先の見えない「コロナ禍」を乗り切る5つの方法

コロナ禍による先行きの見えなさに、不安になっている人も少なくないかもしれません。こうした予想を超えた事態に、どう対処すべきなのかを、不確実性という観点から紹介したいと思います。

  • 予想外の未来に対応する
  • コロナ禍は「ブラック・スワン」か!?
  • 5つの対策ポイント

予想外の未来に対応する

国や人によってもコロナ禍に対する意識は違っています。「戦争だ」と表現する海外の政治家もいますが、日本の一部の行楽地では人の賑わいが伝えられたりもしています。

不確実性とは、

将来のデキゴトには「予測ができない」性質が備わっていることを示す言葉(『最強の教養 不確実性超入門』<田淵直也 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン>)

だそうです。

未来が予測できないのは当たり前のように感じると思いますが、予測できない事態を忘れると大変なことが起きる世界もあります。

「不確実性」は経済用語であり、金融関係の記事などでも使われる単語です。未来を予測して売買を繰り返す投資家などにとって、予想だにしない状況での損失は無視できません。そんな背景から生まれたのが、不確実性という単語であり、その研究なのです。実際、短期的には投資で勝ち越していても、不確実性を理解しないことで大きく負けていく例は少なくないそうです。

『最強の教養 不確実性超入門』(田淵直也 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)にも次のように書かれています。

結論だけ先に言ってしまうと、投資における成功は、相場の行方を正確に予想することよりも、“予想外”のデキゴトにいかに対応するかにかかっている。

コロナ禍は「ブラック・スワン」か!?

コロナ禍が、どれだけ予想外の災害なのかは、さまざまな議論があるようです。

確率の算定が難しく、起こった時の影響が計り知れない問題を「ブラック・スワン」と命名した、ニューヨーク大学タンドン・スクール・オブ・エンジニアリングのナシーム・タレブ教授は、

「9月11日の米同時テロは間違いなくブラック・スワンだが、今回はホワイト・スワンだった」(「コロナ危機は『ホワイト・スワン』、予見可能なリスク無視-タレブ氏」<『Bloomberg』>)

と発言しています。コロナ禍は予測不能な危機ではないという主張です。

とはいえコロナ危機後に広がる世界「アフターコロナ」ついて、世界中で議論されている現状を考えれば、通常と同じような対処で乗り切れるというわけでもなさそうです。


アフターコロナについてもっと知りたい方は、以下の記事もおすすめです。

「アフターコロナ」の「新たな現実」と今できること


5つの対策ポイント

不確実性への対策について調べると、多くは平常時の事前の対策に行き着きます。しかし現在の私たちは、未曽有の危機に足を踏み入れています。ただ、まだまだ対策を立て実行できる部分も多いのではないでしょうか。

そこで現状使えそうな危機対策に絞って、『最強の教養 不確実性超入門』(田淵直也 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)から5つのポイントを紹介しましょう。

①気合で乗り切ろうとしない

人は、苦境になればなるほど、気合に頼ろうとする傾向が強く現れる

と田淵直也氏は解説しつつ

気合だけですべての局面を乗り切れるわけではない

と書いています。

ありふれた日常で問題が起きたときには、気合が問題を解決することも少なくありません。しかし予想外の出来事が起きている状態では、今までのやり方で対処できるのかを、まず考える必要がありそうです。

過去の方法でうまくいかないなら、これまでのやり方を疑い、戦略を立て直してから努力すべきと田淵直也氏は指摘しています。

②防御が重要

1987年のブラックマンデーを予測して大きな利益をあげたヘッジファンドマネジャーのポール・チューダー・ジョーンズは、次のように語っています。

常にノックアウトされないように配慮すべきだ。ノックアウトさえされなければ、反撃のチャンスは再びやってくる

これは日常での対策を含んだものですが、現在でも有効でしょう。反撃のチャンスが必ずくることを頭に入れておいて、ノックダウンされない道を探しましょう。

③サンクコストに縛られない

すでに計画に投じてしまった費用を「サンクコスト」といいます。計画を中止・変更するとき、人を迷わすのがこの「サンクコスト」です。あんなに費用をかけたのに、中止すれば損失が拡大してしまう。その思いが計画中止を阻むのです。

計画を続行すべきなのかは、追加の損失がどれぐらいに及ぶのかを考える必要がありそうです。


サンクスコストについてもっと知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

「もったいない」にご用心!サンクコスト効果が会社とも個人を破滅に導く


④希望的観測に頼らない

歯車が狂い始めると、悪い出来事が連鎖的に発生しがちです。特に希望的な観測に頼ると、状況がより悪化する可能性があります。

人は苦しいときほど希望的観測にすがる傾向があるそうなので、問題を認識しているなら抜本的な対策に向かって努力する方がいいとのこと。

しかし抜本的な改革には痛みがともうため、「今はまだそこまでやる必要がない」という意見が出がちです。ただ事態の深刻さを多くの人が理解したときには、打つ手がなくなっているケースもあるので、異論が出ているうちに対策を打つほうがいいようです。

⑤組織の異論を排除しない

これは平常時の対策に近いものですが、予想外の出来事への柔軟な対処は集団の多様性から生まれることが多くあります。本当の緊急時には、組織が一丸となって突破することも重要でしょう。しかし対策を考える上では、さまざまな視点から検討することが重要です。異論にもしっかり耳を傾けてみることで、意外な「出口」が見つかるかもしれません。

心理学などに興味のある方は、こちらもご覧ください。

参考:『最強の教養 不確実性超入門』(田淵直也 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)/「コロナ危機は『ホワイト・スワン』、予見可能なリスク無視-タレブ氏」(『Bloomberg』)

   

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