コスパにも気をつけているし、時間管理もしっかりとやっている。それなのに何だか満足感が薄い。自分の時間の使い方は本当に合っている? そんな思いが募ってきているなら、「選択肢」の数を減らしてみませんか。
- 多様な選択肢は魅力だけど選べない
- ウォーレン・バフェットの教え
- まず優先順位の上位に時間を配分する
- 同時進行のプロジェクトを減らす
多様な選択肢は魅力だけど選べない
私たちは可能な限り選択肢を広げようとしがちです。2つからどちらかを選ぶよりは、10の選択肢から選びたいと思うのは当たり前でしょう。しかし、そうした行動が、ときに自分の幸福度を下げているのかもしれません。
コロンビア大学シーナ・アイエンガー教授は、スーパーマーケットでジャムの試食を使って心理学実験を行いました。
試食できるジャムの数を、一つは24種類、もう一つは6種類に設定。当然ですが、人が集まったのは24種類のジャムを用意した日でした。ただ、面白いのは試食した人のうち、どれぐらいの人が購入したのかという数字です。6種類提示した場合は約30%の人が購入したのに、24種類を提示したケースでは3%しか購入しなかったのです。かなりの差があることがわかるでしょう。
人は選択肢が多ければ嬉しくなります。24種類のジャムがあれば、「何だろう」と思って足を止めます。しかし購入しようとすると決められないのです。選択肢が多すぎる弊害を、私たちはもう少し考えるべきかもしれません。
ウォーレン・バフェットの教え
米国の投資家として有名なウォーレン・バフェットは、「どうしたら人生の優先順位を付けられますか?」という質問に、「人生でやりたいことのトップ25をリストアップして重要なものから順位に並べ、その上位5つに時間を使いなさい」とアドバイスしたそうです。
さらに「残りの20項目は捨てなさい」と付け加えたと言われています。
限られた人生で本当にやりたいことは何なのかを考えて選択肢を絞らないと、結局、何もつかめないかもしれません。そして選択肢を絞らないままコスパ重視や時間管理に力を入れると、忙しさは増すのに、ちっとも満足できないという悪循環に陥ってしまう可能性があります。
そこで今回は選択肢を絞る方法を2つ紹介します。
まだ本当にやりたいことが見つかっていない人は、こちらの記事をチェック!
「やりたいこと」を見つける7つの質問
本当にやりたいことを知り、自己認識を高める3つの方法
本当にやりたいことを見つける3つのメソッド
①まず優先順位の上位に時間を配分する
自分にとって最も重要だと感じるものに時間配分しようと思っても、日常生活の雑務すべてを振り払うわけにはいきません。
例えば娘との時間を大切にしたいと思っても、娘との生活を支えるためには仕事もしなければいけません。そして気を抜くと、優先順位の低い項目がどんどん自分の時間を奪ってしまうのです。
さらに困ったことに、自分のやりたいことをできていないストレスが、ネットサーフィンやゲームなどの時間を増やしてしまうこと。もちろんゲームが自分にとって重要であれば、何の問題もないでしょう。しかしストレス解消のためなら、そうしたライフスタイルを変える必要があります。
まず優先順位の高いものを、予定表に書き込みましょう。最初に時間を確保しなければ、自分にとって重要な時間はどんどん削られてしまうからです。会社のため、上司のため、家族のため、友人のためといった形で使った残り時間を自分が本当にやりたいことに使うといった考えを改めましょう。
②同時進行のプロジェクトを減らす
人間の脳はマルチタスクが苦手です。マルチタスクは脳への負荷が大きいため、ストレスホルモンが増えてしまいます。結果、脳機能が低下しまうこともあります。
また忘れているようでも、人は途中で止まっているプロジェクトを気にする傾向があるため、未完のプロジェクトの書類を無意識にチラチラと見てしまうといったことも起こるのです。
マネジメントの専門家であるジム・ベンソンとトニアン・デマリア・バリーは、進行中の仕事を3つまでに制限するよう勧めているそうです。3つに絞って、それが完了するまでは他の仕事はいっさいやらない。そのシンプルな方法が、プロジェクトの推進力をアップさせるとのこと。
私たちはさまざまな可能性を追い求めて生きがちです。あれもしたいし、これもしたい。そんな広げすぎた選択肢を絞っていくことで、別の未来が見えるかもしれませんね。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン/かんき出版)