「やりたいことが見つからない」という思いを抱えている人は少なくないでしょう。特に仕事であれば、そのモヤモヤはけっこうマイナスの影響をもたらすかもしれません。そんな悩みへの対処法について考えてみました。
- 仕事探しの一番のストレスは……
- 見つけたいと思い続ける
- 「他力本願」で探してみる
- キャリアコンサルタントが有効かも
仕事探しの一番のストレスは……
エン・ジャパン株式会社の調査によれば、仕事探しでストレスを感じる理由の第1位は68%を占めた「やりたい仕事が見つからない」でした。2位の「応募しても連絡が来ない」が56%、3位の「面接・面談を通過できない」が43%ですから、こうした悩みを持っている人がどれだけ多いのかがわかるでしょう。
株式会社ビズヒッツ「仕事が楽しいと思う瞬間ランキング!男女500人アンケート調査」では、「今の仕事はあなたがやりたかった仕事ですか?」という質問に、「YES」が53.0%、「NO」が47.0%でした。意外に「やりたかった仕事」に就いている人が多いようにも感じられるのですが、それでも半数弱はやりたかった仕事以外に就いているのです。
つまりやりたい仕事を見つけるのも、そうした仕事に就くのも簡単ではないということでしょう。
見つけたいと思い続ける
「やりたいことが見つからない」という悩みについて、精神科医の尾林誉史氏は、著書で次のように書いています。
「本当にやりたいことってそもそもそんなに簡単に見つからないんです。だって、いろんなことを試してみないと本当に自分がそれをやりたいかどうかなんてわからないですよね」(『先生! 毎日けっこうしんどいです。元サラリーマン精神科医がみんなのモヤモヤに答えてみた』かんき出版)
著者自身、サラリーマンを経てから医学部に入り直した経験があり、本当にやりたいことを見つけるのが難しいことがわかっているからこその答えでしょう。
だから、やりたいことを見つけたいというアンテナを立て続けておくことが大切だと、尾林氏は指摘しています。
「他力本願」で探してみる
やりたい仕事を見つけるなら、複数の仕事を持つ「複業家」として著作もある中村龍太氏は、「やりたいこと」は「他力本願」で探すべきだと書いています。というのも自分のフィールドを離れてみて、初めてやりたいことだったと気づくケースがあるからです。
驚くかもしれませんが、人は自分の行動をやりたいかどうかで決めているわけでもないのです。オックスフォード大学のフィリップ・ラシュトン氏が実施した心理実験では、サクラの1人が献血に応じると27人中18人が献血してくれたというのです。サクラ抜きとは全く違った結果となったことで、他人の影響で自分の行動を決定していることがけっこうあるとわかったのです。
当初はそれほど乗り気でなくても、他人から相談されたり、依頼されたりしたことを懸命にこなすうちに、「やりたいこと」になるケースもあるでしょう。
キャリアコンサルタントが有効かも
やりたいことを見つけるのに対話が重要とも言われています。同じ業種の人だけではなく、さまざまな人の意見を聴いて、自分がどんなことに興味があるのかを探してみるのも一つの方法です。
キャリアコンサルタントに相談して、自分の長所や才能を見直してみるといった方法もあります。これまでの業務の中に、自分では気づいていない何かの原石がみつかるかもしれません。
今日は「やりたいことが見つからない」という悩みのへの対処法をまとめてみました。焦らずに、見つけていければいいですね。
自分らしい生き方や働き方を支援する専門家の資格に興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『先生! 毎日けっこうしんどいです。元サラリーマン精神科医がみんなのモヤモヤに答えてみた』(尾林誉史/かんき出版)/『出世しなくても、幸せに働けます。 複数の仕事で自分を満たす生き方』(中村龍太/PHP研究所)/『世界最先端の研究が教える もっとすごい心理学』(内藤誼人/総合法令出版)