頑張りすぎて、ちょっと疲れたと感じたことはありませんか? 米国でもがむしゃらに仕事を頑張る「ハッスル・カルチャー」から降りる方法が議論され始めています。働きすぎの人生を見直す方法をお伝えします。
- 米国ではハッスル・カルチャーへの疲れも
- 将来への不安が一因に
- 自分を追い詰める行動について考える
- 行動の後ろにある心理を考える
- 自分を癒す方法を考える
米国ではハッスル・カルチャーへの疲れも
バブル期の日本では、「24時間戦えますか」と高らかに歌い上げる栄養ドリンクのCMがテレビから流れていました。今ではこのような働き方を求める企業は見られなくなりましたが、もっと働いて収入を増やし、勉強などを通じて自己成長し、さらに副業にも力を入れようといった社会的な流れがなくなったわけではありません。
近年、米国では「ハッスル・カルチャー」と呼ばれる文化がもてはやされてきました。「仕事中毒」と訳されたりもしていますが、本業だけに没頭するといった意味ではないようです。仕事の枠を広げるための勉強や資格取得、副業なども含めて忙しく働く行動スタイルを指し、忙さをアピールするといった意味合いも含まれているようです。
定時には帰っているけれど、その後、資格取得のためにずっと勉強を続けているといったライフスタイルも、「ハッスル・カルチャー」なのです。
将来への不安が一因に
こうした文化が生まれた背景には、いくつもの要因があったようですが、低い社会保障による将来への不安、生きがいを仕事に見つけるムーブメントの影響もあったようです。
つまり「本業だけでは不安だから副業も頑張ろう」「将来が不安だから資格を取っておこう」といった動きも、ハッスルカルチャーを生み出すきっかけになります。日本では時短が叫ばれ、米国のハッスルカルチャーのような風潮はあまりないかもしれません。しかし将来のためを考えて副業や資格取得のために自由な時間が奪われていくようになれば、日々、疲れ切ってしまうことにもなるでしょう。
そこでハッスルカルチャーを見直すための3ステップを紹介しましょう。
①自分を追い詰める行動について考える
「何かを頼まれたとき、相手に失望されそうで断れない」「ミスが極度に怖い」といったことはありませんか? 子ども時代まで遡って、こうした行動に代表される自分を追い詰めてしまう行動を確認しましょう。
こうした行動を取っていると、仕事は必要以上に増えていきます。断れない仕事に囲まれ、ミスをしないためのチェックに追われる。これが習慣になっていると、ストレスを発散し一次的に疲れが取れたとしても、いつの間にかまた疲弊してしまいます。
こうした行動を止めるための第一歩は、自分を追い詰めてしまう行動に気づくことです。
②行動の後ろにある心理を考える
自分を追い詰めてしまう行動がわかったら、その時の心理について分析してみましょう。
うつ病などの治療に携わるケイト・シュローダー氏は、「ハッスル・カルチャー」に没頭する人の背後には、自分では見たくない感情的な問題があると指摘します。
例えば、パートナーとの関係がうまくいっていないことに目を向けたくないから、より忙しく動いてしまう。
他人からの期待に応えたいという強い思いは、自分の自信のなさにあった。
このように自己分析していくと、必ずしも忙しく働いていたいわけではないことを理解できるのではないでしょうか。自己分析が難しいようなら、カウンセリングに通ってみるのも一つの方法かもしれません。
③自分を癒す方法を考える
見たくなかった自分の心理に気づいたら、どうしたらそうしたツラさを軽減できるのか考えてみましょう。「パートナー一緒にいるの時間を作ってみる」「自分の得意なことに時間を費やして自信を少しずつ回復していく」など、さまざまな方法があるでしょう。
将来の不安は多かれ少なかれ誰にもあるものでしょう。だからといって不安解消のために、疲弊してしまうほど、自分追い詰めるのはよくありません。「ちょっと疲れたな」と感じたら、自分のライフスタイルについて考えてみませんか?
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「The Complete Guide to Quiet Quitting the “Hustle Mentality”」(Kate Schroeder LPC, NCC/Psychology Today)