何だか気分がスッキリしない、何となく落ち込んでしまう。そんなときは誰にもあるでしょう。そうした落ち込みがちな気持を調整するテクニックがあるのを知っていますか? ちょっと落ち込んだときに試してほしい感情調整の技術をまとめてみました。
- ストレスは誰にでもある
- うまくできていることに意識を向ける
- 悲惨なニュースやSNSを見ない
- 食事・睡眠・運動・お酒に気を付ける
ストレスは誰にでもある
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにより、精神的に不安定になった人が増えたことが報じられています。社会的な影響を受けつつ、私たちは経済や健康、家族などの個人の問題にも対処していく必要があります。つまり生きていれば、ストレスに悩まされる時期は誰にでもあるものなのです。
ただ、そうしたストレスに対して落ち込んで動けなくなってしまう人もいれば、どうにか心の健康を保てる人もいます。そうしたストレスに強い人々の行動特性が研究され、いくつかのパターンにまとめられています。そして、この行動パターンは、ちょっと元気がないなと感じている人にも有効なテクニックになるそうです。
感情調整のための3つのテクニックを紹介しましょう。
①うまくできていることに意識を向ける
気分が落ちこんでいるとき、多くの人は失敗したことやできないことに意識を向けています。しかし失敗の裏側には「行動」があり、その行動を起こすために、人はさまざまなことを実行しているものなのです。
例えば、仕事で大きなミスをしたとしましょう。心の底から落ち込むような失敗だったとしても、それは服装を整え、職場に行ったからこそ起きた失敗でしょう。
また落ち込んで自宅に帰ってきたときにも、パートナーとの会話の時間を持てたかもしれませんし、ペットに餌をあげたかもしれません。そうした生活を支える行動を、しっかりとできている自分の姿にも注目してみましょう。
できなかったこともあるし、できないこともある。でも、自分にはできていることも同じようにあるという実感を持つことで、気持ちは随分と前向きになります。そもそも人生のすべてに満足することは不可能です。不満足な部分も許容しながら、日々の生活を送っていく。それが人にとって必要な態度なのかもしれません。
できていることを思い出しても、あまり気持ちが前向きにならなかった場合は、自分ができていることを書き出してみるのもおすすめです。意外なほどできていることが多くて驚くかもしれません。
②悲惨なニュースやSNSを見ない
新型コロナウイルス感染症がはやったときにも言われたことですが、悲惨なニュースは心理状態を不安にさせる可能性があります。2014年に起きたエボラ出血熱の感染拡大時期にも、毎日、エボラ出血熱のニュースを見ていた人は、見ることを制限していた人に比べて、身心の機能が落ち、精神的にもツラい状態だったという研究もあります。
また、SNSに費やす時間が長い人は、幸福度が下がるといった研究もあります。社会的な不安が増している場合は、そうしたニュースを取り上げるツイートなども増えるので、元気がないときはニュースやSNSを見ない方がいいようです。
③食事・睡眠・運動・お酒に気を付ける
動けないほどに気持ちが落ち込んでしまわないようにするための方法の一つは、日常生活のリズムをしっかりと整えていくことです。生活のリズムが整っていれば、ストレスに耐える力が増すからです。
食事:バランスのよい食事を、決まった時間にとるようにしましょう。不規則な食事は、不規則な生活につながりがちです。仕事などが詰まっていても、食事の時間を決めて休息をとるようにしましょう。
睡眠:うつ病と睡眠の関連性については、さまざまな研究が発表されています。睡眠不足が心のダメージになることは、すでに広く知られています。日ごろからしっかりと決まった睡眠時間を確保することで、心理的なダメージを受けにくくなります。
運動:適切な運動がうつ病の改善に有効なことも、広く知られています。特に太陽に当たりながら行う運動を、米国のトレーシーハッチンソン博士は進めています。
しばらく運動していないなら、散歩からでもいいので体を動かすようにしましょう。
お酒:ネガティブな状態のときにお酒を飲むと、より気分が悪くなってしまう可能性があります。もちろん憂さ晴らしに飲むという人もいるかと思いますが、飲酒によって落ち込みが深くなってしまったという経験がある人は、精神状態が安定してから飲むようにしましょう。
こうやってまとめると、落ち込んだ気分からの脱出法としては目新しいことがないと感じるかもしれません。しかし対策が「王道」なのは、多くの人が試して効果があったからでしょう。
どうにも落ち込んでしまっているようなら、まず①の「うまくできていることに意識を向ける」から試してみてはいかがでしょうか?
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「It’s OK to Not Be OK: 4 Ways to Manage Difficult Times」(Tracy S. Hutchinson, Ph.D./Psychology Today)