです。人間の夫婦も長く連れ添うと顔が似てくると言われることが多いので、犬も含めて家族の顔がみんな一緒というケースもあるのかもしれませんね!
心理学に興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考:『世界最先端の研究が教えるすごい心理学』(内藤誼人/総合法令出版)/「『犬の性格は飼い主に似る』は本当だった」(National Geographic)