誰にでもコンプレックスの一つや二つはあるもの。問題はそうしたコンプレックスとの付き合い方でしょう。今日は『自己評価メソッド』(クリストフ・アンドレ/紀伊國屋書店)からコンプレックスへの対処法を紹介しましょう。
- やってはいけない2つのこと
- コンプレックスを持った原因を考える
- コンプレックスについて誰かと話し合ってみる
- すべてをコンプレックスのせいにしない
- あえてコンプレックスに挑戦してみる
やってはいけない2つのこと
コンプレックスは意外にやっかいなものです。一般的には「劣等感」と同じような意味で使われますが、もともと精神分析で使われた言葉です。
コンプレックスの特徴の一つは、客観的な事実とあまり関係がないことでしょう。というのも多くの場合、「そんな欠点は誰も気にしていない」といった説得が意味を持たないからです。
そして、欠点が目立たない場面でしか動かないといった行動を取る人もいます。例えば身長が低いことがコンプレックスなら、かかとの高い靴を履けるとき以外は外出しないという行動パターンです。
さらにはコンプレックスによって自信を失い、自分の尊厳を尊重せずに、相手に従うといった行動パターンを示す人もいるようです。「自分はこんなんだから、受け入れてもらうためには従うのは当然だ」と、ひどい扱いにも甘んじてしまうというわけです。
このような行動は、コンプレックスへの対処法として止めておいた方がいいと、精神科医のクリストフ・アンドレ氏は書いています。
では、コンプレックへの対処は、どうすればいいのでしょうか? クリストフ・アンドレ氏は、7つの方法を挙げていますが、そこから高い効果を期待できそうな方法を4つ紹介していきましょう。
①コンプレックスを持った原因を考える
「どうして、こんなコンプレックスを持っているのだろう?」という疑問は、コンプレックスへの対処には有効のようです。
例えば「頭が悪い」というコンプレックスを持つ人は、どうしてそんなことを思ってしまうのだろうと考えると、思い込んでしまった原因を捉えることができるかもしれません。兄弟と比べられて、両親から「バカだ」と言われ続けたことが原因なのかものかもしれません。あるいは受験に失敗したなど、1つの出来事によってコンプレックスになってしまったというケースもあるでしょう。
コンプレックスの原因を過去に見つけたら、当時と今では状況が変化していると認識し直すのも、コンプレックスを解消する一つの方法です。例えば学生時代は兄弟と比べられたけれど、今は兄弟でそんなに差がないと思えるといったこともあるでしょう。
こうした考え方が、コンプレックスを相対的にとらえることにつながるそうです。じつは自分が思い込んでいるほど現実はひどくはないし、気にする必要もないと思えれば大成功です。
②コンプレックスについて誰かと話し合ってみる
自分のコンプレックスについて、誰かに話してみるのも対処法の一つです。ちょっと勇気が必要かもしれませんが、自分のコンプレックスを口にすると劣等感が減っていくようです。
また自分のコンプレックスを告白することで、相手のコンプレックスを聴く機会を得るかもしれません。他人のコンプレックスを聴くことで、自分のコンプレックスに対して距離をとれるようになるかもしれないとクリストフ・アンドレ氏は指摘しています。
コンプレックスは当人が思っているほど、周りは気にしていないものです。そうした事実を実感すると、自分のコンプレックスも他人は気にしていないのかもしれないと思えるようになる可能性があります。
③すべてをコンプレックスのせいにしない
コンプレックスを、さまざまな失敗や行動が起こせない原因として扱っている場合が少なくありません。実際、うまくいかない理由がコンプレックスのせいだと感じているのなら、コンプレックス以外に原因がないかを考えてみましょう。
コンプレックスのところで思考停止してしまっているところから、その少し先を考えることができれば、別の理由が見えてくるかもしれません。例えば学歴のせいではなく、遅刻などだらしない態度が低い社内評価原因だったとか、嫌われたのは顔ではなくコミュニケーション能力だったとかといったことです。
コンプレックスのせいにしないと決めて、コンプレックスから離れて原因を求めると、違った側面が見えてくるかもしれません。
④あえてコンプレックスに挑戦してみる
コンプレックスに感じるのは、その欠点が恥ずかしいと感じるからです。だからこそ、その恥ずかしさを逆にオープンにしてみてはどうでしょうか。かなり勇気のいる方法かもしれませんが、他人からの反応をダイレクトに知ることができる方法です。
例えばスタイルがコンプレックスなら、プールや海水浴にあえて行ってみるという具合です。自分を指指して笑う人もおらず、周囲はそんなに自分を気にしていない。そんな現実に接することができれば、「このスタイルでも大丈夫なんだ」と思えるようになるかもしれません。
今日はコンプレックスへの対処法についてまとめてみました。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『自己評価メソッド』(クリストフ・アンドレ/紀伊國屋書店)