「やりたいこと」を見つける重要性を耳にすることが多くなってきたように思います。人生100年時代を迎え、仕事への意識もキャリアの積み上げ方も多様になっていく中、改めて自分の価値観が問われているのでしょう。そこで「やりたいこと」の見つけ方を紹介します!
- 4人に3人は「やりたいこと」がわからない
- 目標と価値観の違いって?
- 7つの質問に答えてみる
4人に3人は「やりたいこと」がわからない
「やりたい事」を見つけることに、注目が集っているようです。「やりたいこと」を見つけるための書籍も、けっこう出版されています。
こうした傾向の背景にあるのは、価値観の多様化でしょう。
同じ会社にずっと勤め、結婚して、自宅を購入するといった、かつての一般的な「ルート」に乗らない人もかなり多くなっています。「生涯未婚率」は上昇傾向にあり、すでに転職は当たり前となっています。
また人生100年時代をむかえ、高齢になっても働く人が多くなっていますが、仕事の選び方や取り組みの意識も人によって変わってきます。副業や趣味のため、なるべく時間が自由になる仕事を求めるといった選択にも、多くの人は驚かないのではないでしょうか?
そうした多様な選択肢があるからこそ、自分が何をしたいのかを改めて考えるといったことが必要になっているようです。しかし麗澤大学の宗健 客員教授によれば、「今現在、人生でやりたいことがある」という設問に「yes」と答えたのは、24.7%だったのです。つまり「やりたいこと」を見つけている人は、4人1人。75%の人は自分の「やりたいこと」がわからないままに暮らしているのです。
もちろん必ずしも「やりたいこと」を見つける必要はありませんが、夢中になれるものがあれば、より幸福を感じられることでしょう。そこで「やりたいこと」を見つける方法をお伝えしましょう。
目標と価値観の違いって?
「やりたいこと」を見つけるための最初の一歩は、目標と価値観の違いを理解することです。というのも「やりたいこと」について考えるとき、目標を考えてしまうケースがあるからです。
例えば「年収1000万円の達成」は、本当にやりたいことなのでしょうか? これは「目標」ではないでしょうか。目標は価値観のマイルストーンにしか過ぎません。価値観に沿った生き方を続けるための節目として掲げられることが多いからです。
そのため達成したら、こだわる必要がなくなります。
一方、価値観とは、その人の人生の基本的な考え方のもととなるものです。価値観に沿って目標が設定されていれば、思い通りに生きていると感じられますが、価値観とズレた目標によって虚しさを覚えてしまうこともあるでしょう。これは会社から与えられたノルマなどを思い出せば理解できるでしょう。
だからこそ、私たちは自分の「価値観」と結びついた「やりたいこと」を見つける必要があります。自分の「やりたいこと」が目標なのではと迷ったら、達成したときのことを考えみましょう。
「目標」なら達成した時点で終わってしまいますが、「やりたいこと」であれば一生をかけて追い求め続けることでしょう。
7つの質問に答えてみる
さて、実際に「やりたいこと」見つける方法については、マイクロソフトの初代開発責任者であるリチャード・ブロディ―の著作を参考にします。
まず、次の7つ質問に答えてください。
①子どものときに楽しくて仕方なかった遊びは?
②これまでの人生で一番の成功と言えば?
③憧れの人のどこに惹かれる?
④滅多にやらない楽しみとは?
⑤理想の仕事は?
⑥理想とする人間関係は?
⑦あなたは何をしたいと思っていますか? どうなりたいと思っていますか?
この質問に答えるときに重要なのは、どういう事柄を望んでいるのかを簡単に記し、そのときに、どういう感情や経験を味わいたいのか事細かく書くことです。⑦の質問には、できれば10個は答えをあげた方がいいようです。
さて、質問への回答が出そろったら、その回答を丸で囲んで色分けしていきます。
・根源的な欲求 ⇒赤
・(使用する)システム ⇒青
・手段 ⇒黒
例えば、理想の仕事が「自分でお店を持って、お客様に商品を勧めることで笑顔にして、その喜びを分かち合いたい」だとすれば、欲求は「(お客様を)笑顔にする」「喜びを分かち合う」であり、システムは「自分のお店」、手段「商品を勧める」となります。
さらに何度も回答に出てきた「根源的な欲求」を書き出しましょう。その抽出した単語群が自分の価値観に直結しています。そうした単語の中には、「モテたい」といった人に言うには格好の悪いものもあることでしょう。しかし、それがくだらないことでも気にしないで、自分にとっては価値が高いものだと納得して追い求めてみましょう。
さらに価値観に直結する単語をマインドマップに落とし込み、いまの自分の仕事や趣味、将来的にしたいと思っていること結びつけてみましょう。現在はマインドマップを作製するアプリなども無料で使えるので、活用してみるのもいいでしょう。マインドマップを利用して「価値観に直結する単語」のイメージをつないでいき、自分の仕事などにつなげていくと、現在の仕事の面白味に改めて気づくかもしれません。
例えば研修の仕事を淡々とこなしていたとしましょう。しかし、自分の根源的な欲求に「育成」「他人との関り」「知的好奇心」があるとわかれば、思いのほか自分に合った職業だと思えるでしょう。
実際にやってみると意外な発見があるもの。少し面倒くさいと感じるかもしれませんがお勧めです!
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『Microsoft Wordを開発した伝説のプログラマーが発見した「やりたいことの見つけ方」がすごい!』(リチャード・ブロディ/文響社)/『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(八木仁平/株式会社KADOKAWA)