身近な人が怒りっぽく、攻撃的で困っているといった人もいることでしょう。では、どうしてそんなに攻撃的なのかを知っていますか? 心理学が明らかにした「攻撃性」についての基礎知識をまとめました。
- 動物で攻撃性が高まるのは2つのシチュエーション
- 環境で攻撃的になることも
- 人間関係のフラストレーションは危険
- フラストレーションを抱えての運動は要注意
動物で攻撃性が高まるのは2つのシチュエーション
攻撃的なのは人間だけではありません。動物が闘っている姿を見たことのある人は多いでしょう。基本的に動物は攻撃性を備えています。そして強い攻撃性を示すシチュエーションも特定されています。
動物行動学によれば、動物は子孫を残すときと外敵から身を守るときに攻撃性を発揮します。これは人間にも当てはまるかもしれません。「犯罪の陰に女あり」という言葉は、犯罪の動機に女性問題が絡むことを示唆していますが、異性を巡るトラブルは激しい攻撃性を向けられる可能性があるので注意が必要でしょう。
環境で攻撃的になることも
攻撃な人が多い組織に属すると、攻撃的になりやすいことがわかっています。組織の風土に人が染まっていくことは、よく知られています。ただ攻撃性まで学んでしまうことは意外にかもしれません。
つまり攻撃的な人は、周りの環境を変えることで、攻撃性を抑えることができるようになるかもしれないのです。
また匿名性が守られている環境も、攻撃性が強くなる可能性が指摘されています。自分が誰かわからない状況だと、激情にかられやすくなるそうです。匿名なら自分を抑える必要がないと考えがちで、周囲の注意などにも無関心になる傾向が知られています。
だからこそ罵詈雑言が飛び交うサイトでの発言は気を付けた方がいいでしょう。匿名によって感情のままに動く可能性高まっている上に、周りが攻撃的だと攻撃性を抑えようという意識はますます低くなります。
ネットの誹謗中傷によって損害賠償を払わされる案件も増えてきました。迂闊なことを書いてしまいそうなら、そうしたサイトにアクセスしない方がいいでしょう。
人間関係のフラストレーションは危険
フラストレーションが多いと攻撃性が高まると考えられています。これはフラストレーション攻撃仮説と呼ばれているもので、何かしらの欲求不満を感じると、人はその原因に向けて攻撃行動を起こすと言われています。
ただ攻撃を直接的に示すことができない場合、その方法や対象が変わってきます。上司への攻撃が酒の席での悪口となったり、ときには弱い者への攻撃となって表れることもあるのです。
つまり攻撃されたからといって、必ずしも自分に原因があるともいえません。単なる八つ当たりだったすることもあるのです。
さて、攻撃性を生み出すフラストレーションもいろいろありますが、人間関係が絡むと攻撃が強まることが知られています。心理実験では、侮辱されたときに強い攻撃性を見せたことが報告されています。
侮辱された人はその復讐として攻撃性を発揮したので、たとえケンカになっても相手を侮辱するようなことは言わない方がいいでしょう。
フラストレーションを抱えての運動は要注意
シチュエーションが攻撃性を高めることもあります。
何らかのフラストレーションが生じた後、激しい運動をすることで攻撃的になったという実験があります。
これは少し怖い実験なのですが、最初に電気ショックを受け、運動をした後に電気のスイッチを操作した人物に電気を流し返すといった内容でした。結果、運動をしているグループは、相手により強い電気を流していたのです。
つまり運動で興奮しているときには、ちょっとしたことで攻撃的になってしまいがちです。ストレスの発散に運動は有効ですが、その結果、攻撃的になってしまうケースがあることも認識しておきましょう。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考;『人間関係の心理学』(齊藤勇/ナツメ社)