不安があって一歩が踏み出せない。ちょっとした不安が大きくなって気分が落ち込んでしまう。それは誰でもあることかもしれません。ただ、その不安を少しでも解消したいと思うなら、今すぐ不安を取り除けるメソッドを試してみませんか?
- 不安にはプラスの影響も
- 安堵感がクセになる
- 愛情ホルモンを出す
- 脳の血流をよくする
- 認識を変える
不安にはプラスの影響も
不安感が強いと、社会生活で不便を感じることが少なくないでしょう。自分の精神が弱いのかと落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
しかし不安が常にマイナスに作用するとは限りません。不安だからこそ慎重にミスのない行動が取れることも事実でしょう。逆に不安を感じることが少なくスリルや危険を好む人に多い遺伝子が発見されており、そうしたタイプの人は危険を伴う職業を選択しやすいと言われています。
そう考えると、むやみに不安を取り除けばいいというわけではなさそうです。ただ不安が不安を呼び、不安が拡大していくようであれば当人も暮らしづらいので、改善する方法を学んでおいた方がいいかもしれません。
安堵感がクセになる
まず、何度も不安を感じてしまう理由を説明しましょう。
じつは不安に思っていることの大半は現実に起こりません。もちろん不安だから起きる前に対処したといったこともあるでしょう。しかし思い返してみれば、不安におびえたまま過ごした結果、ほとんど何もなかったことも少なくないでしょう。そして大事にならなかったことにホッとします。
この安堵の気持ちが、不安を呼び起こすとビル・ナウス博士は指摘しています。
例えば上司に呼ばれて、怒られるのを覚悟したとしましょう。そのとき3時間もみっちり詰められるではと考え、不安感を募らせたとしましょう。ところが実際には5分程度の小言だったとしたら、怒られた事実は変わらないのにホッとします。
最悪を想定して不安を募らせ、予想より被害が小さかったと安堵する。そうした心理が不安感を強めていくというわけです。
①愛情ホルモンを出す
不安感が強くなると、関連する不安がどんどん湧いてくることが少なくありません。「明日は大切な面接だけど失敗しないかな?」という不安が浮かんだら、「こんな不安で眠れるかな?」と思うようになり、さらに朝起きれるかが不安になるといた具合です。
そうした不安の連鎖を抑えるために、気持ちではなく、体からアプローチをする方法があります。
不安を感じたら、両手を胸の前でクロスして、二の腕をさすってみましょう。さらに自分をねぎらってみてください。「大丈夫、大丈夫!」「よく頑張ってる」「しっかりやってる。えらいよ」などなど。実際に声に出して言ってみましょう。
理想の母親に元気づけてもらっているようにイメージしてやってみましょう。
近年、注目されているオキシトシンという神経伝達物質は、別名「愛情ホルモン」と呼ばれており、子育てや人・動物のスキンシップに関係する物質と言われています。ストレスや不安の調整に関わっているそうです。
そのためオキシトシンが出るような行動をすると、不安が小さくなる可能性が高いのです。
不安に関するこちらの記事もおすすめです。
手軽に不安を解消する4つの方法
先の見えない不安に効く「ネガティブ・ケイパビリティ」ってなに?!
人間関係に不安を感じるときに試したい3つの方法
②脳の血流をよくする
不安やストレスを感じるときに脳の一部の血流がわるくなることが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の研究からわかっています。逆に、そうした血流をよくすることができれば、不安が和らぐことを藤本昌樹・東京未来大学准教授が発見。さらに脳血流をよくするツボを刺激する「合谷タッピング」を考案し、その効果まで確かめたのです。
「合谷タッピング」は、不安を感じたときに、親指と人さし指の骨が交差する手の甲のくぼみにある「合谷」のツボを、心地よい強さで1分以上トントンと叩くだけです。
いつでも、どこでもできる簡単な不安解消です。
③認識を変える
身体からのアプローチで不安が収まってきたら、不安を呼び起こす心理について考えてみましょう。
まず、思い込みと事実に分けてみましょう。
例えば、いつも面倒なことを頼む人からメールがきて不安になり、今度はどんなことを押し付けられるのか不安に感じたとしましょう。
しかし事実は「メールが届いた」ことだけ。それ以外の不安は、全て起きるかわからない思い込みです。つまり不安に感じている事柄は、まだ起きていない自分だけの「物語」なのです。
事実とそこから育った不安の種を書き出してみましょう。こうすると何となく不安だと思っていた内容も明らかになります。さらに、そうした不安が実際に起きる可能性や対処方法を考えると、不安におびえていることが少しバカみたいに感じるかもしれません。
その上で不安の物語を紡ぎ出してしまう自身の傾向を認めて、そうした自分を責めないようにします。
今日は不安に苦しい思いを強いられないため方法をまとめました。今、不安ならばすぐに①や②を試してみてくださいね。
不安な心理について興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『不安な自分を救う方法』(柳川由美子/かんき出版)/「Anxiety and Exaggerations」(Bill Knaus Ed.D./Psychology Today)