健康的な食事と運動の維持が難しい理由と3つの対処法

運動や睡眠時間の確保など、健康に気を使った生活を維持するのはなかなか難しいものです。そこで、どうして健康的な生活習慣の維持が難しいのか、またどうすれば健康的な習慣を継続できるのかを調べてみました。

  • 健康的な生活の維持は難しい!?
  • 失敗経験が少なくない
  • 成果が出るまで時間がかかる
  • ストレスが不健康な生活を求める
  • 健康的な生活より魅力的な「報酬」が豊富
  • 耐えるほどに我慢がきかなくなる
  • 健康的な生活を手に入れる3つのポイント

健康的な生活の維持は難しい!?

けるのが難しいというのは、少し不思議に思えるかもしれません。しかし習慣化について心理学的に考えると、健康系の習慣化が難しいのは当然だと思えます。

順番に説明していきましょう。

①失敗経験が少なくない

あたり前のことですが、人は失敗を繰り返すとチャレンジする気持ちを失っていきます。過去にダイエットで失敗し、リバウンドで余計に太ってしまったといった経験があれば、積極的に活動しないようになるでしょう。

基礎代謝が高く痩せやすい若いうちは何を食べても太らなかったし、適度な運動もしていた。そんな時代の記憶から軽い気持ちでダイエットを始めて、完全に失敗。スポーツクラブに入会すれば運動するだろうと思ったら、通う時間がなくて退会。そんなことを繰り返しているうちに、健康的な生活に挑戦する意欲はどんどん減ってきてしまうのです。

②成果が出るまで時間がかかる

野菜中心の健康的な食事をとるようにしても、いきなり体調に変化があるわけではありません。また軽く運動して最初にちょっと体重が落ちても、ずっと順調に体重が減っていくわけでもありません。

つまり行動と結果のタイムラグが、やる気をどんどん奪ってしまうのです。

③ストレスが不健康な生活を求める

夜更かしをしていると、お腹が空いてくることはありませんか? これは睡眠不足によるストレスよって空腹感が増し、炭水化物や脂っこいものなどが食べたくなるという体の仕組みがあるからです。また寝不足は、食欲抑制ができにくくなったり、代謝が低下したりといったことも引き起こします。

またストレスが高まっているときは、甘いものやジャンクフードが交感神経を刺激し、ストレスが短時間緩和されるといったこともわかっています。

つまりストレスが不健康な生活を求め、さらに不健康になっていくという悪循環を引き起こす可能性があります。ストレスの多い日々を送っている人は、この悪循環から抜け出すのがなかなか難しいかもしれません。

④健康的な生活より魅力的な「報酬」が豊富

早く寝なければ、次の日の仕事にさしつかえると思っても、映画やドラマの魅力に勝てないといったことはありませんか? 健康的な生活といった長期的な「利益」は、目の前にある短期的な「報酬」と闘い続けています。

3日後にもらえる1万1000円と、今日の1万円なら3日待つ人も多いでしょう。しかし1年後にもらえる1万1000円ならどうでしょうか? 年率は10%なので悪くありません。しかし今日の1万円を選択する人は、かなり増えていきます。こうした長期的な利益を目指して努力し続けるタイプの人は、成功を手にしやすいといった心理実験もあります。

しかし多くの人は、ストイックに自分を律することは難しいでしょう。結果、健康的な生活は遠のいてしまうのです。

⑤耐えるほどに我慢がきかなくなる

「我慢」に使うエネルギーが有限であることは広く知られています。昼間、会社で自分を律していたら、夜には魅惑的な「報酬」に耐えるエネルギーは残っていません。結果、自分を律することができなくなってしまうのです。

健康的な生活を手に入れる3つのポイント

①「なぜ」を考える
まず最初に、なぜ健康的な生活を送りたいのかを考えましょう。リーダーシップ論で有名なサイモン・シネックは、人が動くためには「なぜ」が大切だと説いています。これは健康的な生活の維持にも当てはまること。どうして運動するのか、体重を減らすのか、しっかり睡眠時間を確保するのか、理由を考えてみてください。

このときの理由が、人に言うのがちょっと恥ずかしいことでも構いません。モテたいとか、昔買った服が着たいとか、目のクマを目立たなくしたいとか、些細なことでもいいので、生活を改善する理由を考えてみましょう。

②健康的な生活を採り入れる工夫をする
なるべく負担を小さくして始めましょう。野菜中心の食事を自炊するのが面倒なら、そうしたお弁当を頼むといった方法もあります。通勤に歩くのを組み込むといった方法もあるでしょう。
取り組むための負担をどうすれば小さくできるか考え、思いつかないなら友人などにも、いいアイデアがないかたずねてみましょう。

③深夜の空腹がストレス解消だと理解する
夜中にジャンクフードを食べたくなるのは、ストレス解消の一種だと理解しましょう。本当にお腹が空いているわけではなく、睡眠不足やジャンフードの摂取が悪循環を招くことも理解します。
もちろんすべてを抑えられるわけではありませんが、自分の身体に自覚的になれば欲求を抑えやすくなりますし、欲求の原因となるものを自宅に置かないようにすることもできます。

自宅のテレビのリモコンを取り出しにくい場所に置いたり、ジャンクフードを置かないようにしたりといったことが生活を改善する助けになるでしょう。

今日は健康的な生活を送るための方法についてまとめました。病気への抵抗力をつけるためにも、健康的な生活を送る方法を考えたいですね!

人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「Putting Off Healthy Eating and Exercise: Is Time Management the Answer?」(Kristen A. Carter M.S./Psychology Today)/「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」(サイモン シネック/TED)/「徹夜の空腹対策」(睡眠健康大学)

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